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【十二】

【十二】


十月下旬の夕方、祐介は家路へ急いでいた。

今日は香織の復帰作品の放送日であり、もう一つ香織に伝えなければならないニュースが飛び込んできた。


十八時から二時間の枠で放送されるケーブルテレビ局の自主製作ドラマは既に予約済だったが、祐介は出来ればそれをリアルタイムで香織と一緒に見たいと思っていた。


研究センターから自宅はすぐ近くのはずなのに、最後の最後に実験データにおかしな部分がある事に気が付き、データの見直しをしていたのが災いして、走って帰宅する羽目になった。


「た、ただいま!」

祐介が息を弾ませながら玄関を蹴破る勢いで開ける。


「おかえりー」

間の伸びきった香織が仕事上がりの祐介を出迎える。祐介はその声のする方、リビングに急ぐと、テレビのリモコンを掴み、チャンネル番号を入力する。

ギリギリセーフだったようで、レコーダーのランプはまだ待機中を示す明滅を放っており、祐介はそれを見てホッと胸を撫でおろす。


「そんな、走ってこなくたって...予約したんでしょ?」

香織はそう言いながら冷蔵庫から冷えたビールを取り出し、夕食をテーブルに並べ始める。


「今日だけは見逃せないんだよ。」


着替えもせずにテレビにくぎ付けになり、ソワソワと落ち着きのない様子を見せる祐介を見て、香織は先日ロケから帰って来て、レコーダーの前に置かれた白地のCDケースを見つけた時の事を思い出した。



シャワーを浴びてリビングに行くと、テレビボードの横に白い、空のCDケースが一枚置いてあった。

離れて一週間。これが噂の男性の禁断症状を紛らわせるための秘密の動画というものだろうか。


「祐君、これはなあに?」

「うん?あっ!? ああ...これはね...」

「まさか...これ、エッチな奴じゃないよね?私のいない間に私以外の女で一人仕事を」

「違うっ!全然違うって!!」

焦る祐介を見て、香織は絶対に怪しい、いかがわしいものだと直感していた。


「じゃあ、再生しても大丈夫なんだよね?」


「勿論。やましいものではないからね。」

祐介は諦めたのかいつもの冷静さを取り戻していた。何となくその態度が面白くなく、香織はテレビをつけて再生ボタンを押す。


小さな作動音の後、映し出されたのは紛れもなく過去の自分、二十代前半の自分自身だった。

演技もちぐはぐで、表情も全く作りこめていない。それもそのはずだ。今流れているのは草津香織のデビュー作で、初めて主演をつとめた映画だからだ。


「いやーーー!やめてーーーー!! な、なんでこんなの持ってるのよーー!!」


ニヤニヤと笑う祐介をしり目に、香織の絶叫がアパートに響き渡った。


「遂に俺の秘密を告白する時が来た。」

祐介は目じりを下げて香織をなぶる様に見ながら、押し入れから段ボールを引きずり出した。

その中身を覗き見てしまった香織は恐怖のどん底に陥った。


ドラマ別、ジャンル別に色分けされたCDケースに全てラベルが貼ってあり、多忙を極める原因となった恋愛ドラマ、『僕は君を好きになる』に至ってはディスク印刷までされている。


