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雑貨屋を出たあと、俺は東の森に向かっていた。
街の東門から出たので、数分でつくはずだ。
森に向かっている途中で、称号を確認した。一人の時は全ステータス+100%に設定出来る。
他の場所でそれをやると、どうしても目立ちすぎるため、一人の時以外は+20%まで落としているのだ。
「お、あれが東の森かな」
目の前に東の森が見えた。
目指す場所も明確になったため、俺は全力で走り出した。
全力で走ったおかげか、すぐに森の入り口についた。
「さて、どうやって探すかな」
探す方法を一切考えていなかったとに森の入り口に来てやっと気づいた。
この森は遠くからみても、しらみつぶしに探すにはゲーム内時間で丸1日はかかりそうなほど広かった。
どうしようかと考えた結果、まず中心部に行き、大声でイコタと叫ぶことにした。
忘れていたとしても、やるのとやらないのでは全く違うからだ。
「よしっ! そうと決まれば、早速行動開始だな!」
そして俺は走り出した。
中心部と思われる場所についた。
ここに来る途中数回エンカウントしたため、無詠唱の練習もかねて魔法で倒した。
「ここだよな」
中心部はそこそこ開けた場所だった。休憩場所のような感じがした。
「さて、やりますか」
俺は大きく息を吸って
「イーコーター!!」
と大声で叫んだ。
すると、背中の方の茂みから、カサゴソと音がした。
はっとして振り返ると、そこからはこの森の主なモンスターであるキャタピラーが出てきた。キャタピラーは芋虫を2周りほど大きくしたモンスターだ。
「なんだ、普通のモンスターか」
俺はそうぼやき、魔法を使うため右手を前に出した。
するとその時、
「でりゃー!!」
茂みから少女が出てきて、キャタピラーを蹴飛ばした。
「大丈夫ですか!?」
少女は立ち上がると、こちらを向きそう言った。
「あ、はい。大丈夫です、助けてくれてありがとうございます」
俺はお礼を言って頭を下げた。
「あーあー、そんなに焦らんでええ言ったんやけどなぁ」
さっき少女が出てきた茂みから、もう一人の女性が出てきた。
どうでもいいが、なぜ関西弁なのだろう。
女性はこちらに向き直った。
「ほんで、さっきウチの名前を呼んだんはアンタであっとるか?」
「名前?」
「そうや。ウチの名前はイコタっちゅうねん」
「あ、そうなんです。名前を呼んだのは俺です」
俺は素直に答えた。
だが、この二人? にはすこしおかしな所があった。
「そうか、そうか。で、なんの用や」
「あ、あの、その前に聞いてもいいですか?」
「ええけど?あ、口調か?そんなら堪忍してな。たぶんなおすん無理やから」
「えっと、耳や尻尾が見えるんですが?」
そう。この二人には頭に金色で獣のような耳が、後ろには同じく金色の狐のような尻尾がついていた。
「なんや、そんなことか。ウチらは妖孤なんや」
「そうだったのか」
「わかってくれたか?」
「はい」
「なら、こっちの質問ええか?」
「もちろん」
「まず、なんでウチの名前を知っとるんや」
イコタはかなり怖い顔になってそう言った。
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。
次回の更新は5月11日午前9時です。