第五話 死霊術師の一日 上
「ギュ!ギュミィ!」
「[ポスッ、ポスッ!]ふぐぅ!?……ううっ、起きる、起きるよ……」
なんとも特徴的な鳴き声のネズミ、チェーダ(ギルドの一件の後名前を付けた、名前の由来は無論あの穴あきチーズから)が布団の上でピョンピョンと跳ねて鳴くという毎度の目覚ましを受けて俺は目を覚ます。
「この目覚ましにも慣れたもんだな……」
時が経つのは早いもんだ……俺はそう思いながらベットから起き上りうっすらと窓から差し込む光に目を細める。
今俺が居るのは町の大通りに面している宿屋の二階の一室、ベットが部屋の半分を占め、残った僅かなスペースに申し訳程度に簡素なテーブルとイスが備え付けてあるだけの部屋……まあ寝泊りするなら妥当な広さと言った所だな。
俺が小舟の上で目覚めてから早一週間とちょっと、慣れとは凄いものでハイテク機器に囲まれて生活をしていた筈の俺はいまやすっかり中世レベルの生活で満足出来てしまっている。
まあ大きく変わった事と言えばパソコンやゲームが無くなった程度だからやりたいやりたい~って思ってても数日経てばケロッと病気が治ったかのように何も感じなくなったんだよね。
身近にあると中毒レベルなのに無くなったら案外あっさり止められるもんなんだな、と思ったり。
……っとと、考え事をしてる場合じゃ無かった、さっさと起きないと。
「よし行くか!」
俺は手早く身支度を整えると部屋を出て扉の鍵を閉める。
夜が明けたばかりなので他の宿泊客は無論寝ている奴が多い、壁一枚を隔てただけなので普通に音が通ってしまう為、そういう人達を起こさないよう気を付けて通路を歩く。
そして階段を下りると何時ものようにカウンターで船を漕いでいるウサギ耳の獣人、因みに女性である。
地味、と言う訳では無く素朴な給仕服が似合う雰囲気を纏ったその姿。
頬杖を付き規則的な呼吸と共に短く切り揃えられた綺麗な茶髪の上で頭と共に揺れる大きな縦長の耳……
うむ、この光景は毎度の事だが……何時見ても萌えるな!
「メリアルさ~ん、朝ですよ~」
「[ビクッ!]っ!?……う゛~……もう朝ぁ……」
大きな耳に顔を近づけてそう言うと一瞬体がビクリと跳ね、大きな翠色の目が開かれるがすぐに眠そうな半目になり気怠そうに俺の事を見てくる。
彼女の名はメリアル、まあ言った通りウサギの獣人、ワーラビットである。
ウサギ耳があって聴力、脚力が優れているって以外では人間と左程変わらない……あ、スカートに隠れてるけど一応尻尾も生えてるんだったか。
この宿屋の看板娘であり、カウンターの受付、そしてロビー右隣にある食事処で調理、配膳をやっている。
「じゃ、朝食お願いね」
「うぃ~っすぅ……」
ゆらゆらと起き上るとカウンターに置かれっぱなしだった台帳を仕舞い厨房へと向かうメリアル。
そしてあらかじめ用意してあった水の張った桶の元へと向かうとそれを持ちパシャリとそのまま頭から突っ込む。
そして顔を桶に付けたままの状態で手探りで隣に置いてあるタオルを取ると顔を上げると同時に素早く顔にぱふりと当てる。
そしてそのままの体勢で居る事数秒、タオルを顔から放すとそこには先程の眠そうな顔から打って変わってしゃっきりとした顔の彼女があった。
「覚醒っ!さあ今日も頑張るっすよ!」
誰に向けるでもなくキリッとした表情でそう宣言するメリアル、そして手早く鍋やフライパン、食材を取り出すと調理に取り掛かり始めた。
俺はそれを確認すると宿の外に出る、飯が出来るまで暇をもてあますってのも嫌なのでこの間にギルドで依頼を受けて来るのだ。
……え?何で俺が起こしてんだって?
