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第十二話 七つの大罪


「う、うん?」とまぶたに当たる光に反応して目をしばたたかせてから、私は目を開ける。


「朝か……」


 寝る直前と同じカーテンから漏れる朝日の光に……”まだ少ししか時間が経ってない”というボケはしない。


(「まあ、小説を長期休暇中に休まず読んでいれば、丸一日寝てしまうなんてざらにあったしね」



「もう食べられないよー。むにゃむにゃ」


「うぅ……、これ以上は……」



 ここは宿屋の自室――そして寝たままで首を横に向けると、よだれを垂らしながら私の奴隷レティシアと二つの大きなお餅に顔を挟まれていき苦しそうにしている下僕エクセリアは隣のベットで抱き合いながら寝ている。


(「人間と魔族は相容(あいいれなくて面倒になる恐れがあったけど、そんなこと心配する必要はなさそうね」


 余計なことに気を使わなくていいのは助かる。まあ、仲が悪ければ、それはそれで利用できたのだが……。


 まだ眠気がなくならない私は頭の下にあった枕を胸に抱きしめ、今後のことを考えることにした。


(「魔王の娘をこの時点で確保できるとは思っていなかった……エミリアの様子を見に行こうと思っていたのだけど、七つの大罪が手札にあるなら――勇者の元に今行く方が面白いかもしれない」



 現在、ファンタジー・レクイエムの主人公であるカインは現勇者ザンガ・ゼッターと稽古をしているはずだ。


 現勇者ザンガ・ゼッターは大賢者が魔王封印の術をする間に魔王を単独でおさえた人物である。勇者の回想シーンでは子供の頃に稽古をつけ、老衰で死ぬ間際に己の最強技を伝授した。要は技をみせてくたばったやつだ。ちなみにその技を主人公がモノにするのは魔王戦直前である。



「……決めた。元勇者には勇者と私のえにしを結ぶいしずえになってもらおう」


 そのためにも、新たに得た力――七つの大罪の召喚獣についておさらいする必要がある。ゲームの中で一番最後に召喚されたものが一番強かった。まあ、ゲーム的にいったら当たり前だが……。


 ゲームでは七つの大罪の召喚獣はテロップで『第〜の試練』とされていた。数字が多くなるにつれて強くなることを踏まえて確認しよう。



 第一の試練 暴食→豚の化け物。能力は無限に食べれること。


 第二の試練 怠惰→バクの化け物。能力は相手に夢をみせ、堕落させる。ゲーム上では夢の中で戦うことになった。


 第三の試練 嫉妬→大目玉の化け物。能力は魔力を飛ばしてあらゆる場所を覗くことができる。この召喚獣は弱い……ゲームではこの召喚獣の居場所の特定が問題だった。


 第四の試練 強欲→いわゆるミミックの化け物。能力はあらゆる物を金銀財宝に代える能力。この能力は防御魔法など防ぐことが出来る他、魔法の抵抗値が高いものによっては時間がかかる。


 第五の試練 色欲→実体がなく、目の前の生き物の理想の異性になることが可能。能力は相手を惚れさせる。強い精神力があれば乗り越えられる。ゲーム上では最適な選択肢を選ばなければ死亡エンドだった。


 第六の試練 憤怒→身体が炎で構成されている化け物。能力はその炎を自由に操る。


 第七の試練 傲慢→大きな黒曜石のような大きな鎧に大剣を持った化け物。鎧の中は空洞くうどうである。能力は堅実な剣技だろう。特にこれといったことはないが、鎧は物理攻撃・魔法攻撃両方に強く。倒すのは忍耐力が必要だった。要は回復アイテムが大量にないと攻略できないということ。



(「傲慢の召喚獣を合魔の指輪のストックにいれるのは確定だとして……残り一枠いや二枠か」


 残念だけど、デススコーピオンにはここいらで退場してもらうことにしよう。大罪よりも弱いまたは有用な能力がないの確定だ。所詮は雑魚モンスターに過ぎなかった。デススコーピオンの末路はスタッフが<経験値として>おいしく頂きましたというあれだ。生存権は保障するはずだったが……まあ、せめて大罪と合魔化した私と戦わせて、とどめはエクセリアにさせよう。


(「他のストックは道中に考えてもいいか……」



 階下かいかから漏れる朝食の匂いに誘われ、私は着替えて朝食を食べることにするのだった。


 部屋の二人? 寝言でご飯を食べてるようだったので放置した。



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