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第7章:スタンピード

ここ数日、異常なほど静かに時間が過ぎていった。

アリスと俺は拠点の強化に集中していた。

簡易なシェルターを補強し、噴水の周囲をさらに整地し、ミアズマを抑えるために浄化範囲を広げていく。


だが、一つの問題がじわじわと迫っていた。


「サー、持ってきた食料がそろそろ尽きそうです」

アリスがディメンショナルストレージバッグを整理しながら言った。

「最長でも……一週間ほどです」


「分かってる」

俺はため息をつく。

「狩りでなんとか生き延びてるが、安定しない。種さえ手に入れば農作を始められるんだが」


アリスが躊躇いがちに口を開く。


「では……ストーンウォルドの外縁に行ってみるのはどうでしょう?

変装すれば、目立たずに物資を集められるかもしれません」


悪くない案だった。

だがリスクは致命的だ。


「無理だ」

俺はきっぱりと答えた。

「王国はおそらくお前のことも追っている。今、文明圏に近づくのは危険すぎる」


アリスは残念そうにしたが、素直に頷いた。

「……では、その案は非常時まで保留ですね」


その瞬間──

アリスの設置したエンチャンテッド警戒用トリンケットが鋭く震え、青い光を激しく明滅させた。


アリスの体が強張る。


「マナの揺らぎ……近いです」


彼女は素早くワンドを構えた。


「マナヴェール」


水面の波紋のように揺らめく半透明のスクリーンが現れ、アリスはそこに流れる目に見えないシグネチャーを解析し始める。


長い数秒が過ぎ──

アリスの顔から血の気が引いた。


「サー……北東から何か来ています。大きな群れ……」

彼女はごくりと喉を鳴らす。

「スタンピードの可能性が高いです」


冷たい圧迫感が肩にのしかかる。


スタンピードがデモンフォレストに?

ということは、何かが魔物たちを追い立てている──あるいは駆り立てている。


どちらにせよ、ろくでもない。


アリスが俺を見上げる。

「どうしますか、サー?」


俺はスタッフを握りしめた。


まだ分からないことが多すぎる。

だが──


こちらに迫っているものが友好的ではないことだけは確かだった。


第7章 終わり

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