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無法地帯キンダーガーデン  作者: &むう
4/4

第四話 大女優への道

久しぶりの更新です

 彼女のパンツには何やら赤い模様が点々とついていた。


「い、いちごパンツだ!!」


 誰か声に出す。よくみるとその赤の点には緑色の葉っぱがついているのだ。


 騒然とする園児たち。あの有名な、いちごパンツとは…、最早決まったかと口々に言う。しかし、


「たかが、いちごパンツでこのパンチィマンッが敗れるかあああ!!」


「な、何!?」


 絞め上げる太ももの内側にパンチィマンッの右手が入っていた。

 ありさの三角絞めは完全には決まってなかったのだ。パンチィマンッは右手で足をこじ開けようとする。


「ぬぅううう!!!いちごパンツなどおおお!!」


 腕力で三角絞めから脱出しそうになるパンチィマンッ。だがありさは叫ぶ。


「バカが!よく見とけっていったでしょ!」


「…!」


 パンチィマンッは下を向いてありさのパンツを見てみた。


「…、な、な、なんじゃこりゃああああああああ!!!これはいちごなんかじゃねえッッ!!」


 パンチィマンッは大地が震えんかの勢いで驚愕した。


「そう、これはいちごパンツなんかじゃない…。


 にんじんパンツなのだ!!」


 ドーンという衝撃が走る。あまりの事実にパンチィマンッと園児たちは泡をふき始めた。よく似ているが、ありさのパンツの模様はいちごではなく、にんじんだったのだ!


「こ、こんなハイレベルなパンチィを履いているとは…。ぐばあっ!」


「あんたの負けよ。死ねっ」


 ありさはパンチィマンッの右手を押し返し、ついにフィニッシュ・ホールドを決めた。


 自信を喪失し、強靭な太ももに頸動脈を挟まれてしまったパンチィマンッは、ぎゅぼぼと情けない声を出して失神してしまった。ギャラリーはにんじんに驚いたあまり、歓声を上げない。


「手強い相手だった…。この技を使うことになるなんて。

 残念だけど今日から私のあだ名は『にんじんパンツ』で決定ね。」


「成る程、なかなか良いパンツだ。」


「え!?」


 そこにはいつの間にか修が立っていた。


「な、な、何言ってるの修くん。」


 殺伐とした空気に緊張するどころか余裕すら感じさせる修。


 何故彼がここに、何故死闘の果てパンツ丸出しになった私のすぐ横に立っているのか。


 ありさは混乱しながらも足をほどき、立ち上がってスカートを押さえた。クールに立ちはだかる修の前では、熱い闘志も、にんじんパンティーも、恥ずかしかった。修は笑っている。


 パンチィマンッは、どさりと地面に落ちた。しかしすぐにピクピクと動きだし、修を見上げた。


「き、貴様は!なんの用だ!」


 修は笑顔を潜め、突然鬼のような形相になった。


「君のような下品なパンチを打つ人間に、メイトマンパンツは相応しくない!!」


 そう叫ぶと修はパンチィマンッの足をひっつかみ、パンツを無理やり脱がせて自分の頭にかぶった。


「な、何しやがる!俺のパンチィを返せ!」


 パンチィマンッは修に掴みかかった。


「雑魚は大人しく退場するべきだ!」


「!」


 その瞬間パンチィマンッは、ほとんど声も上げずに3メートルほど吹っ飛んだ。修はいつの間にか、左手を振り上げていた。


「な、何今の…。ボクシング…?」


「次は君の番だよ。ちょっと痛いけど我慢してね。」


「…わ…私は負けないぞ!!」


 ますます混乱するありさだったが、戦士の勘で危険を感じ、手足を前に出して構えた。


 修は笑っていたが両手を上げ、ゆっくり、ゆっくり、確かめるように構える。


(来るっ!)


