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【第52話】会心の一撃

(レイリス.....まずはお前からだ)


当初の作戦では、不意打ちの一発目でシルヴィアを行動不能にした後、残りのメンバーを叩く予定だった。


しかしそれが失敗に終わり、レットまで失った今、光たちが勝つには正面突破しかない。


先に火力担当であるレイリスを潰し、攻撃手段を無くしたシルヴィアからバッジを奪取する。


戦略もクソもない作戦だが、圧倒的不利なこの状況を考えれば、他に方法はないだろう。



『シルヴィア様! 三刀屋の奴が一人でこっちに向かってきてます!』


『あいつ馬鹿なの? こっちにはレイリス様もいるのよ?』


シルヴィアのパーティーにはレイリスの他に、アッシュとレオナという二名の生徒がいる。


彼らは生粋のエルグラント人なので、国のトップに位置するシルヴィアとレイリスへの信仰心はMAXだ。


「俺達のシルヴィア様が負けるわけがない」と、今もこうして、たった一人で突進を仕掛けてきた光の愚かさを盛大に嘲笑っていた。


『レイリス様、あんな奴ちゃちゃっとやっつけちゃってくださいよ!!』


『私も、お二人がご活躍するところ最後にもう一度見たいです!!』


アッシュとレオナは、これまた下っ端感満載の口調でそんなことをレイリスに言う。



対してレイリスは、アッシュ達が居る方には顔を向けず、視線の先にいる男をただただ真っ直ぐに見つめながら、


「.....そうだね」


と適当な相槌を返すだけだった。



そう、シルヴィアはともかく、レイリスは油断など一切していなかったのだ。


光の実力を誰よりもよく知っている彼には分かる。


魔法の制限を掛けられているとはいえ、気を抜けば一瞬でやられてしまうということが。



「射程に入った.....奴を捕らえろ、ナイトメア・プリズン!!!!!」


光は土煙が上がるほどの疾走を見せ、射程圏内まで素早く潜り込むと、そのまま一発目の魔法を唱える。


レイリスの頭上に漆黒の牢獄が現れ、そのまま標的を捕食するかのように扉を開き、瞬く間に落下を始めた。



「フッ.....この程度の魔法なら、わざわざ避けるまでもないな」


狙われているのは自分だというのに、防ぐ素振りすら見せずに笑っているレイリス。


彼は真剣なのかそうでないのか、もはやどちらなのか分からない。


この余裕は一体どこから来ているのか。


その答えはすぐに分かった。



「お願い!! ダイア・プロテクション!!!!!」


漆黒の牢獄とレイリスの間に挟まる位置に出現したのは、光り輝く白妙の盾。


黒と白という対象的なカラーの魔法が、お互いを消しあう様に衝突を始める。


その刹那、激しい炸裂音と共に、両者は粉々に砕け散った。



(.....まあ、そう簡単にはいかないか)


自分の攻撃が難なくいなされてしまったにも関わらず、特に驚く素振りを見せない光。


まるで、そうなることが事前に分かっていたかの様に落ち着いていた。



光は一旦足を止め、状況を今一度確認する。


すると敵陣営のうちの一人である、ピンク髪のやけに顔が可愛い少女が、こちらを見ながら微笑んでいるのが分かった。



「光さんごめんなさい、でも一応勝負ですから(ニコッ)」


「その笑顔も敵に回すと途端に厄介になるな.....シルヴィア」


言うまでも無いが、さきほど中位魔法のダイア・プロテクションを唱えたのはシルヴィアだ。


光の魔法と同レベルの強度を誇る防御魔法が使える人間など、この学院には彼女しかいない。


今だけは彼女がよく見せるその眩しい笑顔が、恐ろしく感じてしまう光であった。



「ふははははッ!!!!! 貴様一人で僕たちに勝てると本気で思っていたのか? 愚かな奴め!!!」


(.....こいつは守ってもらっただけなのに何でそんなに偉そうなんだよ)


