4.負イオンの場合
上述したように、正イオンには、それと一体化できるニュートラルキャリアが存在する。しかし、負イオン(この報文では、主としてC イオンについて記載する)には存在しない。より正確に言えば、実用化できたものはない。
そのため、初期にはAg/AgCl電極が実用化された。誤解を承知で譬えれば、これは正イオンに対するガラス電極のような存在である。
あるいは、4級アンモニウム塩と呼ばれる、N(窒素)上に正電荷を持つ化合物がイオン応答物質(Clの場合は、官能物質と呼ばれることが多い)が使用されてきた。
上記は代表例のメチルトリドデシルアンモニウムクロライド(MTDDA+Cl-)である。
また同様のN骨格(4 級アンモニウム骨格)を持つイオン交換体も官能物質として利用された。
Clイオンに対する官能物質の弱点は、ニュートラルキャリアのような優れたイオン選択性(対象イオン以外の他イオンと反応しない性質のこと)を持たない点である。実際、Clイオンの同族であるBrイオン(投薬のカウンターイオン/薬剤を水に溶かするための相方イオン、として使用される)や防腐剤に用いられるアジ化物イオン(N3イオン)、サリチル酸イオンがCl イオン以上に応答してしまう困った性質を有する。
因みに、以下の二つの化合物の反応物に、上述の4 級アンモニウム塩をごく少量(0.8%以下)加えたものを電極本体としたCl電極もある。
しかし、Brイオン、アジ化物イオン(N3イオン)、サリチル酸イオンに対しては、(Cl イオン1 ヶが1 相当応答する
として比較した場合)、2.45、1.85、0.74 程度応答してしまう。すなわち、Brイオンが1 ヶ共存すると、Cl イオン3.45ヶが加算されてしまうわけである。
これは、一般的なクラウンエーテルのイオン選択性が250倍以上ある(妨害イオンが250ヶあって初めて、対象イオン1ヶ分の妨害をする)ことに比べて、大きな弱点である。