 ありさが彼の一瞬の動きを捉えて、避けようと足をわずかに動かした。


 さっ、という音―――


「あ…」


 だが、その時にはもう修の右フックがありさの肝臓にめり込んでいたのだ。ありさは目を白くしてその場に倒れこんだ。



*******************************************



「どうしていつも1人で遊んでいるの?」


 小さな男の子に話しかける長い髪の女の人

 薄暗い部屋、机、積み木、熊のぬいぐるみ、たくさんの椅子


 その人は大きなエプロンしている。保母さんだろうか。


「1人じゃないよ。メイトマンたちがいるよ。ほら。」


 男の子は遊んでいた小さな人形を二つ持ち上げ、女の人に見せた。


「あ〜。ダメよ、幼稚園におもちゃ持ってきちゃ。

これは先生が預かっておくね。」


「あ…。」


 女の人は彼の持っていた2つの人形だけでなく、床に置いていた4つの人形も取り上げてしまった。


 先生が去っても、男の子は俯いて座っていた。男の子の顔は膝の中に隠れていたが、彼の顔が涙に濡れている様子が見えた。




「その人形は私があげたんです。」


 眼鏡をかけた大人の男の人が先生に話しかけた。彼も大きなピンクのエプロンをしている。


――男の幼稚園の先生?


 さくら幼稚園では男の先生は園長と保健医だけだ。


「なんでそんなことを!あの子がますます他の子と遊べなくなってしまいます!」


 女の先生は過剰と思えるほどの剣幕で怒った。


「寂しそうだったから…。人形と一緒に遊ぶのも楽しいですよ。」


「子供たちを貴方みたいなキモオタにしないでください!人は他人とコミュニケーションできるようにならなければいけないんです!」



*******************************************


「…はっ」


 ありさは目を覚ました。そこは暗い部屋。見たことがある場所。そこの壁に自分はもたれかかって座っていた。


(倉庫の中だ…。)


 部屋の半分以上は暗くて見えなかったが、運動会で使った紅白の大玉が見えたのだ。

そして橙色の光が自分を照らしているのに気付いた。


「よおおおおっこそッッ!!

 正晴スタジオへッッ!!」


「な、なんなの!?」


 正晴が懐中電灯を持って、光を自分の顔に当てた。マジックで「アホ」と書かれた顔が闇に浮かぶ。


「よろこべありさ。お前を俺がアカデミー賞で主演女優賞を取れるほどのグレートな女優に

してやるぜ!」


 彼の隣には先ほどボディプレスで潰したはずのおかっぱ野郎が家庭用ビデオカメラを持って立っていた。本来なら病院行き確実のはずだが、彼は絆創膏

一枚で済んでいた。なんという頑丈さ。


 ありさの身体に寒気が走った。胸と腹に手を当てて見る。まだ脱がされていない。


(逃げなくちゃ…。)


「無駄だよ。」


「…え」


 立ち上がろうとし、ありさが身体を捻って床に手をつくと、修が行く手を阻んでいた。


「修くん…、どうして…。」


 修はいやらしく微笑する。


(で、でも逃げないとAV出演じゃん…!)


 先ほど一瞬で破れた修に向かって、ありさは挑まんと掴みかかりにいった。


「やああああっ!」


――――――


 ありさは床に座っていた。


「くくく、何やっているんだお前」


 正晴は笑う。修はボクシングスタイルで構えている。おかっぱ野郎はその様子を真剣にビデオカメラで撮していた。


「容量の無駄だろうが!!」


「べふっ!?」


 ロリロリビデオを撮って儲けたい正晴としてはバトルはどうでも良いのだろう。おかっぱは哀れにも彼の蹴りを顔面に食らい、美しいブリッジを描いて脳天を床にぶつけてしまった。


(…え、何今の、殴られた?)


 先程のありさは修の胴に組み付こうとした瞬間、腰が抜けたようにへたれてしまったのだ。


「ぬうっ!」


 立ち上がってもう一度掴みかかりにいく。

修は悠然と構えた。


「ひゃっ、」


 ありさは眼前に迫る拳を見て声を上げるありさ。

パンチを受けて仰け反った…、のだとありさは思っていた。


「うひ、うひひ、うひょひょー あいつ殴られてもいないのに 一人で踊っていやがる!」


「何ですって!」


 ありさはようやく気づいた。自分は拳の幻を見ていたのだと。


 今度は惑わされぬと構えなおすありさ。だがその瞬間ありさは後ろに吹き飛んでしまった。


「痛…、」


 気を抜いたら、今度は本当に右ストレートを食らってしまった。ありさは頬を押さえてそう思った。


「うひょおー! 一人演技でそんなに上手くぶっ飛ぶとは大したもんだ! こりゃあ、アカデミー賞間違いなしだな!

 さあ!脱げ!」


 ありさは正晴の言葉に動揺した。頬は確かに痛い…と思う。


「う、嘘…。あんたには速くて 見えなかったんじゃ…。」


「いや、僕は打ってない。」


 愕然とするありさ。修はただ構えているだけだったのだ。


(いや……)


 修の背後に巨大な虎の幻が見えてきた。ありさは徐々に震え始めた。


(…、勝てない…。 もうだめなの…!?)


