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しばらく、歩くと、大きな城壁がみえてきた。
門は、徐々に開いてきている。どうやら、ゴブリン討伐は伝わっているようだ。
「すみませーん。今、街に入れますか?」
近くにいた、門兵に街に入れるか尋ねる。
「あぁ、入れるがちょっと、待ってくれ。」
しばらくして、先程の門兵が水晶を持って出てくる。
「よし、それじゃあ、この水晶に触ってくれ。」
言われた通りに水晶に触れる。
特に何も起こらない。
「はい、もういいよ。それじゃあ、身分を証明できるものや許可書は持っているかね?」
「身分証や許可書ですか?」
「あぁ、冒険者組合や商業組合の組合カードや入場許可書とかだよ。」
「すみません、持ってません。」
「そうか、なら、入場料銀貨3枚になるが、大丈夫かい?」
俺は、銀貨を取り出し、門兵に手渡す。
「はい、丁度ね。それじゃあ、ようこそシュタットへ。今は、街の中ごたついているから、気を付けてくれ。」
俺は街に入る前に、気になった事を尋ねる。
「分かりました。すみません、1つ質問いいですか?」
「ん、どうした坊主。」
「その水晶ってなんですか?」
「ん、これか?これは罪の水晶と言って、殺人なんか起こした人が触れば、水晶が光出すんだよ。」
「へぇー、そんなものがあるんですね。教えてくれて、ありがとうございました。」
「いいってことよ。」
疑問が解決した俺は、街の中に入っていく。
門兵が言っていた通りに、街の中は、かなりごたついていた。
俺は、教えて貰った宿屋を探す。
宿屋はすぐに見つかった。教えてくれるだけあって、かなり繁盛していた。ギリギリ部屋は確保できた。だけど、案の定お風呂はなかった。
部屋に入った俺は、思ったより疲れていたのか、そのまま、ベッドに倒れこみ、眠りについた。
目を覚ますと、もう外は暗くなっていた。
体はべたついていたため、お湯を貰い体を拭き、着替える。ご飯をどうしようかなと思っていると誰かが部屋をノックしてきた。
「お客さーん、外に迎えが来てるよー。」
「ありがとう、今行くよ。」
どうやら、領主様の迎えが来たみたいだ。
外に出ると、迎えの馬車が待っていた。
「タツガミマモル様ですね。私は、マルクス様の執事をさせていただいておりますバトラーと申します。以後お見知りおきを。」
「はい、宜しくお願いします。」
俺は、馬車に乗り込み、領主邸へむかった。
馬車が止まり、扉が開かれる。始めて、馬車に乗ったが、あまり、お尻は痛くなかった。
馬車を降りると、そこには、前世でもみたことないくらいの豪邸が立っていた。流石は、領主様言うかなんと言うか…
「こちらに、なります。」
ぼうと見ていたせいか、バトラーさんが声をかける。
「あ、すみません。」
バトラーさんに、着いていく。
そこでは、マルクスさんたちが待っていた。
「あぁ、よく来てくれたね。そこに座ってくれ。」
俺は、言われた通り、着席する。
「それじゃあ、皆揃った事だし、自己紹介といこうか。改めて私は、ここシュタットを統治するマルクス・フォン・ドレーク・シュタット辺境伯。それで、こちらの女性が私の妻のエリスだ。」
「エリス・フォン・ドレークです。」
領主様の奥さんは、金髪ロングの美人の女性だった。
「それで、こっちが、私の子供のリンクとベルだ。二人とも、挨拶しなさい。」
「「はい。」」
「僕が、リンク・フォン・ドレークです。」
「私が、ベル・フォン・ドレークです。」
こちらは、将来は有望そうな顔の、10歳ほどの男女の子供達。
「ご丁寧にありがとうございます。私は、龍神守です。この度は、夕食に、お招き頂きまして、ありがとうございます。」
「それじゃあ、挨拶も済んだことだし、食べようか。」
俺たちは、色々と話をしながら、夕食を食べた。食べ終わった俺は、マルクスさんに連れられ、執務室に案内された。
「そこに、腰かけてくれ。」
マルクスさんの対面のソファに腰かける。
「これが、ゴブリン達の魔石を買い取ったお金になる。受け取ってくれ。」
袋を持つとかなり、ずっしりしていた。
ちらっと中を確認すると、銀貨だけでなく、金貨らしき物もかなり入っていた。
「こ…これ、多くないですか?」
「魔石の買い取りだけでなく、討伐報酬も上乗せしている。」
こんなもんなんだろうか?
まぁ、貰えるもんは貰っておくか。
「ありがとうございます。」
袋を横に置く。
その後も、少しマルクスさんと話をして、部屋を後にする。袋は重たかったので、部屋から出ると同時に、アイテムリングに入れた。
領主邸を後にし、俺はそのまま、宿屋に戻りすることもなかったので、眠りについた。