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6話 アンナちゃんと

お昼になり、ユーさんが用意してくれた料理をみんなと一緒に食べる。


セイは本当に何でも食べる。用意されたお肉、魚、野菜、それから料理に使わなくて捨てる部分もしゅわしゅわ~っと消化していた。

最初お皿まで消化するから慌ててそれはダメって言ったら、それ以降はちゃんとお皿を残してくれた。しかもお皿は洗ったみたいに綺麗になっていた。


…あの…小さい身体の何処に…あんな量の食べ物が入るんだろう……

…本当にスライムってすごいなぁ。お皿が綺麗で、水要らず洗剤要らずで節約できて助かるなぁ…


食事が終わって、ラーゴンから「契約おめでとう」の言葉と共に従魔用の首輪を、ユーさんからセイ達従魔のご飯(私はメモ帳も。保管スキルを持っているからという。)を貰い、私達はお城に帰ってきた。


午後からは自由時間らしい。


私は部屋に戻る。当然のように横にはアンナちゃんとラビちゃん達がいる。私達はベッドに座り、セイ達を枕の近くに置く。



「………」

「…私達って邪族と戦う為に召喚されたんだよね?」

「…そうだね。」

「みんな、その邪族を斃す、殺すって簡単に言ってたでしょ?

私は殺したくないよ…人殺しなんてできないよ…簡単に言うみんな…おかしいよ…」

「………」

「…なんで私が召喚されたの?なんで私が戦わなきゃいけないの?私は普通の学生だよ?学校が終わったらお母さんのお手伝いして家族で一緒に夕飯食べて、お喋りして、そんな日常が続くはずだったんだよ!」

「…私達が戦わないとカラーレントの人達が滅んでしまうから…」

「そんなの関係ない!?」

「…じゃあ…一緒に逃げる…?」

「…っ………」

「私達2人が逃げても27人も勇者がいるよ…」

「………」

「でも…その分他の人に負担がかかって…その内限界がきて…誰かが死ぬかもしれない…」

「…っ……」

「そうなるかもしらないけど、一緒に逃げる…?」

「………みんなを置いて……?」

「そう、私達だけで…」

「…それは…できない…」

「でも殺したくないんだよね?」

「それでも!…みんなを置いて…私達だけ逃げるなんてできない…」

「…我が儘だね…」

「…だって!もう…誰かが…知り合いが死ぬを見たくない!体が冷たくなって…声をかけても笑い返してくれない…もう…見たくないよ…」

「…逃げずに、殺さないかぁ…」

「………」


アンナちゃんがぽんっと手を叩く。


「簡単だよぉ。」

「…え?」

「トモちゃんにわかりやすく言うならぁ、ノーヒットノーラン出来るくらい圧倒的な投手にぃ、誰も打てない速いストレートにぃ変化球をぉ投げれるようになればいいのよぉ。ねぇ?簡単でしょぉ?」