 どうして自分は修に触れることなく倒れされてしまうか?


 魔術?闘気?精神力?

それともスタンド?


 その原因に悩めば悩むほど、迫りくる凄まじい恐怖修の圧倒的な力、どうしようもない絶望感がありさを壁際に追いやった。


 尻をついたまま、壁まで引き下がったありさを見て、正晴は叫ぶ。


「ではそろそろ紹介しよう! 俺の新作映画、主演男優を!」


「な、なんですって!」


 正晴が倉庫の奥の闇に左手と懐中電灯を向ける。そこに立っていたのは、


「ッッ!!? に、にゃ、にゃふばっ!」


 ありさは驚きの余り謎の悲鳴を上げてのけ反り、背後の壁に頭をぶつけてしまった。


「ブふふ、身体検査の時以来だ ね、にんじんパンツのありさ ちゃん。」


 そこに現れたのは、素っ裸になって醜い中年太り三段腹と○○○を露呈したさくら幼稚園の保健医だったのだ。


 彼が現れたことに驚いたのかそのヘドロのような汚ならしい三段腹に驚いたのか

それとも初めて見た戦闘体型の大人のソレ(5cm)に驚いたのかは不明だが、とにかくありさは可哀想に目を回して気絶してしまった。



  *


「ふわっ!ふあっ!ふあっ!」


 ありさが大変なことになっている時、生徒会長である日岳美幸は悠長に教室でスクワット、腕立て、腹筋、ダンベルなどトレーニングに勤しんでいた。


 美幸は両手のダンベルを下ろすと、自分のモリモリ膨れ上がってピクピクしている筋肉を見つめ、満足そうな笑顔を見せる。


 異常肉体園児を見せつけられた周りの園児はひきつった笑顔をしていた。


「うん…! 私の筋肉は今日も快調だな! 会長の筋肉は快調なんて…」


「大変だ会長!」


 その時突然1人の男の子が教室に転がりこんできた。彼は4メートルほど転がって美幸の足下にまでたどり着いた


「どうしたの?」


「ありさが修にやられて、倉庫の中に閉じ込められちゃった んだよ!」


「なんだって!?」


 美幸は驚愕して男の子に詰め寄る。


「修が何故そんなことを…!」


「倉庫の中の正晴がAVとかアカデミー賞とか言ってたけど…。」


「…まさか金目当てに正晴と組んだのか…。

 ただ者ではないと思ったけど。」


 美幸は彼が相当の使い手であることは見抜いていたが、その心の邪悪さまでは見抜き切れなかったのだ。


「とにかく早く来てよ会長!」


 男の子は叫ぶ。


「よし分かった!」


 そういうと美幸は大きな牛乳瓶を取りだし、プロテインのパウダーを入れて、シャカシャカ振り始めた。


「な、何してんの会長!?」


「トレーニング後だからプロテインを摂取しないといけないの。」


「じゅばあああ!! そんなことしてる場合じゃねえだろうがあああ!!」


「何言ってんの。親が死んでもプロテインって言うでしょ?」


「言わねーよ!」




「これが約束の金だ。」


 保健医は正晴に札束を渡した。10万円ぐらいか?


「こんだけ?」


「君たちは悪いことをしても、ごめんなさいで済むかも知れないが、私はお巡りさんにお世話になってしまうのだよ。リスクが大きいのだ。」


「心配しなくても倉庫の中に誰も入れなきゃ証拠はねえし、ことが済めばこいつをばらして埋めれば良いだけよ。」


「しょ、それはもったいない! ありさちゃんは私のペットになって貰う!」


「それで良いならいいけどよ。何しろ俺達は幼稚園児だからどんなことしても「ごめんなさい」と「仲直りの握手」で許されるもんな! これだから園児は辞められねえ! うはははは」


 不気味に笑いながら沢山の懐中電灯を並べ始めた正晴の横で、保健医は準備体操をしていた。おかっぱはカメラを回し始める。ありさはまだ目を回して倒れている。修はありさたちに興味を示さず、ただ闇の中の扉を見つめていた。


「それでは私は早速ありさちゃんのにんじんパンツを拝むことにする!!」


 保健医は準備体操の前後屈を終えて、ぶっ倒れているありさのスカートの中へダイブせんと両手を挙げて走り始めた。

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