表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

目が覚めたら魚介系とんこつスープの中にいた

掲載日:2025/10/16

 タイトルの通りだった。


 まぁ、でも、説明しないと意味はわかってもらえないだろう。


 私の名前は椎川このみ。

 仕事の拘束時間はとても長いがお給料はとても少ないブラック企業に勤めるOLだ。

 給料日前はいつも小麦粉を食べてしのいでいる。

 毎月の赤字で作った借金は300万円ちょっとある。


 意識を失う前、私は職場にいた。

 残業36時間、終わりの見えない仕事の中で、仕事をしながら夢を見ていた。

 見る夢はとんこつラーメンだった。


「ラーメン……」


 もう3ヶ月以上も口にしていない、大好物のとんこつラーメンを夢に見ながら、家に帰れないため小麦粉で飢えをしのぐこともできず、それでもなんとか保っていた意識が、


 切れた。








 目が覚めたら私は白濁したお風呂の中にいた。

 ぐつぐつと沸騰しているので、いやお風呂じゃないな、これとすぐわかった。


 そしてまた、匂いですぐにわかった。ここがどこなのかが──


「とんこつスープの中だ!」


 私は大喜びでスープを飲もうとした。

 しかし、飲めなかった。

 私には口がなかったのだ。


 いや、正確には、口はあるものの、カラカラに干からびていて、それを動かすことができなかった。


 私は、煮干しだったのだ。

 私は、煮込まれていたのだ、豚の骨さんと一緒に。


 つまりこれは魚介系とんこつスープなのだ!


 好きだ!


 飲みたい!


 ここにコシのある白い中細縮れ麺を入れて、啜りたい!


 ずぞぞぞぞと音を立て、心ゆくまで味わいたい!


 うああああ!


 しかし、私には、口がない!


 それどころか人間ですらない! ただの煮干しだ!


 涙を流すこともできない!




 


 今度産まれてくる時は──


 どうかラーメンを食べられる口がありますように──


 そう願いながら──


 私の意識はとんこつスープに溶けていった。














 ……と、いう夢を見た。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
なるほど、スープの出汁を取るための煮干しですか。 周りが美味しい魚介系とんこつスープであっても、それを飲むどころか自分からエキスが出て行っているのですから、何ともままならないものです。
 理想を抱いて溺死しろ  ──こんな有名な台詞があるみたいですけど、この場合も当てはまるのでしょうか……?(笑)
たとえ 出汁はとられても、せめてスープが飲みたい。゜(゜´ω`゜)゜。 口があることのありがたさよ…… そしてローファンタジーにした勇気…… 全てが素晴らしいですね(もう自分でも何言ってるんだか不…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