2話 ステータス
「改めまして私はサーティリア・アルジェレントと申します。サティとお呼び下さい。
この方はアルジェレント王国国王アルバイン・アルジェレント様です。国王であり私のお父様です。」
「アルバイン・アルジェレントだ。アルと呼んでくれ。娘、国共々よろしく頼む。」
…国王様って一番偉い人だよね?そんな人を私達みたいな一般市民が愛称で呼んだら、捕まったりしないよね?国王様って呼んだ方がいいよね?
「それでは皆様が勇者であると証明しましょう。マーデル殿、お願いします。」
「畏まりました。私はマーデル・コンジュレイと申します。
まず皆様にステータスの確認をしてもらいます。それで皆様が勇者である事が証明できるでしょう。
では《ステータスオープン》と唱えて下さい。」
「「「《ステータスオープン》」」」
うわあ、なにこれ?なんか出てきた!
ーーー
トモエ・ラクモト
人族 女 14
ジョブ【スライム使いlv1】
魔力 100/100
スキル【従魔術lv1(従魔契約、意思疎通、魔物鑑定)、調教lv1、投擲lv3、棒術lv1】
称号【勇者、転移者】
ーーー
名前がカタカナだ……人族?に性別に年齢
…次はジョブ……職業…?職業がスライム使い…?スライムって理科の実験のやつ?それを使うの?うーん?わからないや…
魔力…魔法使いとか言ってたから、魔法の力…強さ、もしくは使える回数とか?100は多いのかな?
スキルってなんだろ?能力?技?…従魔術ってなに?契約?意思疎通?スライムは生き物…なのかな?後で聞かなきゃ…
投擲と棒術は…なんとなくわかる…
あ、称号に勇者ってある…私も勇者なんだ…
「ゲームみたい!」と男子達はテンションが上がっている。
「確認できましたか?」
「できました。」
「称号に勇者があるはずです。それが皆様が勇者であると証明です。」
「はい。ありました…本当に勇者なんですね…」
先生が代表して答える。先生も勇者だったようだ。
「次にステータスについて説明しましょう。勇者様の世界にはステータスウィンドウのようなものはないのですよね?」
「はい。ありませんでした。(ゲームや小説にはあったけど…)」
「では上から説明します。名前、性別、年齢はそのままですね。種族は私達人族の他に魔人族、エルフ族、ドワーフ族、獣人族、魔獣、魔物、邪族があります。後で詳しく説明します。
次はジョブですね。ジョブは個人が持っている才能です。その才能によってスキルの習得、スキルのレベル上げのし易さが変わってきます。ジョブレベルが上がれば、スキルの効果が上昇しますし、新たなスキルを取得する事もあります。」
…スライム使いってどんな才能…なの?
「魔力は村人が平均20、魔法使いが100くらいですね。スキルを使用する時や魔道具などを使用する時に消費します。強力なスキルの程消費量が多いです。0になると最悪の場合死に至りますので、気をつけて下さい。魔力は自然回復又は回復薬などを使用したら回復します。
スキルは身に付けた能力です。訓練したり、ジョブのレベルアップなどで取得します。スキルレベルが上がれば、魔法スキルだと威力が上がりますね。
称号は多くの人々が認めたり、この世界や神々が与えた呼び名ですね。勇者は神々が、転移者はこの世界が与えたものですね。」
魔力は魔法使いさんと同じくらいなんだね。元々無かったものだからすごいのかすごくないのかよくわからないね…
スキルは身に付けた能力…か。投擲と棒術はあれかな?毎日練習してたもんね…
「簡単にステータスについて説明しましたが、わかりましたか?」
「わかりましたが、私達のジョブやスキルについてもっと詳しく教えてもらえると嬉しいのですが…生徒達がこれ以上集中できそうにないので…」
特に男子生徒が集中できそうにない。ゲームみたいなステータス、スキルの事を詳しく知りたいのだろう。
「王様、王女様、いいでしょうか?」
「あぁ、構わん。」「はい、構いません。」
「私達の世界については明日説明しましょうか。
では組み分けして説明しますので、勇者様のステータスを教えて下さい。」
「すみません。ありがとうございます。」
マーデルさんにステータスを教えた。
前衛クラス、後衛クラス、魔法クラス、支援回復クラス、従魔クラス、召喚クラス、生産クラスの7つのクラスに組み分けされた。
その間に各クラスの担当が到着する。
私は従魔クラスになりました。私の他にアンナちゃんとタダノ君、マキ君がいます。
説明してくれるのはマッチョの男性。
「ドラゴン使いのラーゴンだ。」
「マキ トオルです。魔物使いです。」「虫使いのタダノ カイです。」
「スズキ アンナですぅ。獣使いですぅ。」「…ラクモト トモエです。スライム使いです。」
「「「「よろしくお願いします。」」」」
「あぁ、よろしくな。
早速説明に入る。従魔クラスはテイムした魔物達と共に戦う者達の事だ。俺達の事だな。
飼い馴らしなどをして仲間にする事をテイムという。テイムの方法はいろいろあるが、大体は戦い、勝って相手に主人または相棒であると認めさせ従魔術を使うか餌付けして従魔術を使うのが多いな。テイムしてと寄って来るモノも稀にいるな。」
スライムは生き物なんだね?スライム使いは…スライムをテイム?しやすいって事…?かな?
ペットって感じかな?
…アンちゃんみたいな獣使いがよかったなぁ…なでなで、もふもふしたい…猫とか…
スライムってどんな生き物なんだろう…
「従魔クラスはテイムした仲間と共に成長していくものだ。大切にしなければならない。
過去に酷い扱いをした男がいた。そいつはテイムしたモノによって殺された…」
「そのコはその後どうなったんですか?」
「そのモノは人間不信になり関係ない人々を殺した。これ以上の被害を出さない為に討伐された……」
「可哀想…」
「その人は殺されて当然だよ。生き物を大切にしない奴なんてみんな死んじゃえばいいんだよ。」
マキ君…過激すぎ!?殺されて当然って!死んじゃえばいいんだよって!?怖すぎ!
