【第40話】困った時は神頼み
~フォルティス魔法学院 学院寮 118号室にて~
レイリスとの決闘を終えた光は、寮へ戻っていた。
シャワーを済ませ、ベッドで横になり、異世界に転生してからのことを振り返る。
「この世界に来てから、そろそろ1ヶ月経つのか.....」
異世界転生、元クラスメイトとの遭遇、シルヴィアとの出会い、末元による襲撃、魔法学院への入学......
たった1ヶ月間の出来事にしては、あまりにも濃い。
しかも、ただ濃いだけでは終わらず、常に何かしらのトラブルに巻き込まれている。
もしかして疫病神でもついているんじゃないか、とまで思うほど、激しい日々を送っていた。
「...よし、一回お祓いにいこう。」
王都ニヴルヘイムには、古くから神が宿ると言い伝えられている神社のような場所がある。
というか、ほぼ神社だ。
今後、勇者として成功を収める為にも、まずは自分の不運体質をどうにか改善したい。
そう考えた光は、ダメ元で神様に頼ってみることにした。
時刻は13時とまだ早い。
せっかくの休日だ、一人でリフレッシュするのもアリだろう。
(神社か、巫女服の女の子とかいるんだろうか.....いたらいいな)
いかにも男子高校生らしい、しょうもないことを考えながら外出の準備をするのであった。
~王都ニヴルヘイム 中央通り にて~
(さすがに休日だけあって、人の数がやべえ.....何人いるんだよこれ)
週末の休日、それも昼時と来たら、王都が人で溢れるのは想像できていた。
しかし、改めてその光景を見てみると、やはり田舎出身の光は委縮してしまう。
(学院の奴に遭遇したら嫌だし、さっさと神社にいこう.....)
この街では、許可された場所や人間を除いて、基本的に日常生活の中で魔法の使用は禁止されている。
その為、残念ながら、エグゼキューターを使って高速移動!なんてことは出来ないのだ。
街に出てきたことをほんの少し後悔しつつ、「はぁ」と軽くため息をついてから、神社へと向かった。
~王都ニヴルヘイム トワイライト神宮 にて ~
「や、やっと着いた...人が多いせいで、思ったより時間掛かっちまったな。」
寮から30分ほど歩き、ようやく目的の神社に辿り着いた。
入口と思われる大きな鳥居の傍には、この施設の正式名称が書いてある。
「ここ、トワイライト神宮っていうのか。 あれ、トワイライトってどこかで聞いた覚えが...」
聞き覚えのある単語の出現に、「うーん」と唸りながら記憶を辿るが、なかなか思い出せない。
「まあいい、それよりもお祓いだお祓い。」
魔法が存在する世界でのお祓いともなれば、さぞクオリティが高く、効果も強いものなのだろう。
期待を胸に膨らませ、その神域へと足を踏み入れる。
「.....うん、思ったよりただの神社だな。」
パッと見、日本にある大きめの神社と何も変わらない。
何となく魔力の流れを感じることはあるものの、それ以外はごく普通の神社。
参拝客の数も少なく、周辺を見渡した時に、ポツポツと姿が見られる程度であった。
(騒がしい場所は苦手だし、俺にとってはこのくらいがベストだ)
神社特有の透き通るような空気を味わい、荒んだ心が浄化されていく感覚を楽しみながら、辺りを歩く。
鈴を鳴らし、様々な想いを込めて柏手を打つ。
この感じがたまらない。
(ふぅ.....まだ肝心のお祓いをしてもらっていないが、これだけで満足してしまいそうだぜ)
一人で思う存分に神社を満喫した光は、当初の目的である厄払いをして貰えるところを探す。
しかし、ここでとある問題が発生した。
「.....まずい、完全に道に迷った。」
地図も無ければ、看板もほとんどない神社。
周りは無数の神木で覆われており、ハッキリ言って自分がどの位置にいるのか、全く分からない。
更には参拝客が少ないこともあって、辺りを見回しても人影すら無い。
慣れている人なら問題ないのだろうが、初めて訪れた光にとっては少々難易度の高い造りであった。
「仕方ない、適当に歩くか.....そのうち何かしら見えてくるだろ。」
立ち止まっていても仕方ないので、あてもなく歩き進める。
こんな時、魔法が使えればいくらでも解決できるのだが、そうもいかないのだ。
それから10分。
20メートルほど先の所に、小さな社を発見した。
しかもラッキーなことに、お参りをしている人が一名いる。
(よし、あの人に道を聞いてみるか.....って巫女服!?)
