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 宴の喧騒から離れ、紫烏と織江は庭園に据え置かれた長椅子に腰を降ろした。

 茅亥紫烏(かやいしゅう)

 刈安の姫君で、璃雪と常雪とは幼い頃よりの仲。

 常雪が惚けてしまうのもよく解る。

 珍しい蜷色(にないろ)の瞳は、磨き上げられた緑の瑪瑙(メノウ)そのもの。黄水晶(シトリン)で作られた髪飾りが、艷やかで張りのある焦色の髪の美しさを引き立てている。

「織江さんは、常雪様の側仕えと聞きましたが···」

「はい。御方様より仰せつかりまして」

「身に着ける物も、織江さんのお見立てとか?」

「ええ···紫烏様もよく御存知でしょうが、我が若君は飾る事に頓着が無さすぎておりまして」

「········いわ」

「?申し訳ありません紫烏様、今なん···」

「素晴らしいわッ!!!」

 聞きこぼしを問うた瞬間、疾風の如き勢いで、紫烏が抱きついてきたのだ。

「へ!?····紫烏様?!?!」

 織江は驚き、無邪気に自分に抱きつく姫君を、どうしたらいいのか戸惑った。

「あら!私ったら、御免なさい。でも、貴女に伝えたくて」

 紫烏は織江に気がついたのかどうか、その身を離す。

「は、いえ。あの、伝えたいとは?」

 織江の問に、空の星が集まってきたのかと見まごう程、紫烏はその美しい瞳を輝かした。

常雪(とき)様のこと!!嗚呼···。初めてお会いしたのは、あの方が三つの時よ。野山をかける子熊のような、くりくりの(まなこ)が愛らしく、人見知りで、御父上の|着物を掴んで、その背から、ちら、ちら、と私を見る姿が、何でしょう?堪らなく、爪先の方からじりじりと、言い様のない感情で、この身が捩れて、どうにもこうにもならなくて···」

 そうやって恍惚と、自分の肩を包み込むようにして身を振るう紫烏の姿に、若干の狂気を感じた織江は、す、すっと腰をずらし、距離をとる。

「馴染み始めたら「しゅう様!しゅう様!」って、私の後を付いて····だけど、五つに成られた頃から常雪(とき)様は、御家族にも、私にも、あまり感情を表さなくなってしまって···私、凄く寂しかったの···凄く···」

 紫烏が話しているのは、常雪が覚醒した頃の事だろう。

 記憶が戻る前兆だったのか、あの事故の事、自分が魂を込めて創った『しきおり』の事が、夜毎、悪夢となって、幼い常雪の頭を掻き乱した。

 苦しみに耐えかね、夢に見た事を家族に打ち明けたが、子供内の絵空事だと両親も、璃雪にも信じて貰えず、その辛さから心を閉ざした時期もあったと、『常雪の部屋ドンドン事件』の後、常雪本人が話してくれた。

 織江自身は、産まれてまもなく自分が何者かを理解した上で、新しい人生を送っていたが、その一方で、突然自分が何者であったかを知ることと成った幼い常雪は、どれ程辛かったか。

 愛し慈しんでくれる家族が、赤の他人のように映る瞬間、その直後におとずれる疎外感を想像するだけで、織江は恐ろしかった。

「でもね!今日、私の馬車に来られた常雪(とき)様はあの頃の彼だったの!」

「···常雪様がですか?」

「ええ♪···久々にあの方の瞳を見て、確信しました。もう大丈夫だと、またあの方と時を共に出来ると」

「紫烏様···」

「それに···」

「···それに?」

 紫烏の身体が小刻みに震えだし、織江は泣いているのではないかと心配で、俯き加減の顔を覗こうとした瞬間、今度は息づく間もなく、紫烏に手を握り取られた。

「っぬ嗚呼!!あの姿!!まだ少年の様子を残しているものの、あないに立派で、精悍な男性に成るなんて!!」

「し、紫烏···さ、ま?」

「解っていました、ええ、解っていましたわ!!幼子の時からとても素敵だったの!!成人なされば、もっと、もっと、もっ······と!!素敵に成られることは一目瞭然でしたの!!嗚呼、馬車にいらした瞬間の、少し落ちくぼんだお目元でさえ、素敵で···嗚呼、悩ましい常雪(とき)様····」

