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東門につくと、かなりのプレイヤーが集まっていた。
フェルネは俺の頭の上に乗っているが、人数の多さと熱気に驚き危うく落ちそうになっていた。
「カリエルストロ討伐に参加する者以外は、ひとまずこの場から離れてもらいたい! なにぶん人数が多く、指揮をするのに手間をとられる訳にはいかないのだ!」
誰かが大きな声でそう言うと、周りからちらほらと移動するものが現れ、それと同時に静かになっていった。
数分すると、移動する人はほとんどいなくなっていた。
「それでは、カリエルストロ討伐会議を始める。確認だが、ここに集まったものはカリエルストロ討伐に参加する者でいいな? それ以外はこの場から外れてくれ」
周りを見回すが、誰も動かない。
「よし、それでは始めよう。さて、この度はカリエルストロ討伐の参加に感謝する。私はアルフィーだ」
集団から出てくる女性プレイヤーがいた。たぶんこの人がアルフィーなのだろう。
「カリエルストロは我らの仲間が偵察を行った結果、共闘ペナルティーが存在しない。故に今回の敵はレイド形式で対処する。近くに居るものでパーティーを組んでくれ」
アルフィーがそう言ったとたん、俺の周りに大勢の男性プレイヤーが集まってきた。
「一緒に組もうぜ!」
「俺たちと組むんだよな!」
「是非俺たちと組んでくれ!」
「俺たちとやろうぜ!」
俺が女性プレイヤーということで声をかけてきているのだろう。実際他の女性プレイヤーを見ると、同じように男性プレイヤーに囲まれていた。
するとそのとき、
ポーン
《Akutaからフレンドチャットが届きました》
と目の前に表示された。
俺は《Yes》を選択し、チャットを始める。
「よう、どうかしたのか?」
『リクだよな』
「ああ、そうだが? 周りがうるさくて仕方ないんだ。なんとかしたいから手短に頼む」
『今回のカリエルストロ討伐一緒にやろうって話だ』
「なるほど。そりゃ、ありがたい。空きがあるなら、入らせてもらう」
『もちろんだ。それと、今回は2パーティーだが、大丈夫か?』
「大丈夫か? ってのは司令塔か?」
『ああ』
「VRでやるのは初めてだが、大丈夫だろ」
『了解、門の近くにいるから、そこに来てくれ』
「わかった」
俺はそう言って、アクタとのチャットを切った。
「組む相手は見つかったので、退いてくれませんか?」
俺がそう言うと、ほとんどのプレイヤーは諦めたのか、離れていった。だが、一部のプレイヤーは往生際が悪いようで、
「そんなこと言わずに、一緒にやろうぜ」
「そうそう。そんなやつらよりも、俺たちの方が強いって」
「どうせやるなら、強いやつの方がいいだろ?」
下碑た笑いを浮かべながら、俺を邪魔するように、囲うようにに立ちふさがる。
「退いてもらえませんか?」
仕方なく、声をかけてみるが、
「俺たちの方が強いんだから、行く必要ないって」
「そうそう、さっさと断っちゃえよ」
聞く耳を持たないようだった。
「邪魔なので退いてください」
最後の忠告と心のなかで言いながら、話すが
「ん? 邪魔って俺たちのことか?」
「そんなわけねぇだろ」
ギャハハハハと大声で笑っていた。
どう見ても、通す気はないようだった。
「おい、そのくらいでやめておけ」
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後もよろしくお願いします。