出発前、「巫女服を着た子がいたらいいな」などと言っていたが、まさかの的中。
日本でよく見るデザインとは少々異なるが、かなりレベルの高い衣装だ。
そして、衝撃はこれだけでは終わらない。
むしろもう一つの方が本命だった。
光は一旦物陰に隠れ、巫女服を着た人物を遠くから観察してみる。
身長は低めで、間違いなく女性だろう。
更には、ひと際目立つ銀髪に、遠目で見ても分かるくらいの可愛らしいルックス。
たったそれだけの要素でしかないが、光は既にその女性が誰なのか察しがついていた。
(な、なんであいつがこんな所に一人で.....)
なんと正体は同じ学院のおてんば娘、ナギサだった。
巫女服を着ているとなれば、おそらくアルバイトかなにかだろう。
長めの銀髪もハーフアップで綺麗にまとめ上げており、衣装に良くマッチしている。
(.....それにしても)
本来なら、ナギサが去ってしまう前にさっさと道を聞きにいかなければならない場面である。
そうでもしないと、ここで一生彷徨うことなるかもしれないからだ。
しかしこの時の光には、そんなこと一切頭に無かった。
人影一つなければ、物音もない、静かな空間。
あるのは小さな社と数多の神木.....そして、一人の少女。
普段は絶対に見ることのない、真剣な表情で拝礼するその姿に、光は思わず見惚れてしまっていたのだ。
元々、口を開きさえしなければシルヴィアに勝るとも劣らない美少女のナギサ。
そして、彼女のルックスは光の個人的な趣味にピッタリとハマっている。
そこに巫女服なんてパーツが追加されてしまったら、光が感じることはもう一つしかない。
(やばい、死ぬほど可愛い.....)
そこには、勇者の貫禄の欠片もないただの男子高校生、三刀屋 光氏の姿があった。
ほんの数秒、ナギサの巫女服姿に目を奪われてしまっていたが、当初の目的をハッと思い出す。
(いかん、今日はお祓いに来たんだ。 陰でコソコソと巫女服姿のナギサを眺めるためじゃない、決して。)
頭を横に数回振り、脳内を一度リセット。
気を取り直して、ナギサがいる社へ向かおうとする。
しかし、時すでに遅し。
正気を取り戻そうとしている間に、ナギサはその場から消えてしまっていた。
(.....なにやってんだろ、俺)
自分の愚かさを悔いながら、トボトボと歩き始め、再び道を探す。
それでも、同級生の女の子のとびっきり可愛い姿を独り占め出来たのだから、後悔はしていないだろう。
しばらくして、お守りやおみくじ等が売られている、神社の中でもひと際賑わっている場所に着いた。
(よ、ようやく抜けたぜ...次来るときはちゃんと地図を持って来よう)
RPGでよくある迷いの森を自力で抜けた時の様な、そんな感覚に陥り、ほんの少し感動してしまう。
―――その直後だった。
『ナギサ=トワイライトちゃん特製の開運魔法を受けたい人は、並んで待ってねー!!』
何やら怪しげな台詞.....そして、聞き覚えのある声が耳にガッツリと入ってきた。
(なんだナギサの奴もここに居たのか.....え?トワイ...ライト......?)