 先までの感傷は何処へやら。

 自分の手を握ったまま、思うがまま、あの恍惚な表情を浮かべ、常雪の事を語る紫烏を見て織江は確信した。

 我が主は、とんでもない姫君に恋をしたと。

 そして、その姫君は平静を装い、間違いなく、誰一人も想像がつかない熱量で、我が主を溺愛していると。


「あ!それでね、織江さんに聞きたい事があるの!」

「はい!何でしょう?!」

 突然真剣な表情で乞われ、織江は戸惑いながら応える。

「その····常雪(とき)様に、縁談とか···」

「···はい?」

「あ、え、だから···その、好いている女性は居るのかしら?」

 何を言っているのか。

 織江は顔を赤らめる紫烏の姿に、純粋に驚いた。

 これ程に自分は常雪を思いながら、相手が自分をどう思っているのか、どうも紫烏自身は解っていないらしい。

 見方を間違って居るのか、常雪があのような気質ゆえなのか、それか、こうした焦れったさが恋の醍醐味?なのか、織江の頭の上を疑問符が飛び交う。

「織江さん?」

「あ、え?!あっと···お解りに成りませんか?」

 織江の言葉に、小首を傾げる紫烏。

 こういうのは、当人同士で答え合わせをする(距離を縮める)べきだと思うのだが、どうしたものか、ゲームと同じぐらい、惚れた腫れたに疎い織江は頭を抱えた。


「───茅亥の姫様、それは『愚問』ではないかと?」


 天の助けか、小気味良い風に乗って、何者かが声を掛けてきた。

 織江は懸命に当たりを見回すも、姿が見つからない。


「下らない恋話に付き合わされて、まったく···あ、そうだ。───心優しい織江殿に」


 今度は声に併せて、何か、頭に置かれた気がした。

 織江は、紫烏に捕まらなかった方の手を伸ばし、指先を使って、自身の旋毛ら辺を探る。

 すると、何か丸みを帯びた、柔いものが乗っていたのでそれを壊さない様にそっと、手に取ってみた。

「───大手毬の花?だけど···」

 そう、時期ではあるが、この辺りには薔薇くらいしか見当たらない。一体どこから来たのか。


「気に入って頂けたかな?」


 まあっと声を上げ、先に気がついたのは紫烏だった。上の方を見て、その先に居る者に顰め面を飛ばしている。

 一体、どうしたのか。織江も紫烏に釣られるようにして、上を見上げてみた。


 ────どうしたのだろう。

 満月だからなのか、そこだけがとても輝いて見える。

 図鑑などで見た豹のように、太枝に身を任せ、シニカルな笑みを浮かべながらこちらを見ている男。

 青みの強い、菖蒲色(あやめいろ)の瞳に、夜空の様な深い鋼色の髪。

 ギリシャ神話に描かれる星空の神、『アストライオス』が実在したのなら、この男のような姿なのだろうか。


「─────くすぐったいな」


 織江は驚愕した。

 笑い声につられ、我にかえって見てみれば、頭上にいる男の頬へと手を伸ばし、しっかりと触れていたのだ。

「···私───!!も、申し訳御座いません!!失礼を」

「···構いませんよ」

 そう言って男はゆっくり身を起こし、身を預けていた枝に腰を掛けた。

「女子の秘事を盗み聞くなんて、貴方という方は···」

「人聞きの悪い事を。私が休んでいた処に、貴女が織江殿を連れてやってきただけです。でなければ、そんな下らぬ話など、聞きたくもありませんよ」

 男の言い草に、誰が見てもわかるくらい、紫烏は怒りを露わにしていた。

「なんですの!先から「下らない、下らない」と!!」

 やれやれとさっきの笑みを浮かべながら、男が鼻を鳴らす。

「風見の二の君も、貴女も、相思相愛で在ることは、此処に集うた者なら全員知っております。だから、今更何をたじろぐことがあるのか···知り解った事をぐじぐじと、他者に(あらた)めるのが下らぬ!と、言っているのです」

 さらりと図星を突かれた事に、紫烏の全身に恥ずかしさと怒りが込み上げてくる。

「────!っとに···貴方という方は言って良···」

「───確かに····」

「···え?織江、さん?」

 ずっと黙ったままだった織江の唐突な発言に、紫烏は怒りから覚める。

「紫烏様、この御方が仰る事も一理あります。我が主は幼少の頃より貴女をお慕いしているのです。今日の事だって、兄君·璃雪様に『怪我の功名』などと、茶化され、大層照れておいででした♪」

