Lesson34「Slackハッピーアワー」
Lesson34「Slackハッピーアワー」
金曜日の夕方、定時を過ぎた頃にSlackに通知が入った。
**蓮見唯花** 18:05
皆さんお疲れ様でした!今日はオンライン飲み会しませんか?
Zoomでゆるーくやりましょう!
**碓氷紗綾** 18:06
いいですね!筋トレ後のプロテインタイムと合わせられます
**佐々木翔** 18:07
僕も参加します。久しぶりにお酒飲みたい気分でした
僕は画面を眺めながら迷っていた。オンライン飲み会か。最近はこういうのが流行っているらしいが、参加したことがない。
**雪杉香** 18:08
オンライン飲み会って何ですか?
**蓮見唯花** 18:08
雪杉ちゃん、家でお酒飲みながらビデオ通話するのよ
**雪杉香** 18:09
面白そうですね!でもお酒飲めないんです...
**蓮見唯花** 18:09
だしでも何でもOK!要は一緒に乾杯するってこと
僕はキーボードに手を置いたまま、返事に迷っていた。酔った勢いで何か変なことを言ってしまいそうで怖い。
**蓮見唯花** 18:10
@上村優 どうですか?
名前を呼ばれてしまった。断りづらい雰囲気だ。
**上村優** 18:11
僕も参加させてもらいます
**雪杉香** 18:11
わーい!上村さんも参加するんですね☆
**蓮見唯花** 18:12
じゃあ19時からZoomで!リンク送りますね
僕は慌ててコンビニに駆け込んだ。お酒は何にしよう。ビール?日本酒?ワイン?結局、無難にビールの350ml缶を2本買った。
家に帰ってシャワーを浴び、適当な部屋着に着替える。でも画面に映ることを考えて、上だけはちゃんとしたシャツに着替えた。
19時ちょうどにZoomのリンクをクリックすると、既に何人か参加していた。
「お疲れ様でーす!」蓮見さんの元気な声が聞こえる。
画面には蓮見さんが映っていて、手には白ワインのグラスを持っている。部屋の照明がオシャレで、なんだかカフェのような雰囲気だ。
「上村さん、こんばんは!」
「こんばんは。お疲れ様でした」
碓氷さんも参加していて、彼女はプロテインシェイカーを持っていた。
「今日は腕の筋トレをしたので、プロテインで乾杯です!」
佐々木も画面に現れた。彼はちゃんとスーツのシャツを着ていて、手にはハイボールのグラスを持っている。
「皆さん、お疲れ様でした」
そして最後に雪杉さんが参加した。
「こんばんはー!」
雪杉さんの部屋が映ると、みんなが「おお」と声を上げた。壁に観葉植物がたくさん置かれていて、間接照明がとても柔らかい光を放っている。まるでヨガスタジオのような雰囲気だ。
「雪杉ちゃん、お部屋オシャレ!」蓮見さんが感激している。
「ありがとうございます。今日は特製だしを用意しました」
雪杉さんが手に持っているのは、いつものだしマグカップだった。
「乾杯しましょうか!」蓮見さんが提案する。
僕たちは画面越しにグラスやマグカップを掲げた。
「お疲れ様でした!」
「乾杯!」
僕はビールを一口飲んだ。久しぶりのアルコールが喉を通っていく。
「みんな、今週はどうだった?」蓮見さんが話題を振る。
「僕は新しいクライアントの対応で忙しかったです」佐々木が答える。
「私は新しい筋トレメニューを開発しました」碓氷さんが嬉しそうに言う。「腹筋とヨガを組み合わせたオリジナルメニューです」
「すごいですね」雪杉さんが感心している。「私も今度教えてもらいたいです」
「ぜひ!雪杉さんならすぐに覚えられますよ」
僕はビールを飲みながら、みんなの話を聞いていた。普段はオフィスでしか会わないメンバーの、プライベートな一面が見えて新鮮だ。
