04
女だぞと言われたとき、俺は固まった。その後にタクがなにかいっていたようだが、よく聞こえなかった。
だが、今の俺にはそんなことはどうでもよかった。
小さい頃から“女の子みたいでかわいい”と言われることが多かった。小学校の高学年になってからは、そう言われることがいやになっていった。
そして、小さい頃から俺が女子と間違えられることも度々あった。
その影響か、女子と間違えられることがとても嫌だったのだ。
そして現在、友人いわく女子になっているというではないか!
その事を確かめるために下を見ると、胸部にほのかな膨らみと、長い髪があった。
俺はがっくりとうなだれ、地べたに手をついてこういった。
「俺もうこのキャラ消すわ」
「戻ったか。残念ながらこのゲームは、一度アバターを作ったら脳波を登録されて、別のアバターは作れないぞ。利用契約に脳波を登録しますって書いてあっただろ?だからってやめたりするなよ?」
ひどいことをいってくる友人に、興味本位でやめた場合のことを聞いてみる。
「お前の黒歴史を学校中にバラす」
アクタによって退路をたたれた瞬間だった。
アクタの俺だけが知っている黒歴史というものはない。残念ながら反撃することはできない。
よって、要求を飲むしかなかった。
幸い、ゲームの進行には影響がないらしいので、問題ないと言われた。
仕方ない。諦めるか・・・。
「リク、ついでだ。フレ登録しないか?」
アクタにそういわれた。
一応、ソシャゲやMMORPGはやったことがあるから意味はわかる。だが、VRMMOは初で、説明書にはなぜかメニューについてはログアウトの方法しか乗っていなかった。
ちなみにログアウトがあるのは確認済みだ。
「登録はどうやるんだ?」
「メニューの中に、“コミュニティ”ってのがあるだろ?それが他のプレイヤーに関係する項目だな」
アクタに言われながら、進めていくと、“フレンド”という項目があった。その中には“フレンド申請”というアイコンがあり、その中に“Akuta”と入力すると、申請することができた。
すると、すぐに《Akutaがフレンドに登録されました》と表示された。
「これでいいか?」
「ああ、しっかり登録されたようだな」
「じゃあ、俺はこれで・・・」
そう言って立ち去ろうとしたとき、「ちょっと待て」と呼び止められた。
「どうせならPT組んで狩りにでも行かないか?」
PTか・・・。たしかにアクタはβテスターでもあり、VRMMOもよくやるらしいので、教わることは多いだろう。だが・・・
「いや、俺は1人やるよ。たぶんPT組んでも足を引っ張るだけだろうからな」
「そうか。じゃあ、スキル見せてもらってもいいか?何かアドバイスができるかもしれん」
MMORPGでは普通自分の手札は他のやつには教えることがない。だがまあ、アクタなら大丈夫だろう。
俺は「わかった」と言いながらスキルをタクにい競る。すると、タクは顔をしかめてこう言った。
「お前さ、なに目指してこれ選んだ?」
「え?なにって、補助兼生産職?」
「はぁ。リク、スキルの説明とか読んでないだろ」
「もちろん。ネタバレは嫌いだからできる限りデータは自分で集める!特に自分の使いたいやつは見ないな!」
「胸を張れることじゃないぞ・・・」
アクタはあきれながらもこう続けた。
「付加魔法は上昇率がスキルレベルとInt依存だから、生産職が取ってもほとんど意味がない。そして、他の人に魔法をかけるのが、ものすごく難しい。具体的には10m+スキルレベル×1mだな。
次に弓だが、コスパがものすごく悪い。初期でとった時にもらえる練習用の矢筒は無限に矢が出てくるが、ほとんど攻撃力がない。まともに攻撃するとしたら新しい矢を買わなきゃならん。
調薬や隠密は生産職としたらありかもしれんが、回復魔法はPT組んだときに1人いれば十分だ。
悪いことは言わないから、さっさとスキルを入れ換えろ。強制レベリングの手伝いならやるからさ」
こういわれたが、俺は一切変えるきがなかった。その方が面白そうだからだ!
「悪いな。俺はこのままでいくよ。なに、これでも楽しめるようにできてるさ」
「わかったよ。じゃあまたな。なんか困ったことでもあったらすぐにチャットいれろよ?」
「ああ、そうさせてもらう。ありがとな」
俺はそう言って町の外へと向かった。
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。
次回の投稿は4月27日午前9時です。