「いやいやいやいや。全然!簡単じゃないよ!」

「そぉ?でもぉ、圧倒的な力を付けてぇ邪族に何もさせないでぇ、気絶なりぃ戦えなくできればぁ殺さずに済むでしょぉ?」

「そ、それはそうだけど…」

「それにぃ過去に神様が召喚した勇者が圧倒的だったって言ってたでしょぉ?同じ勇者なんだからぁ私達もそうなれると思うのぉ。」

「………」

「…とりあえずぅ今はそうできるようにぃ頑張るでいいんじゃない?」

「……うん。そうだね…まだ、割り切れないけど、頑張るよ。」

「目指せノーヒットノーラン!」

「ノーノーは目指さないからね!」

「え?」

「え?」

「「………」」」


私達は見つめ合い、笑い出す。


「あはは…はぁ、笑った。アンナちゃん、ありがとう。」

「ふぅ、どういたしましてぇ。」


雰囲気が明るくなったからかセイ達が寄ってくる。私はセイを手のひらに乗せて優しく撫でる。


「セイ、強くなる為一緒に頑張ってくれる?」

セイは当たり前だよ!という感じで強く頷くように上下に揺れる。

「私も頑張るよぉ。トモちゃんが投げた球を取れる捕手になるよぉ!」

「それ!まだ続くの!?」

「冗談だよぉ。でも一緒に頑張るのはぁ本当だよぉ。」

「きゅっ!」「にゃん!」「バウッ!」

「ラビちゃん達も一緒に頑張るってぇ。」

「みんな、ありがとう!」


ラビちゃん達を優しく撫でる。


「それで、どうやって強くなるの?」

「う〜ん。レベルを上げればぁ、斃せるようになるってぇ王女様がぁ言ってたよねぇ。」

「うん。レベルを上げるには魔物や邪族達を斃さなきゃいけないんだよね?殺すって事だよね…?」

「そうだと思う。あとぉダンジョンでレベルを上げてるとも言ってたよねぇ。」

「ダンジョンか……どんな所なんだろう?」

「さぁ?行った事がないからぁわからないよぉ。」

「でも、レベルを上げるって事は邪族達を殺すって事だよね?」

「そうかもしれないしぃ、ダンジョンって所ではぁ他の方法でレベルを上げる事ができるのかもしれないよねぇ。まぁどんな所かわからないけどねぇ。」

「う〜ん。じゃあ、ダンジョンがどんな所か調べる事から始める?」

「そうだねぇ…いずれ邪族達と戦う事になるんだからぁ、自分の身を守れるように訓練もしたいよねぇ。」

「…そうだね。」

「あとぉ私達は従魔クラスなんだしぃ、ラビちゃん達との連携の訓練をもっとしたいねぇ。」

「きゅっ!」「にゃん!」「バウッ!」

「やる気満々だねぇ。」

アンナちゃんはラビちゃんと戯れ合う。私はやる気に満ちた様子のセイを撫でる。

「一緒に頑張ろうね。」

セイはうん!と頷くように上下に揺れる。


「それからぁ、スキルのレベルを上げたいよねぇ。」

「スキルのレベル上げ?なんで?」

「魔法スキルだとぉレベルが上がると威力が上がるってぇ言ってたからぁ、スキルのレベルを上げたらぁ強くなれると思うんだぁ。」

「たしかに、そうかもしれないね。アンナちゃんはどんなスキルを持っているの?」

「私はぁ従魔術lv2とぉ投擲lv1とぉ棒術lv2を持ってるよぉ。」

「私と一緒だ。レベルが違うけど同じスキルを持ってるよ。」

「そうなのぉ?お揃いだねぇ。」

「そうだね。レベルは従魔術がlv1で投擲がlv3、棒術がlv1だよ。」

「さすがエースだねぇ。投擲のスキルのレベルをぉ上げたらぁ本当にぃ誰のも打てない球を投げれるようにぃなるかもしれないねぇ。」

「…やっぱり関係あるのかな?」

「そうだねぇ…身に付けた能力だって言ってたから関係あると思う。」

「……勝つ為に、少しでもみんなと一緒にやりたいから練習をいっぱいやってきたよ。」

「そうだね。」

「…辛い時もあったけど、みんなとやってると、アンナちゃんとやってるとすっごく楽しかった。」

「うん。私も楽しかったよぉ。」

「…アンナちゃん、また一緒に頑張ってくれる?」

「うん!私だけじゃなく、ここにいるみんなもトモちゃんと一緒に頑張るよ。」

「ありがとう。あはは…私…なんかおかしいね…」


アンナちゃんが私をぎゅっと抱きしめてくれる。アンナちゃんの心臓の音が安心感を与える。

アンナちゃんが優しい声で話しかけてくる。


「私、私達がいるよ。楽しい時も辛い時も一緒にいるよ。嬉しい事は倍に悲しい事は半分こしよう。一人で出来ない事もみんなでやれば出来るよ。」


私はアンナちゃんの胸の中で泣いていた。アンナちゃんをぎゅっと強く抱きしめて泣いていた。アンナちゃんは頭を優しく撫でてくれた。不安、悲しみがいっぱい溢れてきて泣き続けた。


アンナちゃんはずっと撫で続けてたと思う。思うっていうのは私がいつの間にか寝てしまったから。



ーーー



トモちゃんが泣き疲れて寝てしまった。私はトモちゃんが起きないように腕を解き、ベッドに寝かす。


「ふぅ…ほんと…トモちゃんは一人で溜め込んじゃうんだからぁ……はぁ…」


少し前のトモちゃんはいろんな事を一人で溜め込んで、みんなの前でいつも明るく振る舞っていた。


あの時もそうだった。みんなは気が付かなかったみたいだけど、私はいつも少し様子が違うと気付いて、しつこく問いただしてみたら、とーっても溜め込んでた。本気で怒って泣いた。

私がいるのになんで話してくれないのかなんで相談してくれないのかと悲しくなったけど、それ以上にトモちゃんが今まで一人で苦しんでいた事に気が付かなかった自分が許せなかった。

それ以降トモちゃんは少しだけ話すようになった。今日みたいに誤魔化す事もあったけど、おはなし(・・・・)をしたら、すぐに話すようになってくれた。


私は寝ているトモちゃんの涙の跡を拭う。

また優しく抱き締め頭を優しく撫でながら「私達がいるからね。」とトモちゃんの耳元で優しく囁く。


そして、くんくんと匂いを嗅ぐ私。


「運動したから汗の匂いがする。これはこれで良い匂いだけどぉ汗を流してから話を聞くべきだったかなぁ?」


寝ているトモちゃんを見ながら、一緒にお風呂に入ってからにすればよかったかなぁ。タオルを濡らしてトモちゃんの身体を拭こうかなぁ。う〜ん。

と、考えてるとセイちゃんと()が合う。あ!


