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ギレイの旅 番外編  作者: 千夜
いち
19/52

透明人間になったらの あーだ、こーだ

アーデスと儀礼の話が長かったからこっちに持ってきました。

あーだ、こーだの中身はこうなる。


 アーデスの挙げたたくさんの条件を当てはめ、思い浮かぶ物を儀礼は考える。

「でも、それじゃよく言う幽霊って、状態じゃないの? もう人間じゃないよね」

儀礼は口元に拳を当てた。


「幽霊なら魔力が残ってるらしいぞ。だから感知できる者がいる」

笑うようにアーデスが言う。

「そうなんだ、魔力障壁にはどの段階で引っかかるの? 幽霊もかかる?」

「幽霊から離れろ。話は透明人間なんだろ? ああ、でも、自分は他人から見えないと思ってる不可視の人間に、実は丸見えだと言うのは面白そうですねぇ」

くすくすとアーデスが笑い出した。


「不可視じゃね。光粒子透り抜けて欲しいよね。まず、人が物を判断するのに光に頼ってるって時点で不完全さを感じるよ。透明だから何ができるって、海の中にいくらでもそういう生物いるけど、結局食物連鎖の下だよね」

アーデスを真似て、儀礼もくすくすと笑ってみる。自分は透明だと思っている人間をサーモグラフィや音波ホログラフィで観察する。いかにも単純だ。

「人の目に見えないってだけなら空気中にもいますよ、生物」


「でも不可視で不可触状態で、誰にも気付かれない存在って、それ存在してることになるのかな?」

儀礼は腕を組み、顔を俯ける。

「本人に意思があれば存在になるでしょうが、それは同次元にいるものとは言えないかもしれないですね」

言いながら、アーデスは片手間に何かを始めた。フラスコに入った液体をくるくると回している。透明な液体が段々と青く染まっていく。


「次元か、そこまで行くと面倒だよね。なんとか団体とか出てくるし……」

それを目で追いながら儀礼は拳から力を抜き、指だけを口元に当てた。

なんとか団体は本当に面倒だ。いくつもあるし。

「ああ、あの連中。気にしたこともないですけどね。関わらないんで」


 アーデスは余裕の表情を見せ、青い液体を口の閉まる瓶に入れた。

そのままそれを鍵の閉まる戸棚に仕舞う。

「関わらないんだ。ふーん、そういう道もあるんだ。じゃぁ、アーデスは透明人間作るとしたらどうするの?」

「どの程度でいいんですか?」

作業を終え、アーデスが儀礼に向き直る。


「アーデスの言う笑えるやつは?」

「自分を囲んだ障壁の進入光を裏返せば、簡単な目くらましになりますよ」

「今アーデスが作ったの色素の変化だよねぇ」

「でも擬態ではないんでしょう?」

「いっそ反射速度変えたらどうかな?」

「表面だけだと体内はどうなってるんでしょうねぇ……」

「いや、気になるけど、人だと思うよ? そこは……」

…………

「待て、お前らっ!」とコルロのイカズチが光ります。

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