みんな少し引いてるよ…
「あぁ…だからお前らはテイムしたモノを大切にするんだぞ。」
「「はい。」」
「当たり前だね!」
こくりと頷く私。
ペットを飼ったら大切にするのは当たり前だよね。
「次に仲間にする為の従魔術の呪文を教える。呪文は《従魔契約》だ!わかったか?」
「「「「え?」」」」
「ん?なんだ?わからなかったか?」
「……も、もう一回お願いします。」
…仲間になーれって言った…?呪文って日本語…なの?
「唱えるぞ。《従魔契約》だ!」
「まじ?!《従魔契約》こんなんでいいの?日本語じゃん!?」
「日本語だねぇ……今更だけどぉ、私達会話できてるねぇ。この世界は日本語なんだねぇ。」
「それは違うと思うよ。日本語に聞こえるのは勇者か転移者の称号のおかげだよ。日本語に翻訳されて、僕達の言葉は異世界語に翻訳されるスキルが付いてるんだよ。たぶん。」
「まぁ。通じているから、別にいいんだけどねぇ。私、英語とか外国語は苦手だからねぇ…」
うん…日本語だった…今更だけど不思議だね…日本人じゃないのに日本語ペラペラだよ。
マキ君が言ってるのはあれかな?ほん◯くこん◯ゃくみたいな感じかな?だから日本語に聞こえるの…かな?
称号を与えてくれた神様に感謝だね。ありがとうございます。
「うむ。カイは一回で出来たな!さすが勇者ってとこか!
トモエ、アンナ、トオルも唱えてみろ!」
「「《従魔契約》」」
「…《従魔契約》…」
「トモエは声が小さいがちゃんと唱えられてるな。アンナ、トオルも問題ない。さすが勇者だな!
で、唱えた後テイムするモノに触れて、受け入れられれば成功だ!」
まぁ…仲間になーれって日本語だから…ね。私達にとっては簡単だよね…言うの恥ずかしいけどね…
ラーゴンに褒められたが、ちょっと複雑な気持ちの私達は顔を見合わせ苦笑い。
「次は従魔術がレベル2なったら取得する呪文だ。テイムした仲間を強化する呪文を教えておこう。《従魔強化》だ。これは従魔クラスで最も使用する呪文だ。生命線とも言えるな。覚えたか?」
「…はい。覚えました。」
こくりと頷く私達。
「さすが勇者だな!」
うん…従魔術の呪文は大丈夫かな?たぶん、他の呪文も翻訳されると思うから、大丈夫だよね…でも、声に出さないといけないのは…嫌だなぁ…
ラーゴンさんがリュックから本を出す。
「これは低ランク生物図鑑。これは高ランク生物図鑑。これは王都周辺の生物分布図。これは王国内の生物分布図。これは国外の生物分布図だ。
まずはこの低ランク生物図鑑だな。」
低ランク生物図鑑と高ランク生物図鑑が4冊ずつ、他1冊ずつ、全部で11冊を出した。ラーゴンは低ランク生物図鑑と高ランク生物図鑑をみんなに配る。
そしてラーゴンは私に配った低ランク生物図鑑のあるページを開いた。そのページには生物の絵と生息地、スキル、弱点など書いてあった。
「これがスライムだ。トモエのテイムする魔物だ。」
おお!やっとスライムの事が分かる!どんな生き物なんだろう!どれどれ?
開かれたページを見る。
スライム…危険度1
生息地…何処にもいる
魔石…1
魔力…10
スキル…吸収、消化、放射、保管、大小化、打撃耐性、環境適応
弱点…斬撃、魔法、魔石
環境適応により何処にもいる。その地域によって様々な環境スキル、耐性スキルを覚える。いろんな可能性があるが全体的に弱い。
始めの頃のレベル上げで狩られる魔物。
ほとんどの従魔クラスの最初にテイムする魔物。
上位種…マジックスライム(ファイアスライム、ウォータースライムなど、属性スライム)、ポイズンスライムーーーー
うん。理科の実験のやつと似た見た目だ。べろーんとしてる絵だ。ぷるぷるで少しベタベタな感じなのかな?中に宝石みたいなのがあるね。これが私のテイムするコか…ベトベトしてないといいなぁ…
「スライムは書いてある通り弱いが、非常に役に立つ魔物なんだ。だから、元気を出せ。」
ん?ただベトベトしてないといいなぁと思っただけで落ち込んでないよ?
でも、役に立つ魔物なんだ!嬉しいな!
「過去の勇者様がスライムを相棒してな。その勇者様を真似てスライムをテイムする事が流行ったんだが、やっぱり弱くてな…でも勇者が「なんでも吸収し消化するから」と言って食材の血抜きや毒抜き、ゴミなども吸収するから清潔に、といろいろと役に立つ事が分かったんだ。まぁ戦闘面ではあまり期待は出来ないがな…」
過去の勇者も私と同じスライム使いなのかな?
というかなんでも吸収って凄いね!
戦闘面では期待できないのか…でもいろんな可能性があるって言われてるんだから、最初っから諦めないで
いろいろ一緒にやっていこう。
「次はカイのテイムする魔物だな。」
ラーゴンさんはダダノ君に渡した低ランク生物図鑑のあるページを開いた。
私はスライムの事をもっと知りたくて、同じページを何度も読み返した。スライムの上位種のページも何度も読み返していた。
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