仕方ないだろ、娯楽が全く無く、夜更かしなんぞしなくなってほぼ日の出と同時に起きちゃう俺だとこの宿の誰よりも早く起きちゃうんだよ!
それで丁度この子の起床時間のちょっと前という事で寝起きが悪いメリアルについでに起こしてくれ、って頼まれちゃったんだよ……無論二つ返事でしたハイ。
まだ夜が明けて間もないというのに通りには既に出店の準備をしている人々や行商の為の品々や船の積み荷と思われる木箱や樽を運ぶ馬車。
流石は貿易が盛んな町という事だろうか、朝のまどろみの為なのか道行く人々の動きはどこかゆったりとしているものの活気は確かに感じられる。
そんな街道を歩く一人に俺は混じりハンターズギルドへと向かう。
24時間馬鹿騒ぎをする輩が多いギルドでも流石に夜明け時は静かだ、しかし閑散としているという訳では無くこの時間から出立する為の手続きをしているハンター達がちらほらと見られる。
……まあそれ以外にも夜通し騒いだのかテーブルや床にに突っ伏して大いびきをかいている奴も結構居るんだが。
「ういっす!お早う御座います」
「んぅ……お早う、今日も早いねぇ」
何時ものように依頼受付カウンター端に山積みにされた書類に挨拶をすると、そこからひょこりとベルビーさんの頭が覗く。
何時もの鋭い目つきでは無く半開きの眠そうな瞳で俺を見る彼女はぐぐっ、と伸びをすると書類の山から離れて受付の場所まで移動する。
「んで、今回はどんな依頼を受けるんだい?」
「町内で出来る仕事とか無いですかね?出来るだけ簡単なので」
「う~ん、今日来てる依頼だと町内ならスラム街の見回り、ガイメーツ商会傘下の店舗の集金、ドメルコ・バイダ工房第三製造所の清掃、コスマイル家のペット、フィニィーちゃん(ネコ)の捜索……後はレドル・バジーニ辺境伯が開くパーティーの飾りつけと準備と言った所だね」
軽く三桁は超えるであろう依頼の中から俺の要望通りの依頼をすらすらと言うベルビーさん、流石はギルド内の書類関係全般を扱っているだけはある。
彼女に依頼を聞かずともカウンターにあるボードを見れば依頼が張り出してあるんだが……恥ずかしい事にまだこの世界の言葉、全く分かんないのよね!
それを言った時ベルビーさんに驚いたような、呆れた様な複雑な表情をされ『それじゃあ依頼を受けたい時はあたしに言いな』と言われ今に至る。
……ちゃんと文字の勉強はしてるからな?本当だぞ!
