09-アニメ見たいな出会い
授業が終わると、すぐに教室を出ようと荷物を片付け始めた。しかし、案の定……
「なあ、冬花。朝のあれは何だったんだよ?」
女子たちが冬花たちに声をかける一方、男子たちが俺に声をかけて聞いてきた。
「別に。大したことじゃない」
「大したことないって? 春凪さんの連絡先をもらっただろ!」
「なぜお前がそれをもらうんだ!?」
「あと、デートの件は一体どういうことだ!?」
「そうだそうだ! どういうことだよ!」
「はぁ……あれはただ――」
俺は彼らをなんとかはぐらかすと思っていてが、冬花がこちらを見つめているのを見て気が変わった。なぜだか……言わなければならないような気がした。
「俺たち、友達だから。連絡先を交換したり、外で食事をしたりするのは、別に変なことじゃないだろう」
「ふ……」
「いや、でもどうしてそうなったんだよ? いつの間に仲良くなったんだ?」
「それに、春凪さんが「お礼のため」って言ってたじゃないか! 一体何をしたって言うんだ!?」
「……冬花が何人かにつけられて困っていたのを助けてあげただけだ」
「「「「「なっ!?」」」」」
「春凪さん! 大丈夫だったの!? つけられたって、どういうこと!?」
「大丈夫よ。ちょっと頑固なファンたちに会っただけ」
「一体あいつらは誰だ! まったく最悪な連中だな!」
「うわ、マジであいつらキモー」
「あいつらは外に歩いているべきじゃないな……」
「そうね……公衆の場からもう消えるべきだね」
「春凪さん、まだあいつらに悩まされてるの? どこに会えるの?」
クラスの騒がしい状態から一変、不気味な雰囲気になった……
お前ら、いきなり何を言っているんだ? 何考えてるんだおい、 こえーよ。
これは、冬花春凪の人気について以前気づいたことだ。
普通、有名になればなるほど、世間から余計な注目を浴びるものだろう。しかし、彼女の場合は逆だった。あまりにも有名になりすぎたため、 誰もが彼女と積極的に接触することができないのだ。
以前、彼女と俺の名前が似ていると騒がれる理由を知りたくて、何気なく彼女をネットで検索してみた。するとすぐに理由がわかった。
前に、冬花に関する事件があった。彼女の熱狂的なファンで構成されたグループがあったらしい。そのグループは、何らかの方法で彼女と個人的に接触する計画を立て始めていたらしい。
しかし、その計画の最中に、彼らが使っていたウェブサイト、フォーラム、チャットグループがハッキングされ、公開されてしまった。
たちまち、グループにいた全員が何らかの形で当局に逮捕されたり拘束されたりした。彼らがリクルートしていた人たちや、そのグループと何らかの縁でつながっている人たちまで含めてだ。
それだけでなく、その人たちの家族も嫌がらせを受け、日常生活に支障をきたしていたらしい。その事件は、政府がその家族たちのために介入しなければならないほどエスカレートした。
公式にはすべて解決済みだが、関係者のプライバシーと安全のために詳細はあまり明かされていない。巷で広まっていた噂は、どうやらそのファンたちや関係者、そして彼らの家族はもう国内にはいないらしい、というものだった。
この一件で、冬花春凪のファンたちがいかに異常で、どこまで彼女に執着しているかがわかった。 そのため、世間は結果を恐れて、冬花と気軽に接触しないようになった。
しかしもちろん、無知でバカな人たちもいる。
「ふふ、もう大丈夫よ。あの時冬花くんに助けてもらったら、引き下がったから」
まあ、今回はフィクションだから大丈夫。特に……
「くそっ! なんで俺じゃなくて冬花があの時いたんだ!?」
「なんで春凪さんを守るためにいたのが俺じゃなかったんだぁぁ!」
「私があの場にいて、あの野郎どもを始末べきだった!」
彼女のファンたちはこんな感じだから……
最後のやつはやべえ……
彼女のファンたちは、彼女と気兼ねなく接することができるためなら、どんな言い訳や理由でも欲しがる。
それゆえ、それを得ただけでなく、同じ苗字というくだらないことで、なぜか彼女に絡まれた俺は、妬みと恨みの対象なのだ。
まあ…でも、今さらこんなこと考えても遅いけどな。何しろ、もう正式に彼女とかかわってしまったのだから……
……うん。もう帰るから。
「それじゃ……俺はこれで……また明日」
普段はあまり口にしないが、俺は別れの言葉を残して教室を後にした。なんとなく……口にするのがしっくりとしたから。
一日の疲れを感じながら、私は1年生の廊下を歩いた。教室の中ではまだ話し声が聞こえる生徒がたくさんいて、自分のクラブに急いで行く生徒の姿も見える。
「ああ……そういえば、そろそろほとんどの部活の勧誘が終わって、1年生はもうどこに入るか決めてる頃だか……」
まあ、俺には関係なかった。だって、俺は忠実な帰宅部だから。
「――あっ!」
「ぐわー!」
元気な学生たちの間を通り過ぎ、角を曲がったとき、俺にぶつかってきた人がいた。俺たち2人とも地面に激しく倒れ込んだから、相手は走っていたんだと思う。
「痛っ……一体なにを……って、その前に……おい、大丈夫か?」
あまりいいとはいえない転ぶ音が聞こえたから、心配になり、すぐに相手に聞いてみた。
「いたた……大丈夫です……痛いですけど……問題ないと思います……」
「そう……ならよかっ――あっ」
ゆっくりと痛みから立ち直り、相手の方を見た……俺はこの日、再び言葉を失った。
目の前にいたのは、俺より少し背の低い、亜麻色のブロンドヘアーで、少し動くたびに午後の光を受けているようだった。その髪は、驚くほど繊細な特徴を持つ顔を縁取っていた。
「ごめん……なさい……ぶつかっちゃって……大丈夫ですか?」
その柔らかそうな声には、少し緊張感があり、それがたまらなく魅力的だった。
「うん……大丈夫……です」
「本当ですか……? よかった……」
ごめんなさい。
冬花との出会いを運命と冗談めかして言われるのは知っている。
しかし、これを言いたい……
先に誤ったと肝に銘じて聞いてほしい……
これこそ……今、この……
この人とのアニメ見たいな出会いが――――
運命だ。