何やらレイリスがイキり始めており、不愉快極まりない。


やはり、この男は調子に乗りやすいタイプらしい。


光に一度敗北した経験からか、戦闘開始直前こそ強い警戒態勢を取っていたものの、シルヴィアの防御力が光と同等以上であることが分かった今、完全に高ぶってしまっていた。



ただ、光としてもここまでは想定通りだ。


ゆえに、攻めの手を緩めるつもりはさらさら無い。



右手を前にかざし、次なる手を打つ。


「.....かき乱せ、ダーク・スパイダー!!!」


今回の授業でMVP級の活躍をしてくれた(しもべ)達が、10匹まとめてレイリスに襲い掛かる。


一匹でも当たってくれれば、レイリスの動きを大幅に抑止することができるだろう。


しかしヘカトンケイルのエースの前では、そんな彼らも無力だった。



「馬鹿にしているのか貴様は.....消し炭にしろ、フレイム・バレット!!!!!」


レイリスは左手を額に当て呆れた表情をし、ノールックのまま右手で魔法を放つ。


すると、炎を纏った銃弾が指先から目にも止まらぬ速さで発射され、10匹の蜘蛛が一瞬にして焼き尽くされてしまった。



(クッ.....さすがにこいつ相手では役不足か.....)


ダーク・スパイダーは標的に付着してようやく真価を発揮する魔法である。


従って、レイリスの様に詠唱が極端に早い人間が相手だと、被弾する前に消されてしまうため使い物にならないということだ。



ならば、レイリスですら相殺や回避が間に合わない程の放射スピードと回転率を誇る魔法で勝負をすれば良い。


「防いでみせろ.....カオス・レイザー!!!!!」


レイリスを四方八方から囲む様に大量の黒い矢が現れ、彼から一切の逃げ場を無くす。


ソーサラーは決して防御面に優れているクラスではない。


さすがのレイリスでも、これだけの物量を誇る魔法を全て捌き切るのは不可能だろう。



しかし忘れてはいけない、相手にはシルヴィアがいるのだ。


「ホーリネス・スクエア!!!!!」


レイリスの周囲にバリア状の盾が形成される。


黒き矢はその盾に傷一つつけられず、衝撃を吸収され、弱々しく地面に落ちていくのみ。


普通の相手ならガード不能レべルの弾幕魔法のはずだが、威力を大幅に抑えていることもあり、シルヴィアの鉄壁には歯が立たなかった。


やはり、その気になった彼女の守りは脅威そのものである。



(真っ向から打ち合ったところで消耗戦になるだけか....となると単純に数で劣っている俺が不利だ.....何か別の策を.....)