「上村さんはどうでした?」雪杉さんが僕に話を振る。
「僕は...そうですね、雪杉さんのVR瞑想を見学したのが印象的でした」
「あ、そうでしたね」雪杉さんがクスクス笑う。「宇宙空間、気持ちよかったです」
「雪杉さんって、本当に宇宙が好きですよね」
「はい。小さい頃から星を見るのが好きで」
雪杉さんの話を聞いていると、ビールの効果もあってかリラックスしてきた。
30分ほど経った頃、蓮見さんが面白い提案をした。
「今日は『本音タイム』にしましょうか」
「本音タイム?」
「普段言えないことを言っちゃうの。お酒の力を借りて」
碓氷さんが「面白そうですね」と乗り気になる。
「じゃあ私から」蓮見さんがワインを一口飲む。「実は佐々木くんのことを見直してるの」
「え?」佐々木が驚く。
「最近、仕事に対する姿勢がすごく真摯で。前はちょっとエリート意識が強いと思ってたけど、実は努力家なのね」
佐々木の顔が赤くなった。
「あ、ありがとうございます...」
「次は碓氷さんの番」
「私の本音ですか」碓氷さんが真剣な顔になる。「実は、みんなが筋トレに興味を持ってくれて、すごく嬉しいんです」
「そうですよね」雪杉さんがうなずく。
「一人で黙々とやっていた筋トレが、みんなとの共通の話題になって。筋肉は人をつなぐんだなって実感してます」
「筋肉は人をつなぐ...いい言葉ですね」佐々木が感心している。
「次は佐々木くんね」
佐々木が少し考えてから話し始めた。
「僕の本音は...最近、自分が変わったなって思うんです」
「どう変わったんですか?」雪杉さんが興味深そうに尋ねる。
「前は仕事の成果ばかり気にしていたけど、今は一緒に働く仲間との時間も大切だなって」
佐々木が蓮見さんをちらっと見る。蓮見さんも少し頬を染めている。
「それは良い変化ですね」雪杉さんが微笑む。
「次は雪杉ちゃんの番よ」
雪杉さんがだしマグカップを両手で持って、少し考えた。
「私の本音...」
みんなが静かに待っている。
「最近、お仕事が楽しいんです」
「楽しい?」
「はい。前の会社では、毎日がすごく大変で。でも今は、上村さんに毎日ツッコまれるのが楽しくて」
雪杉さんが僕を見て笑う。
「ツッコまれるのが楽しいって...」僕は苦笑いした。
「上村さんのツッコミって、怒ってるんじゃなくて、心配してくれてるのが分かるんです」
その言葉に、僕の心臓がドキドキと鳴った。
「だから安心してサボれるというか...」
「安心してサボれるって」僕は思わずツッコんでしまった。
「ほら、今もツッコんでくれました」雪杉さんが嬉しそうに笑う。
蓮見さんが「あら~」と意味深な声を出す。
「最後は上村さんね」
僕の番が来てしまった。ビールの酔いも回って、普段なら絶対に言わないようなことが口から出そうになる。
「僕の本音は...」
みんなが期待するような顔で僕を見ている。特に雪杉さんの大きな瞳が、画面越しでも印象的だった。
「最近、雪杉さんが気になって仕方ないんです」
言った瞬間、僕は後悔した。完全に酔った勢いだ。
画面の向こうで、雪杉さんの顔がパッと赤くなった。
「き、気になるって...」
「あ、いや、その...」僕は慌てて言い訳しようとした。「仕事のことで、心配になるというか...」
でも酔いが回っているせいで、歯止めが利かない。
「雪杉さんがいつ昼寝するのか、いつだしを飲むのか、いつヨガのポーズを取るのか、つい見てしまうんです」
「見てしまう...」雪杉さんがますます赤くなる。
「それで、雪杉さんが楽しそうにしてると、僕まで嬉しくなって」
「上村さん...」
「あ、でも変な意味じゃなくて!」僕は慌てて手を振る。「同僚として、心配してるだけです」
