私の愛しい穢れなき真っ白な魂
ああ、貴方が生まれ幾許の時が過ぎたのでしょう?
ああ、貴方に遺品たる、貴方である証を渡し、幾許の時が過ぎたのでしょう?
ああ、ご覧なさい。今まさにユシカの星は、黒く薄汚れ、穢れた魂に覆い尽くされている。
ああ、今夜は何時になく光の球が溢れ、艶やかに、そして美しく輝いて見える……――
ああ、全くユシカの星が、穢れた魂で満たされた証ではありませんか……
ああ、貴方はこの銀河の世界で、貴方の、湯水のごとく途切れることない功名心からなる、そう、心の奥底から欲し、望んだ総て、そう、完璧にして、無欠の野望を、その手にしたではありませんか?
地の底で響き渡る、呻き声と岩を砕く音。そして、見てご覧なさい。この何処までも果てしなく広がる世界を。誰彼の都合や欲望で、身勝手に引かれた境界線で遮られることのない、永遠にして永久、未来永劫続く、不滅の世界。
ユシカが生み出す憎しみも、怒りも、悲しもない。増悪のない世界。此の拠り所こそ、貴方が求めたサンクチュアリであり、エデンのそれではありませんか?
ああ、確かに、でも、罪を背負いし貴方は、その身をもって、叶えられた野望の対価を払い、大いなる代償を払いました。
ああ、確かに、この銀河の世界において貴方ほどに苦しみを背負った者はいないでしょう。
それでも、考えてご覧なさい。あの、一滴余さず、全身の血が凍るような苦しみからしたら、貴方の今が、どれ程に恵まれ、どれ程に満ち足りているかを。
貴方が今、求め、手にしようとするものは……真実であり過酷で苛烈極まる過去であり未来。
そう、貴方が見ているものは、未来ではなく、過去なのです。
気づきなさい。追い求めるものは過去ではなく、未来であることを――……
私の愛した穢れなき真っ白な魂の子よ。