因みに依頼を受ける時に居なかったらどうするんだ?と思われるが心配は無い、俺は今まで彼女がこのカウンター以外に居る所を見た事が無い、昼も夜も書類の山に囲まれて仕事仕事……と言う訳だ。
本人は『十分に休憩はとってるしプライベートな時間もある』と言っているが無論そんな光景は俺を含めたハンター、ウェイトレスさんも見ておらず、ワーカーホリックと見て間違い無いだろう。
……本人にそう言うと凄まじく怒るので誰も言わないらしいが。
「ああ、そういやさっきゲインズ家から一報が届いてね、あんたが助けた人質、帰れる奴は全員帰ったってさ」
「そうですか……それは良かった」
「それにしても本当に良かったのかい?18件分の報奨金が手に入るチャンスだったってのに」
彼女はそう言って再度確認するようにメガネをくいっと持ち上げて俺の事を見上げてくる。
そうなのだ、あの船に捕まっていた捕虜の皆様、どうやら名のあるお人はパーンズさんの御子息だけじゃ無かった、各地の貴族、豪商の関係者や子供なんかも捕まっていたようでギルドに相当額の報酬金で捜索依頼が出されていたらしい。
その報酬金がどれくらい多いかっていうと……18件合計でこの町の一等地に立派な家を構えられるくらいかな?正直ひっくり返るほどの大金でしたハイ。
「最初にその話をされた時にも言いましたけど、別に金が欲しくて助けた訳じゃ無いですし、パーンズさんに皆さんの事を頼んじゃった訳ですから今更ですよ」
「全くお人よしだねぇあんたは……さっさと依頼を選びな」
それを聞いたベルビーさんは皮肉っぽい笑みを浮かべるとさっ、と依頼が書かれた書類を俺の前に出す。
……因みにこの18件の依頼、外部で勝手に解決されてしまったという事で依頼主にその事情説明等々の為にギルドに迷惑をかける羽目になってしまった。
無論ルピさんが働かされたのは言うまでも無く、疲れ果てた状態のルピさんに延々愚痴を言われながら飯を驕らされ、俺の財布からその日の稼ぎが丸々消え去ったのは嫌な思い出だ。
「んじゃスラム街の見回りと、集金の依頼を受ようかな」
「あいよ、そんじゃギルドカード出しな」
言われた通りにギルドカードをベルビーさんに渡す。
ギルドカードを受け取ると彼女はカウンターの奥にあるアンケート回収箱のような形をした物の所に向かうと上の口に依頼が書かれた書類を差し込むと下に付いているカード差込口のような所にカードを差し込みぼそぼそと何かを唱える。
するとガション!という音と共にカードが吐き出され、『はいよっ』とカードが返される。
これがギルドの依頼を受ける手続きである。
あの機械のような物はマジックアイテムであり、ギルドカードに依頼書の内容を書き込む為の物であるらしい。
魔力を込めれば依頼がカードの上空に浮かび上がってくるのでいつでも依頼を確認できると言う訳だ。
因みにギルドカードには依頼を最大3つスタック出来る、同じ場所での依頼を複数こなしたい場合等に良く使われ、主にこの街での活動が多い俺は非常に助かっている。
「よ~し、今日も一日頑張[グゥゥゥ…]る前に飯を食おうそうしよう」
俺はギルドの従業員達に『たまには此処で食べてけばいいのに~』と言ってくる従業員さん達に『考えておくよ』とだけ返事をすると朝食を食べに一旦宿屋へと帰るのだった。
※※※
[華やぐ若草亭]、それが俺の寝床としている二階建ての宿屋の名前である、一泊朝食付きで600フルティ、良心的なお値段 (らしい)。
船を寝床としなかった理由は二つ、ふかふかのベットが無いから、もう一つは捕虜の皆様を海路で送り届ける為の足としてパーンズさんに貸し出しているからだ。
因みに船長権のみの委託……みたいな手続きのお陰で船の権利書は俺の手元にあるので心配は無用だ。
まああんま良く分かんなかったからパーンズさんに殆どお任せした、あの人は恩人を騙すような人じゃないと思うし。
まあ出航の時に食料以外にがっつり交易品を積み込んでたのはやっぱ商人なんだな~、と思ったりはしたけどね。
……まあ兎に角これが俺が宿屋に寝泊まりしている要因である。
え?ふかふかのベットが重要なのかって?当り前じゃないか!娯楽があんま無いこの世界じゃ夜なんて寝ること位しか無いんだ、そこに気を掛けるってのは当然の事だろ、うん。
一応本はあるんだが読もうにもここの世界の言葉まだ良く分かんないし本当に娯楽が無いんだよちくしょー!
