夢
初めまして。レタスといいます。初心者ですが暖かい目で見守っていただけると嬉しいです。グロい系の話になっています。
今日はいつもと少し違う日になった。
大したことはない。
親と喧嘩をしているというだけだ。
それでも、いつもと違う日になったのは変わりない。
最近あまり変化のない日々を送ってきたからこういう小さな変化が珍しい。
しかも一週間もずっとだ。
これは今までにした喧嘩の中で一番期間が長い気がする。
でも特に原因が重大なわけでもない。むしろ下らないくらいだ。
離婚がどうとかいう理由でもないし、金のことでもない。
ただ予約していた番組を消されたというだけ。
そんな小さな理由でも、今まで楽しみにしていた物を消されるというのは苛立つもので、一週間前からほとんど口も利かずにいる。
もう許してはいるんだけど、こっちから謝るのもなんだかやりづらくて、今もあまり口を利いていない。
これは第三者が介入しないと仲直りが出来ないのだと思う。
親は親で頑固というか変なところで私も似ているから、恐らく親のほうも同じような状況に陥っているのだと思う。
聞くわけにもいかないからこれは推測でしかないけど。
考えたら考えるほど可能性が浮かび上がってきて収拾がつかなくなってきたから、寝ることにする。
こういう時は寝ると整理がつくものだ。
というかこのまま考えていると睡眠不足になりそうで怖いから寝ることにする。
まあ身も蓋もなく言ってしまえば現実逃避ということになるのだろう。
現実逃避で何が悪い!現実逃避万歳!ということで布団に潜り込む。
目を閉じると感じたことのないほどの眠気が襲ってきて、今日はしっかり寝たはずなのにおかしいと思ったが、あまり眠気に思考が回らなくなったので大人しく寝る。
おやすみなさい、と小さく呟く事も忘れない。
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気が付いたら学校にいた。
なぜここにいるのか、とか、私は寝たはずなのに、とかそんな疑問は認識する前にどこかへ行ってしまう。
何とも言えない感覚を覚えながらぼうっとしていると、茜が話しかけてきた。
「愛ちゃん、体育館行かないと。もうすぐ朝会始まっちゃうよ?」
いつも通りの会話のはず。
なのに、少し、恐怖を感じた。
ホラーゲームに似たような場面があったから感じただけだろうと思って、茜にうん、と答えた。
茜と後ろに並んでいる時、ふと窓の外を見るとありえない事が起こっていた。
私と茜が喋っていたのだ。
一回おかしいと思ったらありえない所は次々と出てくるもので、さっき感じた恐怖よりももっと強いものに襲われる。
なんで担任が校長先生なの。
なんで死んだはずの人がいるの。
なんで窓から見た風景が夜になっているの。
なんで、なんで、なんで、なんで、なんでなんでなんで!分からない、理解ができない、ありえない、怖い、気持ちが悪い、逃げたい、怖い、離れたい、ここはどこ、いつもと違う、怖い、茜はどこ、この人は誰、怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
心が恐怖という感情で塗りつぶされる。
ぐるぐるとただ怖いという文字が、感情が、頭の中を回り続ける。
帰りたいという願望と、帰れないという確信が混じり合う。
足掻く自分と諦める自分がいる。
親と交わした言葉なんてもう覚えてない。
それが当たり前のこと過ぎて大切じゃないと思っていて、変わらずにやってくると思い込んでいて。
後悔と、恐怖と、悲しみと、願望と、諦めと、いろんな感情が濃い恐怖の中でぐちゃぐちゃになる。
「愛ちゃんどうしたの?だいじょうぶ?」
茜の気遣う声さえも恐怖の対象にしかならない。
笑顔も、声も、姿も、何もかもが怖い。
その笑顔はまるで獲物を狩る猛獣のように写る。
声は私を恐怖に追い込むための音にしか聞こえない。
姿は殺人鬼のよう禍々しい。
ひゅう、息を飲み込む。
瞬間茜の顔が、声が、醜く変わる。
いや、茜だけじゃない。
教室も、クラスメイトも、なにもかも醜く、血まみれな、肉の塊に代わる。
茜だった肉が耳障りな音を出しながら腕をつかむ。
肉の感触を感じた時、意識がテレビの電源を切ったみたいに途切れた。
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