表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

第2話「迷宮区・第1層、第2層」

 地下への道のりは、何の出来事もなく進む事ができた。

 階段を見つけ、地下へと降りていく。そこはすでに第2層だ。1層と差はないが、迷宮区では、1層降りるごとに敵の強さが変わるので油断はできない。

 目指すは4層──俺が良く利用する狩り場であり、最も深く潜れる階層である。

 3層の階段を目指して、角を曲がった所で、そいつが目に入った。


「ちっ……ネズミが居やがる……」


 迷宮区の掃除屋と言われる、大ネズミ。元、冒険者らしい人間の肉を漁っていた。原型を留めないそれに、吐き気が込み上げてくるが、何とか飲み込む。低層とはいえ、珍しい事ではない。気を抜けば、自分もああなる。

 大ネズミは迷宮区で死んだ人間や、魔物の肉を漁る低級の魔物だが、侮っていい相手ではない。ネズミは病原菌などを運んでくる媒介動物のため、毒を持った魔物並に注意を払う必要がある。そして何より、どんな敵であろうと、戦えばそれだけ迷宮に居られる時間が短くなる。


「気づかれずにやり過ごせるならそれが一番だが……」


 来た角に隠れ、音を立てないように、背負子から剣を一つ取り出す。3層まではもう少し。このまま3層に行けるのが理想だが、遠回りすれば、さらに魔物と遭遇する確率があがる。ここは遠回りせずに、最悪ここで一戦交え、素早く下に行く。そう決める。


「チチ、キキィィィ!」


 そう覚悟を決めた瞬間に、大ネズミがこちらに気付き、声をあげる。気づかれない、なんてのは甘い考えだった。様子見などせず、すぐに攻撃すれば、声を上げられる事もなかったかもしれない。

 俺は自分の選択の甘さに舌打ちしながら、素早く大ネズミに駆け寄る。大ネズミは、大口を開け、鋭く生えそろう牙で俺に向かって襲い掛かる。


「しぃ──!」


 俺は、その大口に向かって、引きずるように下段に構えた剣を真下から頂点に向かって一気に振り上げた。大気を削るような異音と、肉や骨が纏めて立たれる鈍い音が響き、大ネズミが頭頂部から、尻尾の先まで二つに裂ける。

 手に持つ剣に、期待するように目を向ければ、剣はちょうど、ぼろぼろと土くれのように崩れていくところだった。


「くそっ。やっぱ一振りで壊れるか……」


 忌々しく呟く。これが、剣を幾つも背負っていく原因だった。一太刀で壊れる剣。全力で振るう以外、師から教わらなかったため、これ以外能が無い。だというのに、剣自体が耐えてくれないため、振りたくても振る事ができない。加減すれば……と思ったが、それも無駄だった。長いこと習慣、というより身体に刻み付けるように覚えさせてしまったため、剣を振るうモーションに入るとほとんど無意識に全力で振るってしまう。さっきだって、なるべく加減しようとしたのだ。


「やっぱり、魔物には見つからないようにするしかないな……」


 俺は剣の柄を放りすて、剣一本分軽くなってしまった背負子を背負いながら、3層を目指した。


おおぅ……短く更新するとは言いましたが、全然話が進まない……

もう少しペースをあげられるように努力します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