祐介はその印刷済のディスクを丁寧に取り出すと、プレーヤーのトレイに収め、リモコンの再生ボタンを押す。

ディスクがプレーヤーに吸い込まれる。チャプターを進めると、最終回のラストシーンの映像が流れ始める。


『俺の気持ちを受け入れてくれよ!俺は...やっぱりお前が好きだっ!』

『私も・・・私もあなたの事が本当は大好きだったの!』

今は余り売れなくなってしまった俳優の胸に飛び込み、キスをするシーンが流れる。

このシーンも他の男には絶対に唇に触れて欲しくないと事務所に駄々を捏ね、本当にするなら降板するとまで言い張った製作側の妥協の産物だった。


「ああーーー!なにこれっ!!メチャクチャ恥ずかしい!!お願い祐君!!私が悪かったから!!!もう止めて!!」


「この頃の香織、メチャメチャ綺麗だよね。あ、知ってる?番組の途中のCMにも確か...」

リモコンでチャプターを戻すと、ご丁寧に香織が出ているCMだけCMカットをオフにする徹底ぶりだった。


『スプラッーシュ!!爽やかでシュワシュワだよー! おおーい!みんなで一緒に飲もうよ!!』

水着姿の香織がウインクをしながら炭酸飲料のCMに出ている。


「ひぃーーー!こ、こんなのまで!」

「ねえ香織、これ今ちょっとやってみてよ。スプラーシュ!の所から。」

「ヤダヤダヤダヤダ!!!絶対にヤダよ!!!」

「ちぇっ!」

祐介が悪どい顔をして、再生ボタンを止め、ディスクを再び段ボールに収める。どう見ても段ボールの中にはまだまだ秘蔵お宝映像が大量に埋蔵されているらしかった。


「ま、まさか...まだ他にも...あ、あるの?」

「勿論。デビューしてから二年間は殆ど全部収集してたよ。見たいでしょ?」

「もう良いよ!見たくない!!恥ずかしすぎるって!!」

「そうか残念。自分が映ってる映像って、結構恥ずかしいものなんだね。」

「そうだよ!恥ずかしいなんてもんじゃないよ!いつの間にこんなに録画してたの?」

「そんなのはファンにとっては当たり前のことだよ。録画なんて検索キーワードに草津香織と入れるだけの簡単なお仕事だ。」

祐介は何かに火が付いたのか、上から目線で熱く語り始めた。


「いいかい?香織。本当のファンというのは、そんな単調で機械任せにしてちゃ務まらないんだ。俺の本当の意味でのお宝はこれだよ。」

そう言うと祐介はニヤリと笑いA4サイズのファイルをいくつか取り出す。日付順、掲載順にスクラップされた香織に関する資料、デビュー前のファッション雑誌から、デビュー初期の頃のインタビューが掲載された女性誌、少年誌や青年誌のグラビア、新聞記事、更には地方でしか配信されていないはずの折り込み広告のモデルなど、どれもこれも草津香織で埋め尽くされているファイルを香織に渡した。


ナンバー1と書かれたそのファイルを手に取り、それをパラパラとめくり中身を見て香織は軽い眩暈を起こした。


香織にとっては初期の女優活動は最も自信がなく、素人に毛が生えた様なものばかりで、所謂黒歴史に近いものであった。

付き合っていた当時、『いつも見てるよ』と聞かされていたが、ここまで全て集めているとは思わなかった。

コレクションは香織がデビューして三年目、つまり祐介がメンタルヘルス不全になった頃から集められおらず、香織の胸にそれがチクリと刺さった。


『こんなに応援してくれていたんだ。』

穴があったら入りたい位に恥ずかしかったが、それでも香織は祐介が今まで大事に思い出として残してくれていたことが素直に嬉しかった。



祐介がビールに手を伸ばしたところでドラマが始まった。

海岸線の美しい風景が流れ、主演をつとめる若い女優がセーラー服で自転車を漕いでいた。

草津香織の役は、この主演女優の姉役だ。

ロケも前半は苦しかった。久しぶりの台本に台詞を間違え、役に入り込むのにも随分苦労した。

それでもこの一週間で香織は演技の楽しさをすっかり思い出していた。


物語はヒロインの高校生が夢を諦め、幼馴染と二人で東北地方の様々な場所をめぐっていき、最後に結ばれるという言わばありきたりの脚本ではあったが、東北出身の俳優、そして現在東北に住んでいる草津香織の特別出演ということもあって、予算が多いらしく、それぞれのシーンはしっかりと作りこまれていた。