「[ギィッ]ただいま~」
「あ、お帰りなさいコトブキさん!朝食出来てるっすよ~」
扉を開けて中に入ると食欲をそそるいい匂いとメリアルの元気な声が聞こえて来る。
食事処の方に目を向けてみると既にテーブルの一つにお盆に乗せられた暖かそうな湯気を上げているスープとサラダ、そしてパンが置いてある。
因みに食事代は宿屋の宿泊費として前払いしてある。
「いただきま~す」
俺はその席に向かうと腰を下ろし食事を始める、他の客はまだ起きてきていないので此処には俺とメリアルのみ、時間が時間なので諦めるしかないが寂しい食事だ。
「しっかしコトブキさんは特に急ぐ用事も無いのに早起きっすね~」
「夜にやる事が無いから自然と早起きになるんだよ」
他に客が居ないので俺の対面の席に座り話しかけてくるメリアル。
因みに彼女の聴力なら厨房の料理の状態、街道の人の足音、この建付けの家ならばどの部屋の誰が起きて、何処に居るかと言うのは手に取るように分かるらしいので心配無用らしい。
全くとんでもない聴力を持っていると思う、デカい耳は飾りじゃ無いって訳だ。
俺が来る前に料理を用意できるのもこの力を使って予測しているのだろう、『知ってる人なら足音で判別出来るっす!』とかとんでもない事言ってたしこの子。
何処の忍者だよって話だよな全く……
「暇なら帳簿の整理手伝って下さいよ~、昼間はカウンターと此処の行き来で全く手が付けられないんですから~」
「ギルドに依頼したならやってやるよ、女将さんと旦那さんが了承したなら……だけどな」
「うぅ~……ちょっと位いいじゃないですか~ケチ臭い」
「朝起こしてやってるだけでも感謝しろよ……っとご馳走様、」
「はいはいお粗末様っす、行ってらっしゃいませ~」
こんな感じで軽~く彼女と会話しながら食事を終えて、俺は依頼の打ち合わせ場所へと向かうのだった。
※※※
「すみませ~ん、ギルドからの依頼で来た者ですが~」
「おお、来てくれたか!待っていたぞ!」
スラム街の前、まるで区画の監視をするかのように建てられた衛兵の詰所の門を叩くと、簡素な鎧を身に着けた中肉中背の犬の顔をした獣人が出てくる。
ここの詰所に勤務をしている衛兵長ボヘルさんである。
因みにこの依頼、既に何回か受けているのでこの人とはすっかり顔なじみである。
この町は大きく分けて4区画に分けられる、パーンズさん等の豪商、町を取り仕切る有力者、貴族達が住む富裕区。
市場、ハンターズギルド、港等この町の中心である商業区。
そして一般人が住む居住区……その中で警備が難しい“無法地帯”こと貧困区(スラム街)がある。
町の治安を悪くしないようにと貧困階級の奴等やガラの悪い奴等が追いやられた結果生まれた区画であり当然の如く治安がすこぶる悪い。
どれくらいかって言うとそこに派遣された見回りの衛兵が闇討ちされるくらいヤバい治安の悪さだ。
次の日に身ぐるみ引っぺがされた衛兵が貧困区の外にほっぽり出されてるなんてザラだというから酷いもんだ。
何時襲われるか分からないから犯罪が起きてもよっぽどの事が無い限り調査されない……まさに“無法地帯”と言う訳だ。
……で、何でそんな区画の見回り依頼が来ているかってのはまあ理解は出来ると思う、一応体面としてこの区画にも見回りの衛兵が配備されているんだが、誰が好き好んで身ぐるみ剥がれる可能性がある所に入ってくんだよって話。
当然、警邏中の衛兵が襲われるという事態が頻発して衛兵が入りたがらず怠慢行為が多くなった為に町自体がギルドに見回りの依頼をするという事に至ったらしい。
因みに見回りは朝、夜の二回、報酬は700フルティ、区画を歩き回るだけで一泊分の宿賃とお釣りが来る訳だ。
……その報酬にに見合う程治安が悪いって訳なんだけどね。
