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第四十話 かさぶた
女の子だと経験があるかもしれない。
髪を結ぶのに使うゴムにプラスチックの丸い硬いボンボンがついているものが――何かに拍子でぶつかると頭に傷ができてかさぶたとなるのだ。
そのかさぶたは当たり前だけど、かいては駄目だし、傷つけてもいけない。
治りが遅くなるし、傷跡が残ってしまうからだ。
そんなあたりまえのことに気づかずにいるやつがいる。
私がそいつのかさぶたえぐってやり、その固いボンボンで傷をつける。
なのにそいつは笑顔を浮かべる。
やめろやめろ私をそんな眼でみるんじゃない。
おまえの世界で私の世界を穢すな。
私は望んでここにいるのだ。
ただただ、滅びを望む。
ああ、甘美な滅びをよこせ。