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チュンチュンチュン……。小鳥が窓の外に来ているのかな。窓からだいぶ光が入ってきている。
「んっ……、もう朝……?」
「うん、朝だよ。おはよう」
「おはよう……、今何時……?」
「そろそろ7時だよ……」
「そっか、じゃあそろそろ起きないと……」
あれ……?
どうして一人暮らしの私の部屋から、返事が返ってくるのだろう……。
私は恐る恐る目を開けた。
眩しい金髪が陽の光に透けて、キラキラと輝き、シャープなフェイスラインと整ったパーツが完璧に配置された、まさに王子様のような人。
そこには、まるで絵画のような仕上がりの王子様が、枕に肘についてこちらを見ていた。
そう、私のベッドに……。
どこを見ても美しい……。どこを見ても……?
私は首から下にも目線を落とす……。
色白の肌は美しく肌理が細かい。鎖骨もしっかりと浮き出ておりなんとも色っぽい。
その下には鍛え抜かれた胸筋と、割れた腹筋まで見える。
「本当に一枚の絵みたい……。まだ、夢の中だったか……」
そう言って私はまた瞳を閉じ、掛け布団をかけ直した。
「また、寝るの? 遅刻する気かな?」
「えっ!?遅刻!?」
私は我に返り、ガバッと起きた。
季節は春。まだ、朝は少し肌寒い。
「うっ、寒い……」
寝間着を着てるのに、随分寒いと思い腕をさする。
さすった腕にあるはずの服の生地がない。
思わず下を見る。
「えっ?ええええ……?」
そこには生まれたままの姿の自分がいた。
「えええええ!?どういうこと!?なんで!?」
「私には良い眺めだよ」
隣の王子様がこちらを向いて微笑んだ。
「きゃぁ!」
私は掛け物で身体を隠し、王子様に背を向けた。
「ははは。隠してももう遅いよ。昨夜全部見ちゃったから……」
私は顔が熱くなり、頭が沸騰するのを感じた。
「どど、どうして秘書官がここに!?」
「覚えてないの?」
「覚えてないです!覚えて……な……い?」
昨日はワインを飲んで、おいしいご飯を食べて、馬車で送っていただいて、部屋の前まで……。
頭の中では逆再生のように、映像が回り始めた。
「あ……あああ……」
あれは夢ではなかった……??あんなはずかしい事が、現実……??
そして腰部分に残る鈍い痛みが、現実味を増していた。
私は顔がさらに熱くなった。
本当にマティアス様と……!?
や、やらかしてしまった!!
「思い出したようだね……」とマティアス様はキラキラしたお顔でにこにこしている。
どうして、こんなに余裕があるんだろう……。
私は恥ずかしすぎて、目も合わせられないというのに。
「と、とにかく、私は仕事に行きますね!」
薄掛けを一枚体に巻き付けて、ベッドから出た。
ガクッ。
私は腰が抜けて、床に座り込んでしまった。
「オリビアさん!? 大丈夫!?」
は……、恥ずかしすぎる!!
マティアス様は私を立たせてくれて、耳元でささやかれた。
「昨日は激しくしすぎてしまったかな……」
まるで甘い蜂蜜のようなその声に、さらに頬が紅潮していくのを感じた。
「だ、大丈夫です‼」
私はそう言って、着るものを持ち浴室に駆け込んだ。
バタン!
勢いよくドアをしめた。
私はドアを背にズルズルとその場にしゃがみ込んだ。
震える手で口を押さえた。
全然大丈夫じゃなかった……。
「どうしよう……」
どこかに隠れたい気持ちで、持ってきた衣類に顔を埋めた。
オリビア28歳! 上司であり、年下の公爵様と一夜を共にしてしまった……!
どうしてこんなことになっちゃったの~!?




