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俺たちはあの後、10分くらいはあのまま倒れていたと思う。
肉体的な疲労のないVRMMOだが、集中すると疲れるのは同じらしい。
「ふぅ。やっと、街に着いたな」
「うん。で、わたしも入っていいんだよね?」
「ああ、もちろん。あ、でも、街の中で尻尾とか出すなよ?」
「わかってるってば」
「元の姿に戻りたいときとかは、人目のないところでな。
あと、疲れたら早く言えよ? 送還ってのがあるみたいだから、そっちで休むこともできる」
「わかったよ。さ、早くいこ!」
フェルネは門の中へと走っていった。
「うっひょー! 街だ街だ! マチ○ダさんだ!」
「なあ、最後、おかしくね? あえてなにがとは言わないけどさ」
「ん? なんのこと?」
あ、気づいてないのか。もしくは元ネタを知らないとか?
でも、マ○ルダさんは人名だから気づいてるだろうしな・・・
うーん。わからん。
「ねえりく、さっきからなに唸ってるの?」
「ああ、すまん」
どうやら考え込んでしまっていたらしい。
「そんなことより、早くいこうよ! 初めて人の街に入ったんだもん、色々みたいんだから!」
「わかった、わかった」
俺はフェルネをなだめながら、街の中心部へと歩いていった。
「わぁ~」
「どうした?」
俺はいきなり立ち止まったフェルネにそう聞くと、
「いや、やっぱり話に聞いてた通り、凄いなーって思ってね」
という答がかえってきた。
「そんなにすごいのか?」
「もちろん! だって、自分達の身長の何倍もの大きさのものを作っちゃうんだよ? それってやっぱり凄いことだよ!」
「俺はそんなに気にしたことなかったけど、よく考えたらたしかにそうだな」
「でしょ! でしょ!!」
フェルネはかなりはしゃぎながら、建物を見てまわった。
俺としては、早くルコさんのところへ行き見つかったことを報告したいのだが、こんなに喜んでいるのならいいかな何て思ってしまう。
どうやらフェルネには甘くなってしまうようだ。気を付けなければ。
俺はそんなことを考えながら、フェルネのあとを追った。
「おーい、フェルネ~、あんまりはしゃぐと転ぶぞ~」
「だいじょうぶ~、そんなに転ばn きゃっ!「ほら、言わんこっちゃない」
フェルネが転んだので少し早足になりながら向かうと、すぐに追い付いた。
「だいじょうぶか?」
俺がそう声をかけると、フェルネは涙目になりながら、
「うぅ、ひざ痛い」
といった。
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。
次回の更新は5月19日午前9時です。