フォルティス魔法学院に通う一年生の中に、ナギサ=トワイライトという生徒がいる。
末元による襲撃の際、絶対絶命のピンチを救ってくれた命の恩人でもある女の子だ。
そして、光が今いる場所の名称は「トワイライト神宮」。
おそらく、偶然ではないだろう。
(マ、マジかよ...あいつって....)
普段のハチャメチャな姿を見ていれば、驚くのも無理はない。
ナギサは、代々受け継がれてきたトワイライト神宮、現神主の一人娘だったのだ。
※日本の神社とは似て非なるものであり、詳しい制度や仕組みは全くもって異なる
さきほど社で見かけた時とは打って変わって、いつも通りのテンションで意味不明なことを叫んでいるナギサ。
正直、これはこれで謎の安心感がある。
しかし、何やら突然、雷が落ちたかのような激しい音が鳴り響いた。
(な、なんだ?! って、雷ってまさか.....)
嫌な予感は見事に的中した。
『ナギサちゃん特製、ハッピー・サンダー!! どーでしたかっ?☆』
『さ、最高です!!!ちょっとピリッとしましたけど...』
つい先程、ナギサは「特製の開運魔法」とか何とか言っていたが.....
なんとその正体は、参拝客に自らの雷魔法を食らわせるという、色々と問題ありまくりのサービスだった。
どう見てもただの傷害行為だが、並んでいる客や周りで見ていた人たちは大盛り上がり。
(.....あいつやっぱり頭おかしいわ。 さっき社で見たのは幻覚だったってことで)
あの時、不覚にも可愛いとか思ってしまった自分が馬鹿だったと、光は大きなため息をつく。
(さて、ナギサに気付かれない様にヒッソリ行かないとな)
顔を合わせたらまた面倒なことになりそうなので、なるべく気配を殺し、静かにお祓いの受付へと向かう。
「あ、あの、この神社ってお祓いとかやってもらえますか?」
巫女服を着たベテランっぽい女性に尋ねる。
すると、予想外の答えが返ってきた。
「お祓い? あー、うちでやってるのは、ナギサちゃんのアレだけだねえ。」
「.....アレって、まさかアレですか?」
ナギサが雷魔法をバンバン打ちまくっている場所を手で指し示し、震えながら聞き返す。
「そう、アレ。」
「.....そんなのありかよ。」
衝撃の事実を知ってしまい、テンションが一瞬にして下落する。
そもそも、神社みたいな場所があると木乃葉から聞いただけで、お祓いが出来るとまでは言っていなかった。
つまり、しっかりと確認しなかった光が悪いだけである。
「んで、兄ちゃん、アレやるの?」
「いえ...遠慮しときます...。」
「あそう、物凄く人気だけどね、アレ。 主に男性客に。」
お金を払ってまで、なぜ電撃娘に攻撃をされなければならないのか。
残念だが、光にそういう趣味はない。
(...まあ気分転換にはなったし、来て良かったな)
お祓いは受けられなかったが、神社の雰囲気を存分に楽しめただけでも、いいリフレッシュにはなっただろう。
青空を見上げ、最後にもう一度大きく深呼吸をし、その場から去ろうとする。
しかし、光はすっかり気が緩んでしまっていたのか、道の真ん中を堂々と歩いていた。
それも、ナギサのいる位置からガッツリ見えるところを。
「んんん?! あれはもしや...おーい!!三刀屋氏ーーー!!!」
案の定、例のおてんば娘にバレてしまった。
仕事中(?)にも関わらず、光を見つけたナギサは、ニッコニコの表情で手を振っている。
(げっ...やべえ、完全に気抜いてた)
露骨に嫌そうな顔をしてしまうも、何とか笑顔を作り、手を振り返す。
そして、そのまま何事も無かったかのように、そさくさと退散しようと試みる。
「あっ!! ちょっと待ってよ――!!!」
しかし、ナギサは簡単には見逃してくれない。
「とぅっ!」などと言いながら、得意の雷魔法を使い一気に光の目の前まで飛んできた。