「今日も頼むよ死霊術師の兄ちゃん!」
「おう、今日もサクッと終わらせてくるから」
「気を付けて行って来いよ~」
俺はボヘルさんから腕輪を受け取るとそれを腕に付けて貧困区へと向かう。
この腕輪は区画の中を一定距離歩くまで外れない仕組みになっており、兵士のサボり防止用にと付ける事が義務づけられている一品らしい。
使用されたかどうか一日の最後に回収して調べるので言い訳も出来ないんだとか……良く出来てるもんだ。
余談だがこの依頼、ギルドのハンターが受けなかった場合はボヘルさん等衛兵が行く事になるんだそうで……俺が来た時あんな歓迎してくれたのもそういう理由があってからという訳だ。
「よぅし……《死者蘇生》!」
[ゴゴゴゴゴッ……]
貧困区の手前で俺は背負っていた杖を引き抜くと何時ものように護衛として二体のスケルトンを呼び出す。
杖から噴出した黒い霧の中から出てくるのはタワーシールドとハルバートを装備した重量感溢れる鎧兜姿のスケルトンと小ぶりの丸盾に直剣を携えた頭以外を動きやすそうな皮の鎧で身を包んだスケルトンの二体。
重装備の方はファディ、軽装備なのはクーディーという名前だ。
役割としてはファディが俺を守りクーディーが敵の排除、と言った所だな。
因みに俺が召喚する際に使用する魔力は俺の魔力が満タンで100とすると消費するのはたったの1、骸骨さんのような喋れたりするランクのを召喚するのに必要なのが5って感じかな。
ちょっと前に召喚出来る限界数を試してみたから間違い無い。
ギルドの中で試したせいでベルビーさんにしこたま怒られたけどね!
因みに俺が持ってる杖、[ヴィヴェット・ソウルワンド]の効果は“死霊を杖に肉体ごと無制限にストック出来る”、“死霊術に限り消費する魔力を大幅に減らす”、“破損しても元に戻る”、“任意で手放さぬ場合は必ず持ち主の元へと戻る”、そして“以上の効果は持ち主以外では発揮されない”だ。
普通死霊術で死者を使役するには、擬似的な魂を作りそれを死体に宿らせて動かすのが一般的らしい。
擬似的に魂を作るとあって作るのに馬鹿みたいに魔力を食う上に、維持には常時魔力を供給しなければならない。
それがどれくらいかというと……一体召喚に付き俺の魔力の約半分と言った所か、それで召喚している間ずっと魔力を吸われるんだから堪ったものでは無い。
それに体が破損して動かなくなったらハイお終い、肉体が死んでいるので自然と腐敗していくし無論傷も再生出来ない……最悪である。
そう考えると肉体を杖の中に捕えて何時でも出し入れ可能、擬似的な魂なら肉体と共にタダ同様で召喚、おまけに本当の肉体では無く、杖から噴き出した闇で出来た偽りの肉体を出している為に破損しても再召喚すれば新品同様……魔力をちょっと多く出せば本人の魂を使える……これがどれだけチートじみているかと言うのが良く分かるというものだ。
……まあ生きている時に事前に契約を交わしておけば俺が召喚しているのと同等の死霊を作り出す事は可能らしいが、俺にはスキル、経験諸々が足りなさすぎる為に使う事は不可能……ってか二つしか死霊術覚えてないし。
あ、無論隣に控えてる二人はちゃんと魔力5消費で召喚している、だってその方が安心だし、ほら、備えあればなんとやら、何度も警邏はしているが用心するに越した事は無いし。
因みにベルビーさんに魔法使いってどれくらい魔力あるの?って聞いたら『見習いでもあんたの3倍はあるんじゃないかね?てかあんた魔力とか鍛えて無いだろ?素人同然だよ』って言われた……ちょっと凹んだのは秘密である。
「そんじゃ今日も宜しく」
「「了解しました」」
そういや魔力ってどう鍛えるんだろ?あの時聴いておけば良かったな……
そんな事を思いながら俺は二人と共に貧困区へ入って行くのだった。