光は頬に汗を一滴流しながら苦笑いを浮かべると、そのまま一旦距離を取り、仕切り直そうと試みる。


だが、今回の敵はそんな隙を逃してくれるほど、優しくはなかった。




「そこだ!!! フレイム・ウォール!!!!!」


先程まで受け身に回っていたレイリスが、ついに自分から魔法を放つ。


レイリスはこの一瞬の間に、バックステップで後退する光の着地点を先読みしていたのだ。


自慢の詠唱スピードを活かし、すぐさま光の着地点よりほんの少し前の位置に、炎の障壁を設置する。



勢い余った光にはもう、後方を警戒する余裕は残されていなかった――――



「.....あ?......グハァッ!!!!」


光は突如、背中をバーナーで炙られている様な強烈な熱さと、アスファルトに頭をぶつけた様な激しい痛みに襲われた。


そして同時に、レイリスが「してやったり」と言わんばかりの表情で笑い、指をパチンと鳴らす。


「.....ビンゴ」


そう、光はレイリスの狙い通り、炎の壁に思いっきり衝突してしまったのだ。



ぶつかっただけとはいえ、移動速度が速ければ速いほど何かに接触した時の衝撃は激しくなるもの。


ゆえに、かなりの速度で後退していた光が受けたダメージは馬鹿にならない。


全力を出していない且つ四対一という状況ではあるものの、光が不意打ち以外でまともに攻撃を受けたのは、おそらくこれが初だろう。



光は膝をつき、痛みで顔を歪めていた。


「ウッ.....いってえ.....おかげで頭がクラクラするじゃねえかこの野郎.....」


「フフ、何を言っているんだ? 僕はただ壁を作っただけだよ、勝手にぶつかりにいった貴様が悪いんじゃないか」


レイリスは薄ら笑いを浮かべ、腹立たしい表情で挑発をしてくる。



以前から分かってはいたが、レイリスの言葉選びはタチが悪い。


相手を苛立たせる才能なら世界一と言っても過言ではないだろう。


実際、今の光は少々冷静さを欠き始めており、あまり良い傾向とは言えない状態になっていた。



そして、ここにきてレイリスは更に煽りを入れてくる。


「そうだ、アッシュくんとレオナくんは、他のメンバーが隠れている石垣のところに行ってもらって良いかな? 加勢されたら面倒だからね」


『え? ですが.....』


「大丈夫、僕とシルヴィア様が揃っていれば、彼に負けるなんてことは絶対に無いよ」


『わ、わかりました! では!!』


レイリスにそう言われたアッシュ達は、上司に書類のコピーを指示された新入社員の様に慌ただしくその場から抜けていった。



「レイリス、お二人を行かせて良かったのですか?」


「別に構わないだろう。 僕達の戦いを観戦するより、実戦経験を積んだ方が彼らにとって有意義だからね」


実際のところ、光と交戦してから数分ほど経っているが、戦いに参加しているのはレイリスとシルヴィアだけだった。


他のメンバー二人は、異次元の三人による魔法の打ち合いをただ茫然と眺めているのみ。


それなら、二人をカトレアたちが潜んでいる石垣を襲撃させた方が都合が良いというのは間違いない。



とはいえ、敵を目の前にして味方の人数を減らすなど、舐めプレイにもほどがある。


勿論、レイリスもそれを分かっているから、わざとあのような指示を出したのだ。



(こいつ、完全に舐めてやがる.....)


「ハハッ.....怖いなあ、これはあくまで授業なんだから楽しくやろうじゃないか。 あ、魔法に制限を掛けられていることは忘れないでくれよ? 貴様の魔法は物騒だからね、ルールはちゃんと守ってもらわないと」


「........」


「真面目な話、その並外れた能力で押し切ることしか脳の無い、パワー馬鹿の貴様にはいい機会じゃないか。 これを機に"戦術"というものを学ぶといい、きっと世界が変わるぞ」


