放課後3
気を取り直して、
ボクは空間に映しだされたキーボードとモニターをコントロール下におく。
「じゃ、近くの防犯カメラ50台にクラッキングかけますよ?」
ご主人様の方を見ると何やら考え込んでいる。
「いや、アルは佐宮のことを調べてくれ。カメラは俺が見る。」
「トヤくんを?調べる?」
ボクは驚く。
さっきまであんなに楽しそうに話していたのに。
確かに、家に侵入しようとした女がボクたちが帰ってくる少し前にいなくなったということはボクたちの位置情報を得ていた可能性はあって。
そうなるとトヤくんが最も怪しい、というのは合理的な説明だけれど。
人工的なモノであるボクは、それを人間であるご主人様から聞くのは許せなかった。
「ショウ、それだけは許せない。根拠がなくても信じないと人間関係は築けない。」
「築いたっ...結...失う...だ。」
「ん?」
「なんでそんなこと機械に説教されなきゃならないんだ。」
声を荒らげるご主人様に驚く。
普段はこんな急に怒ったりしないから。
なにか、地雷を踏んだかのようだった。
それに、今までボクのことを機械として扱ったことはなかった。
「出てってくれよ。ここはボクの家だ。」
ご主人様は黙って出て行った。
ドアの閉まる音が響いた。