「せっかくナギサちゃんに会えたのに、スルーとか無くない? だからモテないんだよ、三刀屋くん。」
「.....俺に構ってないで仕事しろ。 つーかそんなことに魔法使ったらアウトだろ。」
「はっ!そうだ、仕事だ!! あ、ちなみにナギサちゃんは、神宮の中なら魔法OKなんです!仕事だから!」
(...ハッピーなんちゃらはともかく、今の雷ジャンプは確実に仕事ではないと思うが)
ナギサとくだらない話をしている中、ふと何やら大量の視線を感じ、背筋がブルっとする。
(.....こ、この視線は)
視線の正体はハッピー・サンダー待ちの参拝客たちだった。
気付けば、物凄い形相で睨みつけられている。
しかも、男性率100%。
彼らは待たされていることに腹を立てているのではない。
ナギサは客から一種のアイドル的な扱いを受けている様で、そんな彼女と馴れ馴れしく会話している光を妬ましく思っているのだ。
身の危険を感じる為、ナギサに早く仕事に戻る様に光は促す。
「あんたの客、めっちゃ怒ってるぞ。 早く戻ってやれ。」
「そ、そだね.....あっ!じゃあお仕事終わるまで、そこで待っててよ!」
「は?待つって.....なんで?」
突拍子もないことを言われ、光は困惑する。
「じゃ、そういうことでよろしくぅ!!」
「なっ.....お、おい!」
ナギサはもう、光の話を聞いていない。
猛スピードで仕事場に戻り、開運サービスとやらを再開した。
(.....相変わらず、人の話をまるで聞かない奴だ)
何故か一方的に、仕事が終わるまで待たされることになってしまった。
仕方なくその辺にあったベンチに座り、ナギサの働きっぷりをぼーっと眺めることにする。
仕事と言っても、さきほどと同じようにハッピー・サンダーと叫びながら、客に向けて魔法を叩きこんでいるだけだ。
「あんなサービスを受ける奴の気が知れない」と、光はため息をつく。
あれはあれで術者もかなりの魔力と体力を使いそうだが、やはり意味不明だ。
それでも、ナギサ本人をはじめ、周りの崇拝客たちはとびっきりの笑顔に包まれていた。
(.....あいつはどうしてこう、いつもハチャメチャなんだ)
思えば、ナギサとの出会いは、それは衝撃的なものであった。
つい数日前のことではあるが、ここまでの異世界生活においても、トップクラスに印象深い。
食堂でいきなり話し掛けてきたと思えば、すぐに去り。
魔物と戦っていた際には、レイリスと比べても遜色ない強力な魔法をぶっ放してのダイナミックな登場。
以降も顔を合わせる度、自分の言いたい事だけ言って消えていく、嵐の様な女の子だ。
そんな背景があったせいで、最初は「魔法の才能はあるけどちょっと頭がおかしい人」としか思っていなかった。
しかし、実は一人で延々とゴミ拾いをするほど健気で。
手段はともかく、こうして多くの人々を笑顔に出来るくらい優しくて、誰よりも明るい。
他の人には真似することのできない、オンリーワンの魅力を持った女の子だった。
そんなナギサを見て、光はふと思う。
「ほんと.....黙ってれば最高に可愛いのにな。」
『誰が最高に可愛いって?』
あまりの衝撃に、心臓が飛び出そうになった。
同時に、光の中の時間が一瞬止まり、頭が真っ白になる。
やはり、レイリスとの決闘を終えて、気が緩んでいたのかもしれない。
本来、心の中で留めておかなければならないことをつい声に出してしまったのだ。
「うわぁ!!!! い、いつからそこに?!!」
「んー、10秒くらい前かな。 三刀屋くん、話し掛けても気付いてくれないんだもん。」
おそらく、いや確実にさきほどの発言は聞かれてしまっただろう。
あの時、末元をみすみす逃がしたことに続くほどの大失態だ。
