放課後
トヤくん人気は転校してから2週間たった今でも続いていた。
その理由は、
「こらぁ!」
今ちょうどトヤくんのし掛けた黒板消しが先生にヒットしたように、トヤくんがちょっとやんちゃ、否、お馬鹿だったからにほかならない。
「お前は常識というものを知らないのか!」
アル的にも黒板消し落としは中学生までだと思うな。
「スポンジ部分を上向きにするなんて道に反するだろう!」
先生?黒板消し落としに道がありますので?
でも確かに毛の生えてない先生の頭は薄っすらと赤くなっていた。
「ごめんなさい。」
それでもトヤくんに真っ直ぐな瞳を向けられると先生もすぐに許してしまう。
「」
ご主人様は呆れて言葉も出ないようだった。
けれども少しそんないたずらっぽく笑うトヤくんを好ましいと思ってしまっていることも自覚しているようだった。
トヤくんは転校生というステータスがなくてもクラスの中心人物になっていただろう。
だから、ご主人様にはどうしても解せないことがあった。
何故ご主人様にそんなに構うのか。
「どうして俺なんだ?」
ぶっきらぼうにトヤくんに問う。
ボク、そのセリフは付き合いたてのカップルみたいだと思うのです、とこっそり笑っていると、
「君しかいないんだ。」
とボクの心を読んだかのようにおどけて言うトヤくん。
「本当のところは?」
「僕の親友に似てるから、かな?」
ボク達的には納得できる答えじゃなかったけれど、珍しく真剣なトヤくんの声音にそれ以上の追求はやめた。
「帰ろか」
「帰ろう!」
ショウが自分から誘うなんて、!!
「るせー!」
「え?」
イヤホンもしてない時にボクに返事しちゃダメでしょう、ショウ。
ボクの声は周りには聞こえないんだから。ハハハッ、。
「ごめん、佐宮、間違えた。」
「そんな間違いある?」
ツッコミを入れながら笑い出すトヤくん。
2人に笑われて拗ねたようにそっぽを向いたご主人様だったけど、ボクは気づいていた。
その表情は照れ隠し意外何物でもないことを。
不定期ですが週1ペースは守りたい