「セイちゃん?今日のお昼でお皿を綺麗にしたようにぃトモちゃんを綺麗に出来るぅ?汗とか汚れを落とせるぅ?」

セイちゃんは出来ると頷くように上下に揺れる。(私にはそう見えた。)

「じゃあ、早速、、いや、最初は私にやってみてくれない?」

セイちゃんが頷く。

「まずはぁ手からお願いぃ。」

セイちゃんは私の手に身体を伸ばし、包み込む。弱い炭酸ジュースのような泡が出る。痛くない。逆に気持ちが良い。

数秒後泡が出なくなり、セイちゃんがもとに戻る。私は手を見て、握ったりする。

「うん。綺麗になってるねぇ。じゃあ、次は頭をお願いぃ。」

私はセイちゃんに抜け毛を見せる。

「こんな感じのぉ抜けている髪の毛は消化しちゃっていいからねぇ。」

私は目を閉じる。セイちゃんは頭の上から包み込む。

「あ、ちょ、ちょっと待ってぇ。」

私は慌てて鼻にも覆い被さるセイちゃんを止める。

「セイちゃん、鼻は呼吸するから塞がないで」

セイちゃんは器用に呼吸出来るように鼻の穴を塞がないようにしてくれた。

「うん。これなら呼吸出来るよぉ。じゃあ、続きをお願い。」


私は口も閉じ、終わるまでじっとしていた。耳の中に入ってきた時はぞくぞくしたけど、痛みも感じず無事終わる。


「ふわぁああ、気持ち良かったぁ。大丈夫そうだねぇ。あとは残りのとこだねぇ。今服を脱ぐからぁ、ちょっと待っててぇ。」

私は服を脱いで裸になりトモちゃんの隣で横になる。

「おまたせぇ。じゃあよろしくぅ。」

セイちゃんは首、肩、腕、胸、お腹と順に下にいき綺麗にしてくれた。これはクセになりそう。気持ちが良い。ムダ毛処理をお願いしたら、つるつるになった。セイちゃんすごい。


「セイちゃんありがとぉ。気持ち良かったよぉ。」

私はセイちゃんを撫でる。セイちゃんは嬉しそうにぷるぷると揺れる。


私はトモちゃんの服を脱がしていく。トモちゃんの程よく引き締まった身体に見惚れ、手が止まる。


「ダメダメ、寝ている女の子の胸を触るなんてただの変態だよ。でも…でもちょっとだけ、ちょっとだけなら…」


止まっていた手がトモちゃんの胸に伸びる。もう少しで触れそうになった時


「きゅぅ。」「にゃぁん。」「くぅぅん。」


ラビちゃん、コクちゃん、ハクちゃんが鳴いた。手が止まる。ラビちゃん達を見るとダメだよと首を横に振っていた。


「…みんな、ありがとぉ。私…変態になるところだったよぉ…」


私はラビちゃん達に感謝をして、撫でる。私は無心…いや、少し意識しながらトモちゃんの服を脱がし終える。疲れた。精神的に疲れた。


「…ごめん。おまたせぇ、セイちゃん。

じゃあ、トモちゃんをお願いぃ。あ、今回は耳の中はやらなくていいよぉ。起きちゃうかもしれないからぁ。」

セイちゃんはわかったと頷きトモちゃんをゆっくりと包み込む。全身を包み込むと炭酸のような泡が出る。


これを知らない人が見たら、トモちゃんがスライムに消化されてるってびっくりしちゃうかもねぇ。まぁ誰かの前でこんな事しないから、見られる事もないけどねぇ。


と考えてると泡が出なくなり、セイちゃんが元に戻る。


「セイちゃんお疲れ様ぁ。ありがとうねぇ。」

セイちゃんはぷるぷると揺れる。私はトモちゃんの匂いを嗅ぐ。

「おお。汗の匂いが無くなったしぃ、髪はさらさらになってるぅ。すごいよぉ、セイちゃん!」

セイちゃんは嬉しそうにぷるぷると揺れる。

「じゃあ、夕飯までみんなで一緒にぃ寝ようかぁ。」

「きゅ!」「にゃん!」「バウ!」ぷるぷる

私はトモちゃんに抱きつく。セイちゃんはトモちゃんの顔の横に、ラビちゃん達はセイちゃんの横でかたまって丸くなる。

「おやすみぃ。」




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