表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

名探偵⁉姫子<姫子の毎日>

作者: 紗 織

 「見つけた!」

思わず声が出てしまった。

 足がかりとなる一つ目の印である。ここから次々と発見して、一気にフィニッシュへと向かう…はずだった。


 いつもなら五分、遅くても十分あれば終わるはずの隠れミッキー。隔月で登場する新たなイラストの中に、必ず三つあるはずのその印が、今日はなぜか二つしか見つからないのだ。


 「おかしいわね、無いわ。」

 一つ目の大きめな印は(水の中や雲の中、木の幹等に少し目立ち過ぎじゃないの?と思わせる位に大胆にあるのだが)、いつものように配置してあった。

 そこから距離を取った場所、そう、イラストの対角に位置する感じで二つ目も発見。リズムよく発見し、ご機嫌になる。

 だが、ここで壁にぶつかってしまったのである。


 「無いわ。」思わずまた呟いてしまった。

 対角線上、画面の上下左右、いつも見つけていく様々な法則を駆使して探し続けたが、発見できるのは「これはきっと隠れミッキー風のイラストだな」と思われる物ばかりである。


 どういう事だろう?今まで二つだったことは無かったけれど、今回はそうなのか?発見が出来ないまま、何となく納得する結論にも到達出来ず、悶々とした時間が過ぎていく。


 

 「カリカリカリ。」

 いつまでも部屋から出てこないのを心配したのか、退屈になったのか扉の向こうにさくらが私を呼びに来てしまった。

 扉を開けたら嬉しそうに見上げている

「ごめん、ごめん、長かった?ちょっと熱中しちゃった」。タイムオーバーである。


 まあ次のイラストになるまでの期間は二カ月もあるし、次の機会に見つければいいか。そう気軽に考えてから数日が過ぎた。


 「探さない日もあるとはいえ、随分見つからないわね」。何度目かの挑戦でも発見できなかった自分に落ち込みを隠せない。

 「こうなったら、初心に帰って総力戦ね。」

 下手な法則を使うことを止めて、端っこから順番にイラストを近くでゆっくりと眺めていくことにした… 次の瞬間、あっさりと謎が解けてしまった。


 「えっ。こんな偶然が重なっていたの?あらあら。」

 イラストの端の方は、隣にハンドタオルをかけている影響で、水滴がかかることがある。若干シワシワになっているイラストに白熱灯のライトが当たって微妙な凹凸が影となっているその部分に隠れミッキーがいたのである。


 いつも少し離れた場所に座って、そこからイラストを眺めて探していたのでは、単なるシワシワとしか見えていなかった場所であった。


 「とんだ落とし穴があったものね。」わだかまりがスッとなくなって、気分良く扉を開けて部屋を出ていく姫子であった。

                                  おわり


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