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ギレイの旅 番外編  作者: 千夜
いち
32/52

シャーロ(白)の身分証作成

「白の身分証作るまで、とりあえずこれ持ってなよ。僕の古いやつだけど、ないよりはいいはずだよ。」

何かあった時のためにね、と儀礼は笑う。

身分証を持っていない、と言った白が渡されたのは、管理局のライセンス。


 『管理局ライセンス ランクB ギレイ・マドイ』


写真は入っているが、瞳の色以外が本当にそっくりで、別人だと気付かれないのでは、と白は驚く。


そして、更新済みのマークが裏側にあった。


と言うことは、ギレイ君はAランクだろうか? と白は考える。

この年齢でAランクの管理局ライセンスを持つのは難しい。

ギレイ君は頭のいい人なのかもしれない、と白は思った。


「もし誰かに、ギレイ・マドイさんですかって、聞かれたら、人違いですって言っとけばいいから。」

にっこりと笑って儀礼は言う。


その身分証を渡しておきながら、なぜ人違いと答えさせるのか、白には分からない。

ギレイ・マドイという人物になりきって、身分を証明しろと言う事ではないのだろうか?

白は首を傾げるしかない。


しかしその後、町の中で、儀礼本人が、研究者風の通行人に、「マドイ様ですか?」と聞かれて「ちがいます」と爽やかな笑顔で答えていた。


その理由はさらに白にはわからない。


数日後、儀礼と一緒に管理局でライセンスを作ってもらいに来た白。

誰でも取れる冒険者ライセンスと違い、管理局ライセンスを取るにはどこに所属するかなど詳しい手続きが必要で、身分の確認なども結構しっかりとされる。

つまり、冒険者ライセンスよりも取るのが難しい。

その代わりに、身分証明としては効果が高い。

買い物で、手持ちのお金が足りなかった時などに見せると、後から管理局を通しての請求にしてくれることもある。

写真がついていることも、大きいのかもしれない。


「名前はどうする?」

受付に立つ儀礼に聞かれて、シャーロは慌てて答える。

「シャーロッ……シャーロ。」

「名前はシャーロ。氏はどうする?」

書類に何かを書きながら、また儀礼が白に聞く。

「じゃぁ、ランデ。」

一瞬悩んで白は答えた。

「オッケー、シャーロ・ランデね。」

軽い調子で儀礼は言う。


それだけで、身分証を作ってもらった。

所属と言う欄には研究施設や地名ではなくギレイ・マドイという名。

難しいはずの管理局で、随分と簡単に白はライセンスを作ってもらえた。

儀礼たちにとって白は謎ですが、白にとっても儀礼は謎の人です。

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