でも画面の中の雪杉さんは、だしマグカップで顔の半分を隠していた。
蓮見さんが「きゃー」と小さく声を上げる。
「上村さん、それ完全に...」
「蓮見さん!」僕は慌てて止めようとした。
でもその時、雪杉さんが小さな声で言った。
「私も、上村さんのこと気になってます」
今度は僕の顔が真っ赤になった。
「え?」
「上村さんがどんなツッコミをしてくれるのか、いつも楽しみで」
雪杉さんがだしマグカップから顔を少し出す。頬が桜色に染まっている。
「だから最近、わざとサボってるところもあります」
「わざと?」
「上村さんの反応が見たくて」
その告白に、僕の心臓は限界近くまで跳ね上がった。
画面の向こうで、碓氷さんが「これは恋のホルモンですね」とつぶやいている。
佐々木が「なんか、すごい展開になってますね」と苦笑いしている。
蓮見さんは「キュンキュンする~」と手をひらひら振っている。
「あの...」僕が言いかけた時、雪杉さんが立ち上がった。
「すみません、ちょっとトイレに...」
雪杉さんの画面がオフになった。
残された僕たちの間に、微妙な沈黙が流れる。
「上村さん」蓮見さんがニヤニヤしながら言う。
「はい...」
「完全に両思いじゃない」
「そんな、まだ...」
「いやいや、今の流れは完全に相思相愛でしょう」碓氷さんも同意する。
「佐々木さんもそう思いますよね?」
「確かに、傍から見ていてもそう感じます」佐々木がうなずく。
5分ほどして、雪杉さんが戻ってきた。
「すみません、お待たせしました」
雪杉さんの顔は先ほどより落ち着いているが、まだ少し赤い。
「雪杉ちゃん、大丈夫?」蓮見さんが心配そうに尋ねる。
「はい、大丈夫です。ちょっと、顔を冷やしてきました」
(顔を冷やすって、やっぱり恥ずかしかったんだ)
その後の飲み会は、なんとなく照れくさい雰囲気のまま進んだ。僕と雪杉さんは直接話すのを避けるような感じで、他のメンバーを通して会話していた。
21時頃、みんなで解散することになった。
「今日は楽しかったです」雪杉さんが笑顔で言う。
「また今度やりましょうね」蓮見さんが提案する。
「次は筋トレ談義もしましょう」碓氷さんが意気込んでいる。
「お疲れ様でした」佐々木が手を振る。
一人ずつ退出していき、最後に僕と雪杉さんだけが残った。
「あの...」僕が口を開きかけた時、雪杉さんも同時に話し始めた。
「上村さん...」
「あ、雪杉さんからどうぞ」
「今日は、変なこと言ってすみませんでした」雪杉さんが頭を下げる。
「いえ、僕こそ酔った勢いで...」
「でも」雪杉さんが僕を見つめる。「嘘は言ってないんです」
「僕も嘘は言ってません」
僕たちは画面越しに見つめ合った。
「明日、普通に仕事できるでしょうか」雪杉さんが心配そうに言う。
「大丈夫です。いつも通り、雪杉さんをツッコみますから」
「それなら安心です」雪杉さんがクスクス笑う。
「おやすみなさい、上村さん」
「おやすみなさい、雪杉さん」
画面が切れた後、僕は一人でビールの残りを飲みながら考えていた。
今日の雪杉さんの言葉は本音だったんだろうか。酔った勢いだったんだろうか。
でも、あの赤くなった頬は、確実に本物だった。
翌日の月曜日、会社で雪杉さんと顔を合わせるのが楽しみで、同時に恥ずかしくて仕方なかった。
サボりの美学は雪杉さんに学べ。
――雪杉「本音は画面越しでも伝わる、顔を冷やしても隠せない」
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※この話は全てフィクションであり、実在の人物や団体などとは一切、関係ありません。
※AI補助執筆(作者校正済)