レイリスのたび重なる挑発に、光の怒りゲージはみるみる溜まっていく。


彼の言っていることはごもっともだが、別にこの場で言う様なことでもない。


あと一回なにか大きな精神的ダメージが入れば、爆発してしまう可能性まである。



ルールを破ったことが運営に知られた場合、無条件で失格になる為、それだけは絶対に避けなければ。


ゲームに敗北するという面では、ある意味最大のピンチを迎えている光。


怒りを抑える為に拳をグッと握り、これからの作戦を考えようとした、その時だった。



『ぐああああ!!!』

『えっ?! きゃああああ!』


すぐ近くから唐突に聞こえてきた悲鳴。


声からして、つい先程石垣に向かっていったアッシュとレオナのものだと考えるのが自然だろう。



意気揚々と出ていった彼らに身に起きた出来事とは。


二人が向かった先を考えれば、その答えは自ずと見えてくる。



――――これは個人戦ではない、チーム戦だ。



「悪い三刀屋!! 待たせたな!!!」


「三刀屋くん、助けに来たよー!!」


「お、おそくなってごめんね!」


光の元に駆け付けたのは、二日間共に戦い抜いた仲間達だった。



「カトレアさんとシズルさん...それにレットまで......」


光は驚きのあまり、目を丸くして後ろを振り返る。


狙撃が失敗し、正面突破しか選択肢が無くなった時点で、レイリスとシルヴィアに渡り合えるのは自分しかいない、自分がやらなければ負けてしまう、光はそう思い込んでいた。


だから、単独で敵地に飛び込んでいった。



しかし、最初から他のメンバー達にそんなつもりは一切無かったのだ。


というより、今までほぼ光に任せっきりだった為、最後くらい自分達がリーダーを助けてあげたいと、そう思っていたのだろう。


その証拠に、少しでも役に立てたことが嬉しいのか、レット達三人は「へへっ」と笑いながらこちらを見ている。



そんな彼らの顔を見る光の表情は数秒前と比べ、良い意味で力が抜けていた。


(危なかった.....あのままいけば俺は、レイリスの挑発にまんまと乗せられていたかもしれない.....)


どうやら光は本来の冷静さを取り戻した様だ。


無駄な会話は挟まず、すぐさま次の一手を打つ。



(ガラ空きだぜシルヴィア.....ナイトメア・プリズン!!!!)


「しまった?! 避けろ!! シルヴィア!!!!!」


「.....えっ?」


レイリスが気付くも、時すでに遅し。


異様なうめき声と共に鳴り響く、錆びきった檻が勢いよく閉まる音。


レイリスが後ろを振り返ると、そこにいたはずシルヴィアが、大量の目玉がついた気色の悪い牢獄へとすり替わっていた。



どうやらシルヴィアは自分たちが優勢なのを良いことに、少しばかり気を抜いていたらしい。


そこに予期せぬアッシュたちの敗北が重なったことで途端に動揺し、思わず隙を晒してしまったのだ。



その瞬間を見逃さず、光はターゲットをシルヴィアに変更する。


防御態勢を立て直される前に、脱出不可能の暗闇へとご招待させて頂いた、というわけである。



(く、暗くて何も見えない...それに魔法も使えない、どうして.....)


