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ギレイの旅 番外編  作者: 千夜
いち
30/52

待つしかない

砂地で、三人組でサボリをしたその夜という設定です。

 その夜、儀礼は一人で廃墟の砂地に立っていた。

昼間は、作業をサボっていたのがばれて、結局三人共、クリームや赤い髪のムーウェンに怒られた。

儀礼は手伝う義務などなかったのだが、なぜか、まとめて怒られた。

現在不満爆発中だ。

ざっくざっくと儀礼は砂地を掘る。

「何で僕が怒られるんだよ。クリーム怖いし。ムーウェンさん、もっと怖いし。あれ、絶対クリームがバラしたんだ。ヒガさんの中に爆弾ないって。知らなきゃ僕、怒られなかったのに。」

大きく頬を膨らませて、儀礼は今度は掘った穴を埋める。


 そして、また別の場所に儀礼は穴を掘り始める。

「だいたいさ、ちゃんと謝ったのに、何で僕、ずっと見張られなきゃいけないんだよ。ヒガさんだけでいいじゃん。」

ざっくざっくと儀礼は文句を言いながら砂を掘る。

怒られた後、夕方になるまで、儀礼は町の砂を取り除く手伝いをさせられた。

クリームとムーウェンの監視のもと、ヒガとクガイと共に、どういうわけか、「見える範囲にいろ」と儀礼は仰せつかったのだ。

別に、町の人の手伝いをするのが嫌な訳ではない。

見張られながら無理やりやっているような気分になるのが、儀礼は嫌だったのだ。

ふぅ、と息を吐き、儀礼は浮いてもいない汗を拭った。


 そしてまた、儀礼は今掘った穴を埋め始める。満タンのバッテリーを中に入れて。

「なんかあったな、こんな昔話。」

よいしょ、と儀礼はスコップの裏で砂を固める。

バッテリーには、砂地に隠れるように張り巡らせたワイヤーを繋げている。

「話の中じゃ、怪しげな罠はなかったけどね。」

ふっふっふ、と儀礼は誰もいない砂地で、わざとらしい不気味な笑い声を上げる。


 誰もいない砂地。

本当は、もっと人里離れた所の方がよかった。

けれど、愛華の射程距離から外れるのは不安で、獅子とヒガが真剣に戦っても、町までは被害が行かなかった。

なら、ここは儀礼が多少無茶をしても、大丈夫な場所ではないかと思われた。


 クガイの知っていた情報の中で、ユートラスの手配書を手に入れ、刺客になる可能性のある者たちの数は30人程。

そして、それらの人物の大体の居場所までもがわかり、その情報を儀礼はアナザーへと送りつけた。

それで、穴兎はさらに忙しくなったことだろう。儀礼に構っている暇などないはずだった。


 儀礼は、手元の板のようなマップを確認する。

周囲は静かで、儀礼がここに来た時からずっと、人の気配は感じていない。

そのマップは儀礼の現在地と、仕掛けた発信機の位置などが分かる、モニター状の機械。

「……。」

言いたいことはある。けれど、儀礼はあえて黙った。

そのマップに表示された複数の光。

広い間隔を開け、儀礼を取り囲むように潜む――仲間の信号。


(うさぎの目がないってのに、どうしてこいつらが動いてるんだよ)

確認できるのは、クリームたち四人と、ヒガ、ついでにヒガを監視しているらしい、ムーウェン。

ざっくざっくと儀礼は町に向かって歩き出すが、マップの光は場所を変えない。

(焦りすぎたか。)

はぁぁ、と儀礼は大きく深呼吸をする。


 とりあえず、儀礼は罠を仕掛け終えた。

あとは、時間を変えればいいか、と儀礼は泊まる予定の管理局に向かって歩き出す。

本当は、アナザーへと情報を送った直後、昼間のうちに仕掛けておきたかったのだが、クリームの監視に合い、仕掛けることができなかったのだ。

(この仕掛けは、ただのいたずらってことにして、場所を移す手もあるか。)

口に指を当て、儀礼は歩きながら考える。

儀礼の最大の戦力は、現状では愛華に積んだミサイルだ。

穴兎に、自分からは手を出さないと言ったからには、儀礼はわざと情報を流すこともできず、相手が来るのを待つしかないのだ。

待つしかないので、手詰まりです。

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