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というわけで、明日〈5月1日〉からこの町には液体鏡の霧がばらまかれる。
「ばあちゃんあの女の人に投票したんよ?なんであんな腹の出た…」
「知らん。」
ばあちゃんは部屋のドアが閉まらないように抑えながら勝手にペラペラ喋っている。僕は言いながら服を着替える。
「あんたまたそんな服着よるん?だめよ女の子がおヘソ出して。寒くない?」
この服を着ると毎回同じことを言われるので、ものすごくうんざりする。
「もう5月だぞ、寒くねえだろ。」
ペンキ汚れをつけたメンズサイズのジージャンを羽織って、僕はばあちゃんを押しのけて、すぐ左手の階段を小走りで降りた。
カーキのゴツいショートブーツはヒールが9cmはあるけど、僕はこの靴をかなり気に入ってる。
「どこ行くの?」
階段の上からばあちゃんの声が聞こえた。
「ばあちゃんに関係ないだろ。」
呟き声で答えたがばあちゃんには聞こえていないだろう。
僕の今日の目的地は駅前のいつもは何をやってるのかよくわからないイベント会場だ。しばらくは今日と同じように液体鏡の解説展示がされるらしい。
町には太陽が降り注いで青い空には雲ひとつないとは言えないが、なかなかの快晴だった。でも明日からこの空には人々の姿が映り込むらしい。
それはそれで良い景色かもしれないと少し思った。




