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ギレイの旅 番外編  作者: 千夜
いち
18/52

通路に置かれた怪しげなボタン2

 長い通路の途中に突然ボタンが一つ、ありました。

まるで押してくださいと言わんばかりに。

さて、どうしますか?



§9.儀礼とクリームの場合。


 ボタンの前に立つ儀礼とクリーム。

「トラップの可能性があるな、ちょっと待って」

そう言って、瞬時に解体を始める儀礼。それをじっと見ているクリーム。

流れるような作業の途中でピタリと儀礼の手が止まった。ゆっくりとクリームを振り返る。

「……もしかして、覚えた?」

「同じのならな」

冷や汗をたらす儀礼に、クリームは短く答える。

クリームの特技、トレース。模写。模倣。まったく同じことをする。

飲み込みの速い仲間に儀礼は苦笑する。

しかし、その後の儀礼の思考の転換も速い。


 作業の続きを手早く終わらせ、立ち上がると、儀礼は周囲を見回す。

「他にもないか探してみよう」

きらきらと瞳を輝かせ、儀礼は歩き出す。

「いや、先進もうぜ」

クリームは儀礼の服を掴み、引きずるように先へ進む。

その少年に付き合えば、ろくな目にあわないと、クリームはもう知っていた。


(この二人、イメージが似てるんです。クリームはトレースして、儀礼は先を読む。そのうち、言葉での会話が減りそうだ)




§10.儀礼とワルツの場合。


 ボタンの目の前に立ち、儀礼が手を出す前にワルツはそれを押した。


「何で押すんですか!?」

発動した武器トラップに儀礼は身構える。

大量の槍や矢が壁と言わず天井と言わず、あちこちから突き出し、飛んでくる。

袖の中でワイヤーを延ばし、全てを絡め取れるよう準備をする。

儀礼達の身に届くまで、2秒もないその間に。

だが、儀礼の活躍の場はなかった。


 ワルツは愛用のハンマーを振るう。竜巻のような激しい風圧と共に全ての武器が破壊されていた。

壁と言わず、天井と言わず、その通路ごと。壊れた天井から見事な晴天が覗いていた。

トラップによる被害に悩まない者が居るのだと、儀礼は初めて知った。

破壊されたのが重要な遺跡だったなら――儀礼は何をおいても、ワルツがボタンを押すのを阻止しなければと心に誓った。

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