第4章:ポータルに吸い込まれて
その後の数日間は、特に大きな事件もなく過ぎていった。
最低限の生活環境を整えたことで、私は日課に集中できた——
採集、狩り、シェルターの拡張、防御の改良。
単調ではあるが、安定した日々だった。
だが、狩りの最中に不穏な現象に気づいた。
ディア・アニマルが死ぬたびに、私は……引っ張られる感覚を覚えたのだ。
目に見えない糸が、その個体の消えゆくマナをつまみ取っているような……
そんな微かな“吸い込み”を感じた。
何も見えない。
だが、本能が警告していた——何かがマナを吸収している、と。
おそらくミアズマの原因と同質の現象だろう。
とはいえ、直接の危険がなかったため、私はひとまず目をつぶることにした。
今のところは。
食料はどうにかなっていたが、不安定だった。
本当に必要なのは“種”だ。
あの泉のそばなら作物を育てられる。
クリーン・ウォーターとピュリフィケーション・マジックを使えば、
自給できる食糧源をつくれるかもしれない。
そんなことを考えていたとき——
泉の上に浮かぶポータルが突然変化した。
いつもの穏やかな青色の光がゆがみ——
脈打つような赤い輝きへと変わった。
空気が重くなる。
マナ圧が急激に上昇する。
“何か”が来る。
次の瞬間、小さくねじれた三つの影がポータルから転げ落ちてきた。
「……ゴブリン?」
緑色の皮膚。
ゆがんだ手足。
針のような歯。
そして、ダンジョン由来のマナに染まった真紅の瞳。
「どこから湧いて出た……?」
彼らは甲高い叫び声を上げ、一直線にこちらへ飛びかかってきた。
反射的に杖を構える。
「ウィンド・ブレード!」
杖の先端から緑色のマナが弧を描いて放たれ——
ゴブリンたちをまとめて両断した。
その肉体は黒い塵へと崩れ……
完全に霧散した。
残されたのは、小さく輝く三つのクリスタルだった。
「……は? なんだこれ?」
しゃがみ込んで、一つを手に取る。
「マジック・クリスタル……いや、レッサー・マジック・クリスタルか。」
ダンジョン由来の素材。
純粋なマナが凝縮し、安定化した結晶。
希少。
価値が高い。
エンチャントや簡易的な道具のクラフトにも使える。
クラフトの専門家でない自分でも、何かしら作れるはずだ。
思わず口元がほころぶ。
「……よし。ありがたく活用させてもらうとしよう。」
第4章 終わり
皆さま、こんにちは。作者です。
小説を書くというのは、思っていた以上に大変な作業ですね。
最初は「楽に書けるだろう」と考えていたのですが、いざ書き始めると頭が真っ白になり、言葉が出てこないこともあります。
それでも、最後まで書き切れるように、これからも精一杯頑張っていきます。
ここまで読んでくださった皆さま、よろしければ感想欄で作品のご意見やご感想をお聞かせください。
それでは、また次の章でお会いしましょう。
sylviemains




