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「はぁ、だから気を付けろっていっただろ?」
俺がそういうとフェルネはしゅんとして、
「うん。ごめんなさい。これからは気を付ける」
と言った。
「まあ、はしゃぐのはいいが、気を付けろよ」
「うん」
「よし! フェルネはこれからどこ行きたい?」
「え? いいの?」
「ああもちろん。一応用事はあるが、期限とかがある訳じゃないからな」
俺がそう言ったとたん、フェルネは笑顔になってまたはしゃぎ始めた。
「じゃあ、あそこにある塔に行きたい!」
フェルネは街の中心から少し外れたところにある、高い塔を指差した。
「え? あそこか?」
「うん!」
「近くにいくだけなら出来ると思うが、中に入れるかどうかはわからないぞ?」
「え~? そうなの?」
フェルネがすこし残念そうな顔をしたが仕方がない。
アクタ曰く、このゲームはすべての建物にはじめから入れるわけではなく、ストーリーやクエストで入れるようになるところがほとんどなのだそうだ。
だから、あの塔に入れるかどうかはわからない。
一応、すべての建物の内装は作られているらしい。
「色々とあるんだよ」
「そうなんだ・・・」
フェルネがまたしゅんとしてしまった。
「ごめんな」
「ううん、大丈夫。じゃあ、塔の下のところまで連れてってよ!」
「わかった。じゃあ、今からいくか」
「うん!」
俺はマップをみながら塔の下まで行くことにした。
塔の下まで来ると、そこにはアクタたちがいた。
「お、アクタじゃないか。またあったな」
「ん? おお、リク、どうした? この塔になにか用か?」
「まあ、そんなとこかな」
「そうか。で、ちょっとリクだけこっちに来い」
アクタは手招きをしながら、俺を呼んだ。
なぜか嫌な予感はしたものの、断る理由もなかったため歩いていくと、アクタが俺の首にてを回して強制的に裏を向かされた。
「おいリク、あの子はどうしたんだよ。まさか、ナンパでもしたのか? 女性アバター同士一緒にやりませんか? とか言ったのか?」
アクタは小さい声で言ってきた。
あの子とはきっとフェルネのことだろう。
「そんなことしてないに決まってるだろ?」
俺がアクタにそう言ったときに
「おーい、りくー、どうしたの~」
と突然フェルネがいった。
「おい! マジでどんな関係だ!」
「それはだな「わたしはりくの仲間だよ? りくの物って言っても間違いじゃないけど、りくが嫌がるから、仲間だよ~」
「どういうことだ! お前の物って!」
ああ、フェルネはなんでこのタイミングで聞き取っちゃうかな~。
きっと耳は隠してるだけだから、かなりいいままなんだろう。
さっきの話も全部聞こえてたってことだろうな。
「まあ待て、説明くらいはするから」
「当たり前だ!」
「わかったから、落ち着けって」
俺は興奮しているアクタをなだめることになったようだ。
こいつって、興奮しすぎるとその時間が長いから、かなりめんどくさいんだよな~
俺は空をみながら、そんなことを考えた。
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。
次回の更新は5月20日午前9時です。