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【第11話】ついに魔法学院に入学!今日から楽しい学生生活が...始まるのか?

~魔法学院寮 にて~



「ここが学院の寮か...えっと、俺は118号室だからここか。」


シルヴィアと別れてから、光は魔法学院の寮に到着したものの、心ここにあらずという感じだった。


それもそのはずで、この世界に来てから三回目のクラスメイトとの遭遇イベントがあったからだ。


しかも今回は女子三人組で、更には光と同じく明日から魔法学院に通うとまで言っていた。


普通なら、異世界で元クラスメイトと会うようなことがあれば、手を上げて喜ぶだろう。


だがしかし、元ぼっちの光にとってはこれ以上とない不幸なのである。



「受け入れるしかねえよな...本来の目的を思い出せ俺。」


光は楽しい楽しいスクールライフを送るのが目的で、魔法学院に入学するわけではない。


あの時誓ったように、シルヴィアを守れるくらいの力を身につけるためだ。



「はぁー...色々疲れたし、シャワー浴びたら軽くひと眠りしよう。」


光は受付から貰った部屋の鍵を使い、自分の部屋に入る。


「おお...思っていたよりも広いし、ベッドまであるじゃねえか。 マジ感謝。」


8畳程度のワンルームだが、学生が一人暮らしをするには十分な広さだ。


国王への感謝の想いを込め手を合わし、シャワーを浴びてから就寝した。



~翌日~


「ふあぁ...結構寝た気がする。 つーか今何時だ?」


自室に設置されていた時計を確認すると、その時刻に絶句する光。


「は?8時...? 待てよ、俺が寮に着いたのは確か15時半だったはずだが...まさか」


そのまさかである。


光は16時間ぶっ続けで眠っていたのだ。



「初日から遅刻はさすがにやばい!!! 目立ってしまう! それだけは避けないと!!」


学院には、8時30分に集合と言われている。


不用意に目立ってしまえば、あのクラスメイト3人組に存在を知られる可能性が高い。


その結果、元の世界での光の素行を他の人にバラされ、入学初日からぼっち...なんて展開も有り得なくはない。


それだけは絶対に避けたい光は、全力で登校の準備をするのであった―――



~フォルティス魔法学院 指定集合場所 にて~


「ハァハァ...何とか間に合った...初日からついてないぜ、クッソ。」


死に物狂いで準備をし、ギリギリ集合時間に間に合った光。


指定された集合場所には、他の新入生も既に集まっている。


(新入生多いんだな...少なくとも100人は超えてる)



男女比率は五分といったところだが、生徒の雰囲気は結構バラバラだ。


いかにも高校生という感じのごく普通の生徒に加え、貴族のような上品な雰囲気を放つ生徒もいれば、野生で育ったかのような武道家っぽい生徒までいる。


このフォルティス魔法学院では、出身家系は一切関係なく基本的に誰でも入学できるため、色々な境遇の人間がいるのだ。


(やばい...めっちゃ帰りたい。 早速言い合い始めてる奴までいるし...)



『貴様のような野蛮人がソーサラーだと? 笑わせてくれる。』


『あぁ? 貴族だからって調子乗るなよお前...ぶっ殺すぞ。』



(お前ら喧嘩の理由がしょうもなさすぎるだろ...)


誰もが何かしらの特殊能力を持っている世界というと確かに夢はあるが、現実はそんなにいいものでもない。


この世界において、魔法の強さというものは絶対的だ。


実力がある者は、騎士団でもギルドでも商人でも、どんどん上に駆け上がっていく。


おそらく、それは学院とて同じことであり、実力がある生徒こそがスクールカーストのトップに立つのだろう。



(そういえば、シルヴィアはちゃんと来てるのだろうか。)


今のところ、シルヴィアの姿は見えない。


そうこうしているうちに、教師と思われる人物が数人現れ、生徒に向けて話し始めた。


「えー、新入生の皆さんおはようございます。 これから入学式をおこないますので、我々魔法講師の指示に従い、会場に向かってください。」


いよいよ入学式が始まる様子。


結局、光はシルヴィアに会えないまま入学式を迎えることになった。



「生徒の皆さん、まずは入学おめでとうございます。」


学院長らしき男による、長い話が始まった。


「魔法というものはですね、もとより人間の中にある魂より―――」


(この世界でもあるのか、校長先生の長話...大した事は話さないだろ、どうせ)


光は学院長の話よりもシルヴィアのことが気になってしまい、周囲を見渡す。


(いねえな...ってあれ、風見たちじゃねえか...まあそりゃいるよな)


昨日、王都で遭遇した元クラスメイトの3人組も当然だが入学式に来ている。


光はすぐさま視線を逸らし、気付かれない様に元の体制へ戻った。



「ん...?あれ、もしかして光くん? そんなわけないか。」


「木乃葉、何か言った?」


「ううん! なんでもないよ愛華ちゃん。」


「そっか。 つーかあのおっさん、話長いわほんと。」


小中高、全て光と同じ学校に通っていた風見 木乃葉。


彼女は、光が学院に入学することを知らない為、まさかすぐそこに居る男が本人だとは気付かなかったようだ。



「ルーファス学院長、ありがとうございました。 続いて、新入生代表の挨拶に移ります。」


司会がそう言うと、会場のステージに新入生代表の女子生徒が登場する。


(新入生代表か、どんな奴なんだろ...ってシルヴィア?!)


「あたたかな春のおとずれと共に、私たちはフォルティス魔法学院への入学式を迎えることができました。本日は、このような立派な入学式を行っていただき、ありがとうございます。 私は―――」



今までのシルヴィアの姿が見えなかったのは、代表挨拶の準備をしていたから。


当然だが、シルヴィアはいつものフードは被っておらず、その美しい姿を存分に見せつけている。


その姿に、他の生徒が黙って話を聞いているはずもなく。


『王女殿下、マジで学院に来たんだ』

『生で姿見たの初めてだけど、可愛すぎない??』

『俺はもう惚れた』

『やめとけお前じゃ無理だ』

『私、本当は女の子が好きだったのかも...』


といった声が至るところから聞こえてくる。



「―――私たちのことを温かく、そして時に厳しくご指導していただきますようお願いします。以上、新入生代表シルヴィア=ルー=エルグラント。」


『うおおおおお!!!』


シルヴィアの挨拶が終わると、生徒だけでなく何人かの教師や保護者まで、声を上げて大きな拍手をする。


一方、光は声こそ上げなかったものの、シルヴィアの完成度が高すぎる挨拶に感動し、心の中で神に拝むように手を合わせた。


(ナイスエンジェル...ナイスガーディアン...ナイスシルヴィア...)



「えーでは、これにて入学式を終了いたします。 生徒の皆さんは、事前にお伝えしておいたチームの教室に移動してください。」


この魔法学院では、日本の学校におけるクラスのことをチームと呼んでいるらしい。


魔法のカテゴリーをクラスと呼んでいる兼ね合いでそうしているだけで、特に深い意味はないそうだ。



(俺は確か1-Aだったな。 頼むから、あの3人組と同じ教室だけはやめてください、お願いします神様!)


そう願いながら、光は自分の教室に辿り着いた。



『あ』



教室の中へ足を運んだ瞬間、なんと光は、元クラスメイトであり同じ転生者でもある風見 木乃葉と目が合ってしまう―――

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