STORY4
体勢を立て直した男と、槍の男が剣戟を響かせる。
「しつこいなっ、お前!」
「さっさと諦めたらどうだ?」
振り下ろされた斧が槍に直撃した。
「武器が無きゃお前も。……!?」
槍が真ん中で斬られたのではなく、分離した。
分離した槍? で左右から攻める。
長柄の斧じゃ短くなった槍? の対応が徐々に遅れる。
月明かりの室内。
剣戟と息遣い。ステップを踏んでいるかの様な足音が聞こえる。
……現実か? これは?
「おい! いつまで座ってる! さっさと逃げろ!!」
……どうやら現実の様だ。
「言われなくても、今」
よし。立てるな。
「で、どこに行けばいいの?」
「アホ! この状況で言えるかぁ!」
こもっとも。
自分の天然さ加減に腹が立つ。
「そう簡単に逃がすと!」
「思ってないわよ!」
振り返り箒星を発射。
多少、照準が外れてもこれが私の意識で扱えるのなら大丈夫!
「どこを狙っているっ!」
僅かな動作で避ける。
「俺をすぐに忘れるな。お前は」
右手の槍? が下から振り上げられる。
「引っ込んでろ!!」
斧の柄で守護者を突き飛ばし、
「大人しく!!」
「いやよ!!!」
頭の中で箒星の動きをイメージする。
円を描き男の背後から襲い掛かれ!!
「何度も同じやり方が通用すると思うな!」
振り返り箒星を弾き飛ばそうとする。
ここっ!
「なっ」
男が払う斧の手前で軌道を変える。
一度目で斧を避け、二度目の変更で、
「大人しくして!」
男に直撃。
「さて。行こうか」
「ホントについて来るの?」
「当然だ。箒星がある所に俺がいなくてどうする」
「え。別にどうもしないけど」
「ほら。行くぞ」
聞いちゃいない。
「ちょっと。私の都合に合わせるんでしょ?」
「そう言っただろ」
「だったらなんで私の前を歩いているの?」
「お前が先を歩かないからだろう。あ、そうだ」
「何?」
前を歩く守護者が振り返る。
「まだ、名前言ってなかったな。俺は久遠。お前は」
にこやかに笑う男。
「史紀よ」
しょうがないから連れて行ってやるか。
〜あとがき〜
舞台を増やさず、キャラを活かす事が出来るのか?
という思いからこの話が生まれました。
前作、シールドと短槍の動きが上手く描けてなかったので色々と試行錯誤しながら書いてました。
感想、批評等あればお聞かせ下さい。
楽しんで頂ければ幸いです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。