(2)登場、母.
「あっ‼それはいいから早く朝ご飯食べちゃって‼入学式始まっちゃうから‼」
「あ。母さんと父さんは?」
倉崎家の父と母は海外で働いている為、一年に1、2回程しか帰って来ない。もしくは、子供に何かあったら。(たとえば不良に絡まれたとか)こんな時にしか帰ってこない。
ちなみに母は有名な医者、父は三ツ星レストランのオーナーである。
「帰って来るよ‼」
だが今日、日本へ帰って来る事になっている。
「子供の入学式と卒業式だけは見たい‼」との事で、れおんやりおん、ねおんにとっては10ヵ月の再会となる。
「早くれおんの顔見たいわっって電話で言ってたよ‼」
母、由美はれおんLove、つまり自分の産んだ子供の事が好きと言う事だ。
普通の好きではなく、恋愛感情が芽生えても可笑しくない好きだ。
マザコンの反対である。
由美はれおんの為なら何でもやる。たとえエベレストを登る事でも。地球を一周する事でも。例えばれおんが「これ、欲しい。」と言ったのならば由美は「分かったわ。」と言い、買ってしまうのだ。
一方、りおん・ねおんに対しては「駄目。」と言う。
「めんどいわあ・・・・。れおん、どうするん?」
「どうもしない。」
ダッダッダッ
足音。
「れ・お・ん~‼‼」
足音の正体、それは倉崎家の母、由美のものだったのである。由美はれおんに抱き付き、これでもか...と言う程に頬にキス、そして頭を何度も撫でた。
その光景を見たりおん・ねおんは唖然とし、りおんはベランダへ行き「ああああああああああ゛」と大きな声で叫んだ、
ねおんはその場に倒れ込んだ。
「れおん、怪我してない?何か困ってない?欲しい物ない?」
「ない。父さんは?」
「・・・仕事ですって・・・。子供の入学式位日本に帰ってきてくれれば良いに・・・。まあ良いわ。れおんに会えただけでも嬉しいですもの!」
そう言った途端、またりおんはベランダで「ぎゃあああああああああああああああああ」と叫び、ねおんは復活したかと思えたがそのままアフター。
それ程れおんへの愛が深いと言う事である。
「りおん、ねおん、落ちつけ。」
「「落ちつけねーよ‼」」
「まあまあまあ、三人共やめなさいよ。」
「「お前のせいだろうが!」」
* * * * *
別の場所では、計画が進み出していた。
「倉崎れおん・・・・・面白そうな子・・・・」
彼女はそう言い、不気味に笑った。