夢を諦めたヒロインに、草津香織は言う。

『夢を諦めたっていいのよ。でも、夢を追いかける事は止めちゃ駄目。新しい夢を、自分を見つけなさい。』


優しい表情だった。

祐介は久しぶりに見た現在の草津香織の演技に見入り、知らぬ間に涙を流していた。

食い入る様にドラマを見続ける。


ドラマのエンディングロールが流れる。草津香織の名前の横に、特別出演と出る。


久しぶりに画面の向こうで見た草津香織に、祐介はこみ上げてくるものを抑えきれなかった。


「良かった。凄くよかった。」

そう言いながら、涙をごまかす様に手早く食器を片付け、キッチンに移動する祐介。

顔を赤くして俯いたままの香織。


こっそり涙を拭いた祐介が振り返ると香織はまだリビングで俯いたままだった。

「どうしたの?香織。」

「やっぱり、自分が出演してるのを見るの、恥ずかしい...」


祐介は香織の元に戻り、背中からそっと香織を抱きしめる。

「そうかもしれないね。でも俺は嬉しかったし、感動したよ。ありがとう。香織。」


祐介は録画したそのドラマを早速ディスクに焼き、タイトルと日付をラベルプリンターで印刷して貼り付けた。

祐介の香織コレクションに新しいディスクが加えられた。

その夜香織が復帰したことですっかり舞い上がってしまった祐介は、草津香織コレクションを堪能した。


香織は顔を赤くしながら祐介にもたれかかっていた。

ドラマお決まりのキスシーンが流れる。

『「好き」』

テレビの音声と隣の声が重なる。


祐介は香織の方を見ると、香織がいつもの優しい顔で、少しだけ頬を染めて祐介の顔を見ていた。


『「一生、愛してるよ」』

祐介の声とテレビの音声が重なる。


祐介は香織の唇に口づけをする。

ドラマのように触れる様なキスではなく、愛し合う者同士の熱く、絡みつくような口づけを交わす。


そのまま二人は縺れ合う様に倒れ、互いを求めあった。



翌朝、大事なことを香織に伝え忘れている事を思い出して、朝食の席でそれを切り出した。


「ほ、本当に!?」

「うん。思えばあっと言う間だったけど、一月一日付で、東京本社の研究所、応用開発課に出戻りになった。」

「よかった...の?」

「そりゃあ素直に嬉しいよ。確かに麗奈が居ないと思うと寂しい気持ちはあるけど...職場でもちゃんとお別れ出来た様な気がするんだ。」

祐介はそう言って以前に見た不思議な夢のような話を香織に聞かせた。


「そっか...東京戻ったら、また忙しくなるの?」

「忙しくなると思う。俺も驚いたけど、まさかの応用開発課の係長辞令だから。だからさ、年末年始で新居を決めないか?」

「うん。そうしよう。でも、住む所はどうするの?マンション買っちゃう?」

「香織の仕事がどうなるか分からないから、それまでは仮暮らしにしない?」

「俺は通勤そんなに苦にならないけど、香織は大変だろう。暫くは自宅から通勤になるだろう?駅に近い方が良いだろうし。」

「そんな昔みたいに売れっ子にならないよ。」

「いや。俺は昨日のドラマを見てやっぱり確信したよ。草津香織は天才女優だ。俺が言うんだから間違いない。」

「もう!恥ずかしいから持ち上げないで!」

「上げてない、上げてない。ホントの事を言ってるだけだから。」



十二月は異動に伴う引継ぎと、溜まった試験データの処理に追われて過ごした。

引っ越しは荷造りを香織が少しずつ始めてくれていて、何とかなりそうだが、仕事の引継ぎが思った以上に大変だった。


多忙の極みにあった祐介を喜ばせるニュースが入った。

香織の出演したドラマが東北地域ではケーブルテレビ各局において記録的な大ヒットとなり、公式動画が無料サイトに掲載されたことで一気に火がついて、再放送と全国地方局での放送が決まったとの知らせが入った。

公式配信されているドラマ紹介の動画には『草津香織復帰作品』というキャッチコピーが付けられていた。


年末になり、香織は仙台のケーブルテレビ局に挨拶に行った。既に婚約しており、婚約者と共に東京に移動すると伝えると、プロデューサーは非常に残念がっていた。もし前回のドラマの続編が作られるようなら、再び出演したいと香織が言うと、プロデューサーは飛びあがって喜んだ。

