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異世界転移したら、世界を統治していた超AIが俺の頭の中にいた件  作者: 月詠 神路


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第59話 王都審議会―― 公爵を告発する者

(ステラ、証拠は揃った。だが……どう告発するかだ。相手は公爵。正面から訴えても、握り潰される可能性が高い。後ろ盾が欲しいな……)


(マスター、それなら王国騎士団の手形が使えます。王家縁の公爵であっても、王国騎士団は公平です)


(なるほど……それなら、ブリジアント家にも頼んでみるか)


(良い考えです。従魔使いのワグナート家と、王都騎士団を長年排出しているブリジアント家は信頼関係があります。ハルドラン侯爵なら、必ず力になってくれるでしょう)


「バックス、ブリジアント家の力を借りてもいいか」


「ああ、問題ない。昔からロゼッタさんのワグナート家とは旧知の仲だ。父上や兄貴たちも、きっと手助けしてくれるだろう」


「それに、今回は王国騎士団の手形も使う」


 俺が手形を皆に見せると、セリーナたちは目を丸くした。


「……テルトは、本当になんでもありだね」


 準備を整え、俺は王都へ向かった。


 ブリジアント家に到着すると、執事のデビットが柔らかな笑みで迎えてくれる。


「お久しぶりです、テルト様。どうぞ、こちらへ」


 大広間に通されると、王国騎士団副隊長の長男オルディン、次男ダリオス、そして当主――ハルドラン侯爵が待っていた。


「テルトくん、バックスから重要な話は聞いている。君のためなら、できる限りの力を貸そう」


「ありがとうございます、ハルドラン侯爵」


 バックスが改めて皆を紹介し、場が落ち着いたところで、

 俺はワグナート家襲撃から現在に至るまでの経緯をすべて説明した。


 ハルドラン侯爵は黙って聞き終えると、深く腕を組む。


「……なるほど。あの襲撃について、私も腑に落ちぬ点は多かった。調査の筋は通っている。これだけの証拠が揃っていれば、審議にかければカナンベール公爵は有罪だ」


 バックスが一歩前に出る。


「なら、父上。告発しましょう」


「……だが、事は簡単ではない。相手は王家縁の公爵、しかも陛下の兄弟だ」


「それでもです、父上。不正は許されません。ワグナート家の無念を晴らすのは、今を生きる私たちです」


 鋭い眼差しで父を見据えるバックス。


「――ふむ。強くなったな、バックス。そして、良い仲間に恵まれた」


 ハルドラン侯爵はオルディンとダリオスに目を向け、二人は静かに頷いた。


「よし――準備せよ」


 ハルドラン侯爵の告発により、王宮は大混乱に陥った。

 ワグナート家襲撃が偶発ではなく、コカトリスを用いた人為的事件であり、カナンベール公爵の指示によるものだと公にされたのだ。


 王宮は王国騎士団による厳戒態勢へ移行。

 カナンベール公爵は急ぎ王都へ召喚され、オルディン副隊長とダリオスはブリジアント家で待機となった。


 そして――審議会が開かれる。


 王宮最大の審議室。

 グランバール国王の宣言により、会は正式に始まった。


 提出された文書、キグナスの証言、コカトリスの認識票が審議官の前に並べられる。


「審議官クリワーグ。其方のユニークスキル『真実の目』で確認せよ。これらは真実か」


「陛下。これらの証拠に偽りはありません」


 ざわめきが貴族席を走る。


「カナンベールよ。反論はあるか」


 カナンベールは側近と短く言葉を交わし、前へ出た。


「陛下、反論がございます。予算増額は、急遽ワグナート家から厩舎と従魔を引き継いだため。長年の管理はずさんで、不明金も多く存在しておりました」


 合図とともに部下が書類を提示する。


(ステラ、これは嵌めてきたな)


(マスター、書類は欺けますが、証言と物証はスキルで誤魔化せません)


(……だが、ステラの解析なら通用する)


(解析完了。マスターの意識にリンクし、データを転送します)


(なるほど……!)


「ハルドラン侯爵、そしてテルト。反論はあるか」


 俺はハルドラン侯爵と視線を交わし、一歩前に出た。


「ございます。まず、計算そのものに誤りがあります。この費用は不明金ではなく、コカトリスの餌代です」


 場が静まり返る。


「この年は餌となる魔獣が不足し、高額取引が行われました。商用ギルドを照会すれば確認できます。さらに、この支出は急務費として正式に記録されています」


 ステラの解析結果を元に、俺は一つずつ説明を重ねた。


「対して――カナンベール公爵側の収支には、説明不能な多額の支出が存在します」


 貴族たちの表情が変わり始める。

 一方、カナンベール側の余裕は完全に消え失せていた。


「うむ。見事な説明だ、テルト。カナンベール公爵、反論はあるか」


 公爵は俯き、絞り出すように答えた。


「……反論は、ありません」



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