「そんで、誰が可愛いのかな? 言ってごらん。」
「.....いや、別に。」
「えー、さっき思いっきり呟いてたじゃーん。」
「気のせいだろ。 俺は色々あって疲れてるんだ。」
わざわざ聞かなくても、ナギサは分かっている。
分かった上で、しつこくからかっているのだ。
ニヤニヤと笑いながら、今度は何故か光の耳元に近付いていく。
そして、小声でこう呟いた。
「さっきのって......僕のこと?」
「ッ?!?!」
まさかの不意打ちに気が動転し、すぐさまナギサの傍から離れる。
そんな光の顔は、まるで火傷したかのように赤くなっていた。
「あははっ!! ふーん.....やっぱりそうなんだー.....へぇ~。」
一方でナギサは、おちょくるようにこちらを悪そうな笑顔で見ている。
ここまで上手に出られてしまったのは、異世界に来てから始めてかもしれない。
だが、光とて馬鹿にされたままで終わるわけにはいかず、申し訳程度の反撃をする。
「人の言葉は最後まで聞け。 あくまで"黙ってれば"の話だ。」
「ふーん.....でもそれってさぁ、外見は可愛いと思ってるってことだよね??」
「.....俺は帰る、じゃあな。」
「ちょちょちょ! ごめんって!! いじめすぎた!」
どんな言い訳をしようが、あの発言を取り消すことは出来ない。
そう諦めて、光は無理矢理帰ろうとするが引き留められてしまう。
「そんなことより、俺を待たせておいた理由をまず聞かせろ。」
「それはもうアレしかないっしょ!アレ!」
「.....アレってなに?」
「あの時言ってたじゃん、今度"お礼"するって。」
FOD当日、協力して魔物を倒した後、光は確かにこう言っていた。
"本当に助かった、ありがとう。あとで何かお礼をさせてくれ"
確かに、あの時は勢いで言ったのではなく、本心からお礼をしたいと思っていたのだろう。
しかし、さきほどのウザ絡みのせいで、本当にこいつにお礼をする必要があるのかと一瞬考える。
それでも、シルヴィアと自分の命を救ってくれたことに変わりはないので、仕方なく応じることにした。
「...で、何がお望みですか?」
「んーと、そうだなぁー...何がいいかなぁ.....」
(あんなに待たせておいて決めてなかったのか、この野郎.....)
時刻は18時過ぎ。
光が寮を出てから5時間は経過しており、空も暗くなってきている。
いつになったら帰れるのだろうかと、またしてもため息が出てしまう。
3分ほど悩み、ようやくナギサは答えを出した。
「んじゃ、これから神宮の掃除、手伝ってくれる?」
随分長いこと考えていた割に、出てきたのはごく普通のお願いだった。
ナギサらしいといえば、らしいのかもしれない。
「なんだそんなことか。OK、任せてくれ。」
勿論、それくらいの頼みなら2つ返事でOKだ。
使う用具と掃除の範囲を教えて貰い、早速作業に取り掛かる。
「あ、ちゃんとバイト代も出るから、安心して働いてくれていいよっ!」
「一応お礼なんだから、金なんかいらないっての。」
そう言って、指定された場所へスタスタと歩いていく。
光の背中を見届けると、さすがに1日中働きっぱなしで疲れたのか、ナギサは「くぅー!」と背伸びをする。
この時間帯は、日中と比べて少し肌寒くなっており、夜風がとても心地よい。
枯葉がゆらゆらと落ちてくる中、ナギサは遠くを見つめ、立ちすくんでいた。
星がキラキラと輝く夜空の下には、銀髪の巫女。
背景には、大きな朱色の拝殿。
その姿は、本当に神様がいるのではないかと錯覚するほどに綺麗だった。
そして最後、ナギサは光の方を向き、こんな言葉を呟く。
「.....僕、男の人から可愛いなんて言われたの、初めてだよ。」
そう声に出すナギサは、さきほど失言を聞かれた時の光と同じくらい、顔に紅葉を散らしていた―――