そんな話を香織から聞いた祐介は、香織が女優復帰を果たしたことは間違いなく喜ばしいことだと自分の事のように喜んだ。



そして迎えた年末、仕事納めの十二月二十七日の夕方、盛大な送別会兼忘年会が研究センターのほぼ全メンバーが揃い開催された。

送別されるのは勿論祐介だけだ。


「名倉さんはこの度一月一日付の辞令で、古巣の本社応用開発課に、係長としては異例の若さでご栄転となります。 名倉さんが人類の医療に、我が社に、この研究センターに残した功績は素晴らしいものであり...」

センター長の長い挨拶が始まる。

祐介も含めてコップに注がれたビールの泡が少しづつ消えていく。若手の顔にはすっかりと飽き飽きとした表情が浮かんでいる。祐介も自分の送別会でなければ同じような表情を浮かべた事だろう。


「じゃあ、ここで名倉主席研究員から...」

「センター長、私、素面だと恥ずかしくて上手く言えないので、少し経ってからお時間頂いても宜しいでしょうか?」

その一言に若手だけではなく、先輩たちからも力強い同意の目線を一斉に受ける。


「ああ、そうかね。それじゃ、当センターの益々の発展と、名倉君の前途を祝して! かんぱーい!!」

「「かんぱーい!」」

長いスピーチが終わり、やっと宴会が始まった。


祐介は主賓席でセンター長、副センター長の間に挟まれた所に座っている。

宴がたけなわになるまでは離席できそうになかった。

センター長から酒を注がれ、副センター長から酒を注がれ、開放感も手伝って祐介は早いペースで酒を飲み続ける。


「そう言えば名倉君はそろそろ結婚を考えてるのかね?」

副センター長から声を掛けられ、祐介は答える。


「はい。実はもう婚約者が居まして、年始に両親四人で顔合わせの予定です。」

「そうかそうか。男は所帯を持ってからが本番だからね。これでウチの研究部門も安泰だな!」

「いえ、滅相もございません。」


宴がたけなわになる前に、係長、主任、そして同僚のみんなが一人一人祐介の席の前に来て別れの酌をする。まるで結婚式のごとく、ある者はお互いにビールを飲み干そうと言い出し、ある者は冬は熱燗に限るといってこちらも日本酒を飲み干した。祐介は挨拶をしなればならない緊張感から酔いはそこまで回っていなかったが、挨拶が終わり安心した途端、めまいに襲われてそのままトイレに駆け込んで戻した。


R-POINTERを量産に漕ぎ付け、社内外に仙台研究センターの名は広まり、その立役者がかつてない早さの異例の出世を遂げることにセンター員は心の高揚を抑えきれず、宴会の場は何かに取り憑かれた様に異様な盛り上がりを見せた。


祐介は三回ほどトイレに逃げ込み、ペットボトルのお茶をがぶ飲みした後、喉に手を突っ込んで戻した。

学生時代でもここまで酷い飲み方をした事はなかった。


結局宴がたけなわになったのは日付も変わろうかという時間だった。

翌日の昼には仙台を発つ祐介は数多の二次会の誘いを最後の理性で断り、千鳥足でアパートへと戻った。


勿論、後の本人に聞けば二回目にトイレに駆け込んだ辺りから、記憶が無いという酷い有様だったことは言うまでもない。



荷物は昨日既に運び出されており、会社がリースで用立てた布団が二つ残されているだけとなった殺風景な部屋に祐介はフラフラになりながら入っていく。人間不思議なもので、どんなに酩酊状態であっても、帰るべき場所がある場合は大抵は不思議とその場所に戻っている。


祐介はアパートに戻ると、いつものように物音を気遣うことなく、バタンバタンと立てながら冷蔵庫に向かい、中に入っているペットボトルのお茶を取り出すと、一気に飲み干す。