「···ほ、本当に?」

「はい」

 織江の真っ向な返事に、紫烏があの独特な身悶えをし、昂ぶる気持ちを噛み締める。

 太枝の男は、その様子に呆れ笑いを吹く。

「やれやれ····」

 男はそう言ってひょいと枝から飛び降り、織江達の座っている長椅子に背を向け、その場から去っていった。

 そして次の瞬間、今度は織江が紫烏の手を掴み、間髪入れず申し出た。

「紫烏さま!!申し訳御座いませんが、先に常雪様達の処へ戻って頂けませんか?」

「え?!そ、それは、構わないけれど?」

「ありがとう御座います!ではっ!!──」

「あ、ちょっと?!織江さん?···ええ?···」

 紫烏の了承を得えたと同時に、織江は男を追って駆け出した。

 どうしたことかよく解らないが、紫烏は言われた通りに、一人、宴の席へと向かった。


 月明かりのお陰で、辺りを見通す事は出来るが、中々あの不思議な男が見つからない。

 今様華族の庭は、薔薇を中心に、春の喜びを讃えるかのように花木が咲き乱れていた。

 駆ける空気の中、嫋やかな花弁の香りが鼻をくすぐる。

「どこかしら····」

 織江は駆けては辺りを見回し、男の姿を必死に探す。

「·····そうだわ!!」



 ────すっかり忘れていたが、宴に残された常雪はというと、またまた予想外の展開に巻き込まれていた。


常雪(とき)様から離れて下さいまし!」

「何故です?」

「何故って···」

「偉そうに。貴女、常雪様の何ですの?」

「わ、私はっ···兎に角!その手を離して下さい!!」

「こら、紫烏!落ち着きなさい···」

「でも宝珠兄様(にいさま)!!」

「まあまあ、紫烏ちゃん。姫様、弟はこうした場は不慣れでして、今宵は···」

「あら···なら、璃雪様も御一緒に♡」

「え?!あ、私もですか····ええと···いやあ···」

「さ!参りましょ♡」

「あ!待って···嗚呼、常雪とき様···」


 女子というのは、こんなに力強かっただろうか。と、どんどん小さくなってゆく愛しの紫烏()の顔を力無く見つめたまま、兄諸共、腕を捕まれ、無理矢理引きずられるようにして、主賓席の方へと連れて行かれる常雪。


 ────話が始まったのは半時前。

 織江達の帰りを待つさなか、姫君のお披露目が始まり、宴の盛り上がりは最高潮を迎えていた。

 御輿に乗って現れた姫は、顔を扇で隠していたが、幸いにも常雪達の居た位置から髪の色を確認することは出来た。

 星屑で染め上げたような金色の髪は、波を描き、艶やかに、そして華やかに光を放っていた。

(金髪···だとすると、姫君は愛らしく、性格は温厚。話し掛けるには持って来いの『設定』だ!有難い)

 そして御輿が主賓席へ到着し、姫君がゆるりと立ち上がったのだが───

 まず初めに違和感を感じたのは、姫の身長が思いの外、高かったことだ。

 一応、キャラクターデザインの打ち合わせでは、155センチ程の小柄な女性という設定だったはずなのだが、自分の死後、何かしらの変更が入ったのだろうか。と、常雪はしばらく様子を伺った。

「御列席の皆様、此の場をお借りして、私の娘を紹介させて頂きます!···先の戦乱で、行方が分からぬまま十年もの月日が経ちましたが、やっと!こうして再び出逢うことが出来ました···我等が御神に感謝致します!!」

 今様華族代表の口上により、来賓者達の熱量が上がっていく。

 東が連合国家となる前の時代まで、その頂点に君臨していたのが春を司る今様だった。

 その栄光は、輪郭を失った今でも、目に見えない楔となり、国儀に関しても、最終的な決定を握るのは未だにこの国だ。

 その今様の、しかも上級華族の姫君が、婿取りをするとあらば、成り上がりたい者共が名乗りを挙げ、息子を差し出すのは当然だ。

 因みに言うと、元は半の姫君で、利休の一都市現領主の妻。二人の母である黝簾にそんな気は一ミリもない。

 ただ単に、()()()から、息子をこの式典に飾り送り込んだだけだ。

「さあ、姫···」

 姫君は父親の言葉にこくりと頷くと、顔を隠していた扇を閉じ、花婿候補達にその顔を披露した。

「····なんと美しい」

「亡くなられたお妃様にうり二つではないか!」

「これは、これは、想像以上の別嬪」

「天女が降りたかと思いましたぞ!」

 露になった姫の面差しに、その場にいた男達が歓喜の声を上げる。

 やや眼尻の下がった若草色の瞳。長いまつ毛が表情を艶やかに、頬はほんのりと色づき、唇は庭に咲く薔薇のように鮮やかだが、けして下品にならないのは彼女の生まれ持った資質の賜物だろう。