少々心は痛むが、シルヴィアにはしばらく檻で眠っていて貰おう。


間接的ではあるものの、仲間の活躍のおかげで光はついに相手パーティーのキーマンを封印することに成功したのだ。



残るはレイリスただ一人。


対してこちらは四人と、まさに形勢逆転。


そして、ここから光たちの逆襲が始まる.....と思いきや。



次に繰り出す電光石火の一撃で、あっけなく勝敗は決することとなった。



「クッ.....しかし今の君なら僕一人でも――――」


「.....余所見してる場合か?」


「なっ...........グヘアアェェェェ!!!!!!!!」



突如森の中に鳴り響いたのは、重く低い一発の打撃音と男性声の悲鳴。


地面一帯が、バキバキにへし折られた細い枝と葉の数々で、いつの間にか激しく散らかっている。


そして、それらの落下物をしばらく辿った先に、無残な体勢でダウンしているレイリス。


とてもじゃないが、にわかには信じられない光景だった。



『..........』


刹那の出来事に、後ろで見ていたカトレアたちは顎が抜け落ちるほどの勢いで大口を開け、氷の様に固まっている。


もちろん、レイリスを完膚なきまでに蹴り飛ばしたのは他でもない、光だ。



光はナイトメア・プリズンを使用中のため、他の魔法は使えない状態だったはず。



そんな状況下で、彼が取った攻撃手段は"蹴り"だった。


他の魔法が使えないと言っても、以前の決闘でもやったように肉体強化は併用できるらしい。



光はシルヴィアを封じ込めた直後に、自らの身体能力を極限まで上昇させていた。


そして、レイリスでさえ目で追えないほどのスピードで移動し、彼の懐まで潜り込む。


そのままサッカーのバイシクルシュートのような体勢で、身体を空中で一回転。


最後にその回転力を存分に乗せた渾身の一撃を顔面に叩き込む、という出来事があの一瞬の間に起きていたのだ。



シンプルだが、ある意味魔法でチクチク攻撃されるよりもずっと嫌な戦い方である。



「........はい、ホームラン」


「いくらなんでもお前さあ、やりすぎだろアレは...つーか相手は国を守るヘカトンケイルのエースだろ? それを一撃でぶっ倒すとか、お前マジでナニモンだよ」


「そんなにレイリス様のこと嫌いだったわけ? イケメンだし嫉妬するのは分かるけどさ、ちょっとは遠慮しなよ、どうすんのあれ」


「か、かっこいいい~~~.......」


あまりのえげつなさに、同じパーティーのメンバーにさえドン引きされる始末。



しかし当の本人である光は、これ以上無いというほどにスッキリした顔をしていた。


例えるなら、耳の周りを飛び交う蚊を潰そうとしたが幾度となく失敗し、五回目くらいでようやく仕留められた時の様な、あんな感じだ。



ともかく、これでシルヴィアのパーティーは実質的に戦力がゼロになったと言える。


残る作業は、リーダーからバッジを回収するのみ。


「.....拘束解除」


「うっ、眩しい.....って、あれ?! あんなところでレイリスが倒れてる?! も、もしかして.....」


暗闇からの解放早々、万事休すの状態であることを察したシルヴィア。



そんなシルヴィアの様子を見た光は二ッと軽く微笑み、こう言った。


「察しの通りだ。 悪いがバッジは貰ってくぞ、シルヴィア」


「あ...あはは...お、おめでとうございまーす.....」


彼女は無駄な抵抗はせず、苦笑いをしながら大人しくバッジを光に渡すのであった。




『俺(私)達の勝ちだあああああ!!!!!』


AM8:58。


フォルティス魔法学院所有地の森林ステージに、勝者の雄叫びが響き渡る。



12時間にも及ぶサバイバルゲームはこれにて終了。


序盤こそ光の独壇場であったが、最終戦の内容を見る限り、他のメンバーの助力無しに優勝は出来なかったはずだ。


今後自らが率いる軍を結成するとなれば、この経験は必ずどこかで活きてくるだろう。



(パワーで押し切るしか脳がない、か.....確かにあいつの言う通りだが、俺には多分これしかできねえ。 だが――――)


優勝が決まったというのに、一人浮かない顔で反省会をしている光。


彼なりに、レイリスに指摘されたことを気にしてはいるようだ。



そんな光の様子に気付いたレットが、何を思ったのか暑苦しく肩を組んでこう言ってきた。


「いやー三刀屋、俺達と組んでくれてほんとサンキューな! 楽しかったぜ!」


「あ、ああ.....そうか.....」


唐突な言葉に困惑する光を余所に、シズルとカトレアも嬉しそうな感じで乗っかってきた。


「ほんとありがとね! あ、たまには教室の中でも声かけてきなよ?...カトレアもそれを待ってるみたいだしねー(ニヤニヤ)」


「ふぇえ?! シズルちゃん何言ってるの?! そんなこと無...くは無いけど.....もう!!!」


「とにかくさ、今後も似たようなチーム戦をやる機会があったら、このメンバーでもう一回組もうぜ!!! 次は俺ももうちょい活躍出来るように修行しとくからよ!!!」


「いや私はあんたとはもう組みたくないわ.....まーその時の気分次第では、考えてあげてもいいけど」


「ふふっ、二人共随分仲良しになったね。 レットくんの言う通り、また皆で組めたら絶対楽しいと思うな~」



共に戦い抜いたメンバー達で喜びを分かち合う。


普通の人間からしてみれば当たり前のことだが、光にはその感覚がいまいちピンとこない。


今まで体育祭や文化祭など、生徒達が一丸となって取り組む学校行事なんて、まともに参加したことすら無かったからだ。



ただ、不思議と今この瞬間、悪い気はしなかった。


誰かと協力して何か大きなことを成し遂げる達成感と楽しさ。


それを少しでも知れたのであれば、光の中で何かが変わるきっかけになるのかもしれない。


いや、既に少しずつ変わり始めているのだろう。



メンバー全員の足元に転移用の魔法陣が出現する中、最後に光は目の前の仲間たちにこう告げた。



「........また機会があれば、その時はよろしく頼むよ」

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