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第二十三話 帝都散策(ミレットの場合)


<帝都・もっとも人通りが多い――目抜めぬき通り)>


「…………」と無言でほほを膨らませて不機嫌な黒髪ロングかつ黒眼で黒いマントを羽織はおって水着のような格好をしている少女――エクセリアはくすんだ茶髪のショートポニーの神官服の少女をにらんでいた。

 人間形態のエクセリアは最初の頃は、人間の平民のような格好をしていたが、どういう心境の変化か――最初着ていた服装を最近、好んで着るようになっていた。


 神官服の少女はそんなことに気づかずに「うわー、すごいすごい!! これも買っちゃおうかなー」と両手にたくさんの水飴みずあめやら駄菓子やらを大量に抱え込んでいる。


(「ちょっと、お小遣いを多く渡しすぎてしまったのかもしれない」と悔やむ私は頭巾で銀髪を隠し、お馴染なじみの毛皮の防具を身に付け、元のミレットの身体でお天道様てんとうさまもとを過ごしている。

 ちなみに、カインのときも同じ服装である。また戦闘能力も特に変わらない。



 神官服の少女はレティではなく、マチルダである。お金に余裕があるので少し多く持たせたら、食べ物ばかり買いあさりはじめたのだ。


(「これはレティの明日の体重が楽しみね」と人事に思いながら、私もそれなりに帝都の町並みを楽しんでいた。


 帝都は帝国の首都だけあって、帝国の中で一番人口が多い。

 碁盤ごばんの目状に町並みは整理されておらず、道は入り組んでおり、二階建ての建物なんか道に突出とっしゅつしているものさえある。

 ほぼ道は石畳で舗装されており、頻繁ひんぱんに馬車が行き来している。人間は邪魔にならないように通りの端と端を歩いている。

 道路交通法みたいなのがないので、馬車は我が物顔である。


(「貴族が乗っていることも多いし、平民が貴族に難癖を付けられたら、一生咎人とがびととしての十字架を背負う羽目になりかねないというのもあるわね」


 不機嫌そうにしていたセリアが興味深そうに八歳くらいだろう子供の女の子二人組が手をつなぎながら、ぶんぶん手を大きく振りつつ、じゃれつきながら歩くのをみている。


 そして――


「…………」ちらっちらっと私の方を向いて同じことをしたいようである。


「セリア……手を繋ぎましょうか?」と私の虚言癖が久しぶりに発動した……。


(「えー、なんだか子供っぽいわね」と思いながらも出てしまった言葉通りに演じるのが私のポリシー……なので。


「はい!!」と元気よく私と手を繋いで大きく腕を振り回すセリアに私も負けず劣らずに振り回す!


――まるで大きな波がうなっている様である。


「ああー!! エクセリアお姉ちゃんずるいー! わたしもやりたいですー! って、今は無理ですー」と両手に抱えた荷物に絶望するマチルダ。


 あまり表情が変わらないセリアだが、若干じゃっかん得意そうな雰囲気をただよわせている。


(「ああ、平和ね」


 破滅願望はあるが別に平々凡々(へいへいぼんぼん)な物語も特に嫌いではない。

 まあ、毎回毎回そんな起伏がなければ――飽きるかもしれないけど。







 この後、神殿で二次転職をし、私は『騎士』の職業にいた。


(「まだ、剣士のスキルで覚えてないのがあったけど、少しでも勝つ確率を上げるために仕方ないか……」


 こういう思いっきりの良い選択肢をするのは正直気持ちがいいものである。


 博打は打たねば、結果はついてこない……どう転ぶかは見てのお楽しみってね。


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