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ショウ目線
ドアを開けると月のない夜だった。
夜出歩くことは推奨されていない。
警察と会えば職務質問されること間違い無い。
いつもならアルに見張りを頼むところだけれど。
そのアルに追い出された。
アルが俺に友達でも何でも、大切な人をつくってほしいと願っていたのはわかっていた。
前にも「ボクは相棒だけど、友達にはなれない。」と言われたことがある。
だから、佐宮のことも信じたかったけれど、俺が臆病だった。
でも、人間関係を築く話をお前がするのか。
血は繋がっていないにしても父親としての海藤アルとしての記憶を失い、俺との関係を0に戻したお前が。
今のアルは相棒のアルだと割り切ろうとしてきた俺に、父親のように説教をするのがどんなに酷いことか、
アルにはわからないだろう。
あいつはそもそも記憶をなくしたことさえわかっていない。
家の権利者がなぜ自分なのか、ショウしか人がいないのになぜ部屋に2つ椅子があるのか。
今までだってアルが気づくことはなかった。
やり場のない怒りを抱えたまま月のない夜を歩いた。