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塔のなかに入ると、受付の人に声をかけられた。
「こんにちは。ご用件はなんでしょう」
頭上の逆三角形を見ると、どうやらこのキャラクターはNPCのようだった。
「ここの展望台に行きたいんだが、どうすればいいか教えてもらえるか?」
「はい。展望台にはあちらの転移台で移動可能です」
「ありがとう」
俺はそう言ったあと、フェルネをつれて転移台へと移動した。
「えっと、これに乗ればいいの?」
「そうみたいだな」
転移台の手前についた俺たちはかなり戸惑っていた。
なぜならその台が、水溜まりだったからだった。
「ねぇ、使わないならどいてくれる?」
転移台の前で立ち往生をしていた俺たちに、後ろから声がかかった。
「あ、すいません」
「ごめんなさい」
俺たちが転移台の前からどくと、その人はなんの躊躇もなく転移台の中へと入っていった。
「普通に入っていったな・・・」
「そうだね・・・」
「俺たちも行くか・・・」
「お先にどうぞ」
フェルネはどうしてもこの台が信用できないようだった。
大丈夫だフェルネ。俺も信用している訳じゃない・・・
「いやいや、上りたいって言ったのはフェルネだろ? 先を譲ってやるよ」
「そんな、りくよりも先にいくなんて出来ません。わたしは後でいいですよ」
「遠慮しなくていいって。見たかったんだろ?」
俺がそういうと、フェルネは急に俺を人気のないところに連れ込んだ。
そして、いきなり耳と尻尾を出すと
「じゃあ、わたしは一回戻りますから、展望台に行ったら召喚してください」
「は? ちょっと待て、俺だけにいかせる気か!」
「お願いしますね?」
といって、体を光らせ消えた。
自分から送還するとかもできんのかよ・・・
「はぁ、仕方ない。見たくない訳じゃないし行くか・・・」
俺はため息をつきながら、また転移台の前に移動した。
「これに乗るのか・・・」
どうみても水溜まりにしか見えない場所に乗るという、小さな子供が喜びそうなことを今になって、それもゲームでやるとは思わなかった。
そんなことえを考えながら、俺は転移台に片足を乗せた。
「うわっ!」
俺が片足をのせると、いきなり引っ張り込まれるようにして、その水溜まりのなかに入っていった。
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。
今日中に5話の投稿は無理でした。すみません。
明日には投稿します。
次回の更新は5月21日午前9時です。