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13-友人として

「まあ、この話はここまでにして……本題に入ろうか。今日は何の用事だ?」


 まるで知っているかのように、風紀委員長が渡邊を見ている。

その視線を感じ取った渡邊は、大きく息を吸い、彼女の視線を受け止めた。


「私……風紀委員会に入りたいです!」

「ふむ。風紀委員会に入りたいと。なぜ入りたい?」

「それは……強くなりたいからです!」

「強くなる? それが風紀委員会に入ることと何の関係があるというんだ?」


 渡邊は彼のコンプレックスについて語り始める。しかし今回は、以前俺と一緒にいたときと違って、弱気な様子はない。

 もちろん、話すことにためらいや不安はあるが、自分の問題を率直に話している。


 風紀委員長と俺は、彼が話すのをただ静かに聞き、見守っている。彼が今、一歩を踏み出すためにベストを尽くそうとしていることは分かっているからこそ、それを台無しにするつもりはない。


「これは……自分勝手な考えだと知っていますけど……風紀委員でなら、小坂先輩と一緒に仕事をすれば、自分を追い込むことができると思うんです。私……私一人で頑張るには力不足と分かっているので……ですから! どうか風紀委員に入らさせてください! 私も同じように誰かを助けられるくらい、強くなれるためにお願いします」


 そう叫びながら、一礼する渡邊。彼は小さくも真剣な姿をもっていた。

 そんな彼を見て、俺は微笑んだ。

 そして、俺一人だけでなくてよかったと思った。


「へっ……後輩がこんなに真剣にも私を頼って信頼してくれているのなら、先輩として引き下がるわけにはいかないな」

「小坂先輩……」

「いいだろう。風紀委員への申請を承認する。きみの期待に応えられるよう、できる限りでサポートする。その代わり、個人としてだけでなく、風紀委員の一員として頑張るように。わかった?」

「――はい!」


 渡邊の笑顔には、少し男らしさの気配がある。少なくとも俺はそう感じている。


 それなのに……どうしてだ――

 なんでこいつ、そうやって笑うたびにかわいく見えるんだよ……


 ごめん、渡邊。まだこんなことを考えている自分が最低なのはわかっている。いつでも殴っていいから……


「じゃあ、今日は帰っていい。二人とも明日は早めに来るように。ホームルームの前に風紀委員会で君たちを正式に紹介するから」

「……ん?」


 二人とも……? 君たち……?

 なんだか聞き間違えたような気がする。しかも2回も。

 ああ、そうか。疲れてるんだろうな俺。きっとそうだ。そのはずだ。


 が……しかし……念のため、確認しておいて損はないだろう……


「あの……先輩? えっと、どういう意味でしょうか……」

「ん? どういう意味って、ミーティングに決まっている。大丈夫。君たちが準備するものは何もない。簡単な自己紹介だけだから」

「いや……そういう意味じゃなくて……」

「ん?」

「あの……小坂先輩」


 知っている渡邊は、何が問題なのか彼は風紀委員長を呼び掛け事情を説明する。


「冬花さんは風紀委員に入るためここにいるじゃないんです。私を応援するためですので」

「ふーん……なるほど、きみの友人としてここにいると」

「……はい。私の友人としてです」


 そう思うのはまだ早くないか、と言いたいところだが……彼の状況を考えると、彼の力になれたことと、すでに友人として考えてもらえることがうれしい。

 そうだろう? それに、彼と一緒に付き合うのは楽しいと思うし……だから……

 なんか、より罪悪感を感じる……


「まあ、きみも風紀委員に入ったらどうだ? 渡邊も、友達が一緒になってくれると心強いだろうし」

「ええっ!? いや、それは……」

「あー……ええと、冬花さんにそこまで頼めないです……でも……はい。一緒になれたら安心します」 渡邊は上目月ながら俺に言った。

「……」

「だそだ。どうする?」俺の決断を待ちながら、風紀委員長は楽しそうに微笑んだ。


 勘弁してくれ……


 今日も昨日と同じように疲れる一日だ。

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