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「ねえ、お母さんがいけないなら、ルコさんに来てもらえばいいんじゃないの?」
その沈黙を破ったのは、俺を助けてくれたあの妖孤だった。
「いや、残念ながらそれはできない。さっきも言ったようにルコさんは腰が悪くて歩くのが大変なんだ。せめて、車イスのようなものがあればいいんだが」
「?車イスとやらが何かはわからないけど、方法は一応あるんでしょ?試してみればいいじゃん」
「いや、それは・・・」
あれ?車イスが作れれば、連れてくることが出来るよな?
で、俺は車イスの構造は知らないが、作るためのスキルなら持っているはずだ。生産系スキルを全種類取っているんだ。現実にあるもので作れないものはないはずだ。
レベルが足りないことはあるだろうが、物の加工だけなら、レベルはあまり関係ないことは確かめてある。レベルによって変動するのは、その物のステータスとスキルを使ったときの成功率じゃないか!
「そうだな!よし、やってみるか!」
俺が突然大声を出したためイコタたちは驚いていたが、そんなことよりも今は製作の方が重要だ。
「車イス、作ってみるぜ!また来る!」
俺は街に戻って必要な道具を買いそろえるため、飛び出した。
街に戻るため東の門へと走っていると、後ろから声が聞こえてきた。
「待って~!」
俺はその声に従い、立ち止まり振り返ってみると、さっきの妖孤だった。
その子は俺に追い付くと、息を切らしながら話し始めた。
「あの!私もあなたの冒険に連れていって!」
妖孤は矢継ぎ早に話を続けた。
「私物作りとかには興味があるの!あなたといれば新しいものが見れる、そんな気がするの!だから私も貴方の冒険につれていって!」
妖孤の目が真剣だということを伝えてくる。
「これでもレベルは25で結構高いはず!スキルも色々持ってる!足手まといにはならないから、お願いします!」
妖孤は頭を下げた。
俺は了承することにした。
余談だが、どうも俺は押しに弱いところがあるらしい。そんなことはないと思うのだが・・・
「ああ、わかった。だが、俺も普通に冒険を続けたい。そうなると、街に入るときは外で待っていてもらうことになってしまう。それでもいいか?」
「もちろん!それに、テイムしてもらえば街のなかにも入れるんでしょ?」
「そうらしいな」
「なら、私をあなたの物にしてください!」
妖孤はそう言って再度頭を下げた。
妖孤の言い回しに、俺はすこし顔が暑くなってしまった。
目の前の妖孤は獣のような耳や尻尾がなければ、どう見ても少女のようにしか見えないが、その容姿は整っている方だった。どう見てもコスプレした美少女だ。
って俺はロリコンじゃねぇ!
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。
次回の更新は5月13日午前9時です。