「祐君?大丈夫?」

「ああ...悪ぅっ!」


そのままトイレに駆け込んで飲んだばかりのお茶を戻す。

再び冷蔵庫からお茶を取り出して再び飲み干すと、やっと少し落ち着きを取り戻した。


「かおり...」

布団から出て来てもう一本の新しいお茶を手に持っていた香織に祐介が崩れる様に抱き着く。


「うわっ!裕君すごいお酒臭い!!」

「さけは...のんでも、呑まれるな...」

「大丈夫?」

「だいじょーぶじゃない!ぜんっぜんっ!だいじょーぶ!!」

「もう!どっちなのよ!?」

「かおりぃーー...あいしてるよぉ」

パジャマ姿の香織の膨らみを愛でながら香織の耳たぶの裏で舌をぺろりと動かす。


「ちょっ!こ、こらっ!ゆ、祐君!」

「かおりぃ...おれぇ...うれしい...」

「なにが?」

「むううーーん...」

「もうっ!酔っ払いの祐君ってば!...ちょっと可愛いかも。」

「きゃわいい!? きゃわいいのは...かおりちゃんだどぉー。だいすきだぁーー」

「はいはい。もう寝るよ。ほら、布団に行くよ!」


香織は送別会と聞いて思い当たる節があったのだろうか、枕もとにはコンビニのビニール袋が数枚口を開けておいてあり、ティッシュ、タオル、そしてお茶が置いてあり、枕の下にはバスタオルが置いてあった。

いわゆる寝ゲロに備えたものだろう。


香織の肩に捕まりながら、祐介がふと呟く。


「香織...愛してる...麗奈...本当にありがとう...俺...生きててよかった...二人が居てくれて...俺...本当に幸せ者だ...」

香織は零れ落ちる涙を拭わず、祐介に話しかける。


「祐君が幸せなら、私も幸せだよ。」


香織はいつものように祐介を自分の胸に抱きかかえ、再び眠りにつこうとする。


その時、突如雷に打たれたかのような動きで、祐介が香織の桃色の突起にむしゃぶり始めた。

「ん...こ、こらっ!」

祐介は香織の体じゅうに唇を当て、そこかしこを強く吸っていく。


「ちょ...ユウ?...んっ!」


祐介は止まることなく、香織の上半身にひたすら吸い付き、右手で香織の膨らみを刺激する。


無言で、無意識のうちに祐介は香織にマーキングをするかのように、赤い痣を刻み付けていく。

上半身には数十か所の赤い印がつけられているだろうか。それでも勢いは止まることなく、臍、下腹部、

腰と下がっていき、やがて太ももは勿論、内ももに、そしてデリケートゾーンにまで沈んでいくように移動していく。


香織の荒い息遣いと、嬌声だけが聞こえる世界。

その中で、祐介はひたすらに香織に印を刻み付けていく。香織は昇りつめ、朦朧とした意識の中で、

白い温かな優しい温もりに包まれた。


やがて二人は一つに繋がり、香織は真っ白い意識の中から少しずつ戻り始めた。

祐介の額からは大量の汗が流れ落ち、その汗が香織の体を妖艶に輝かせていた。


どれだけの時間、二人は交わっていたのだろうか、祐介が突然香織の耳元に頭を落とす。


「香織...愛してる...我慢...出来ない...」

香織は再び打たれたかのように体を反らし、白い意識の方に引きずり込まれそうになる。


「ユウ!...そのまま...」

「香織!! ああ... 香織ぃ!!」

「ユウ!来てっ!!!」


祐介の体が突然止まる。


「香織...かおり...あいしてる...」

「ユウ...愛してるよ...」

香織は祐介の全てを受け止めると、汗をかいてまるでシャワーからそのまま上がってきたかのような祐介の頭を二つの膨らみの

間に導く。祐介は脱力し、為すがままにその導きに従い柔らかい膨らみに顔をうずめる。


祐介は自身を香織の中に埋めたまま意識を失い、香織もまた白く包まれた意識の中、祐介の温もりを感じながらそれに包まれるように眠りについた。



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