 背丈を活かした、鮮明な新橋色の裾引きは、今様の国花である桜の刺繍が施され、合わせた帯には、縁起物の鯉の滝登りが描かれており、まさに豪華絢爛。主役たる彼女に相応しい装いだ。

 やはり死後、何かしらの変更があったとしか思えないそのプレイヤー()の出で立ちに、常雪は人知れず思考を巡らせていた。

「へえ···()()春国の姫君って感じだね」

「璃雪は挨拶に行かぬのか?」

「やめてよ···僕がこういう上っ面の催しが苦手なのは宝珠、君が一番よく知っているだろ?」

 辟易した様子で手を払う璃雪の姿に、宝珠はそうであったと鼻を鳴らす。

「そういう君は行かないのかな?」

「まあ、私もお前と同じでこういった事は苦手だ。それに、明日の茶会では、否応なく、あの方と言葉を交わす事に成るだろうからな···」

「だよねえ····うん?」

 何やら今様の席がざわ付き出したので目を遣ると、どうした事か、我先にと群がる野心家共に見向きもせず、人を分け、主役の姫君が利休の席へと、一直線に進み寄って来るではないか。

 璃雪は、自身の傍らに居る宝珠を見て、成る程と思った。

 確かに、国儀に置いて重きを置かれるのは今様だが、それを他二国家も納得出来るように纏め、今様を抑制しているのは刈安だ。

 もし、姫が宝珠と結ばれれば、今様の政権は確固たる物になる。可愛い娘をも政の手札にするとは。璃雪は、激しい嫌悪感を抱いた。

 ──だったのだが、何と言う事だろう。姫君は宝珠にすら見向きもせず、未だ一人、物思いに更けいる常雪の前へ着いた途端、猛進を止めたのだ。

「あ····あの·····」

 当たり前に、常雪は自分の前で恥じらう姫に気が付きもしない。

 これは不味いと、璃雪が肘先でこんと突付く。

「兄上、後にしてください」

「いや、そうもいかなくて···」

 璃雪の小突きに返事をするも、一向に前を見ない常雪。

 もう一度、璃雪は自身の肘先を、先より少し強く、鈍感が過ぎる弟におみまいした。

「····っな、もう!何ですか兄上?!私は──」

「────あ!あの!!」

 視線を隣に立つ璃雪の方から、ぐうっと前方へ向けてみると、悩みの種である姫君が、その姿からは想像できぬ程にもじもじと、何か言いたげに立っていた。

「か、風見···常雪様、ですか?」

「?···そうですが···」

 自分の前にいる青年が、常雪であると確信出来た瞬間、姫君の目が爛々と光りを放つ。

「あの!宜しければ、私共の席へいらっしゃいませんか?我が家自慢の藤棚を、是非、常雪様に見て頂きたくて♡」

 しまった。と、常雪は思った。

 物思いに更け込んだばかりに、自分が"イベント"の渦中に在る"攻略対象キャラクター"であることをすっかり忘れてしまっていたのだ。

 あれだけ、織江に偉そうな事を言っていたのに、なんと言うざまかと、気を抜いていた己を恥じた。

 しかし、今は後悔に苛まれている場合ではない。

 なんとかして、姫の気を他者へ向かせなくてはと、常雪は素っ気ない態度を取ったのだが、どうもこのプレイヤー(姫君)は、自分に興味が無い者ほど、惹かれてしまう気質のようで、結構。御免。と、常雪が言葉を重ねていく毎に若葉色の瞳が、ギラギラと、その輝きを増してゆく。

 いよいよ気持ちを制御出来なくなった姫君は、常雪の腕に自分の腕を絡ませ、今様の主賓席に連れて行こうとした。

 そこへ、織江と別れた紫烏が戻ってきた事で、利休の席に混乱が起きたというわけだ。

 先程、織江から常雪も自分を想ってくれていると聞かされ、この美しい夜空に舞い上がりそうな気持ちで皆の元に戻ってきたというのに、着いてみれば、会ったことのない妙齢の女性が、想い人に腕を絡めている。

 その姿を見た紫烏は、一瞬青くなったが、直ぐに赤くなり、顔名も知らぬ無作法な姫君に嫉妬の炎を燃やした。


─────なんですの、あの女!!あああっ!!やっぱり織江さんと一緒に戻れば良かった···悔しい!!!私の可愛い常雪(とき)様が···早くお戻りなって織江さん!!

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