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異世界転移したら、世界を統治していた超AIが俺の頭の中にいた件  作者: 月詠 神路


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第42話 サイクロプスと新たな脅威

 巨腕を斬り裂かれたサイクロプスは、うめき声を上げる。

 だが、その巨大な一つ目が傷口をじっと見つめると――みるみる肉が再生していった。


「くっ……回復持ちかよ」


「グォオオオオ!」


 怒り狂ったサイクロプスは、棍棒を乱暴に振り回す。

 冒険者も魔獣も関係なく、薙ぎ払われ、地面に叩きつけられていく。


「うわっ――!」

「くそっ、仲間を巻き込む気か!」


 白竜の翼のダニエルが前に躍り出て、挑発を放った。


「こっちだ、化け物! 俺が相手になる!」


 同時に、黄金の障壁が展開される。


「みんな、《鉄壁絶守》を張った! 俺がサイクロプスを引き付ける、攻撃に集中しろ!」


 その時、サイクロプスの棍棒が不気味な光を放ち始める。


「ダニエルさん、気を付けて! 《渾身撃》だ!」


 警告にダニエルが両脚を開いて衝撃に備えた瞬間――。


 ドゴォォォォン!


 轟音が響き渡り、障壁が粉々に砕け散った。

 強烈な衝撃波が走り、周囲の冒険者たちが吹き飛ばされる。


「まずいな……」


 咄嗟に詠唱、俺は全力で魔法を放った。


「《ギガ・ファイアボール》!」


 極大の火球が唸りを上げてサイクロプスの顔面を直撃し、爆ぜる。

 爆風で巨体がよろめき、尻餅をついた。


「今だ、態勢を整えろ!」


 ダニエルが俺を見て、深く息を吐いた。


「テルトくん、助かった。障壁を破られた直後にもう一撃来ていたら、全滅していた」


「ダニエルさん、サイクロプスが起き上がります!」


「わかった、《鉄壁絶守》を――」


「待ってください!」


 俺は手を上げて制止する。


「今、同じ防御を張っても、また《渾身撃》が来れば振り出しです。その間に他の魔獣も押し寄せてくる!」


「ではどうする?」


「ダニエルさん、俺を信じてください。《絶対守護陣》を伝授します」


「なっ……! 《絶対守護陣》だと? あれは王国騎士団の中でも限られた者しか使えない戦技だ。冒険者でできる者なんて――」


「今のダニエルさんなら、できます」


 俺の真剣な眼差しに、ダニエルは一瞬だけ迷い、そして力強く頷いた。


「……わかった。信じよう、テルトくん」


 俺はダニエルの両手を取り、闘気と魔素を流し込む。


(ステラ、今だ!)


(マスターとダニエルさんのリンクを確認。ダニエルさんの意識にリンクし、ダウンロードします)


「こ、これは……!」


 ダニエルの表情が驚愕に変わる。


「どうです?」


「なるほど、いけるぞ。――戦技《絶対守護陣》!」


 ダニエルの掛け声と共に、これまでよりも厚い多層障壁が展開される。


 その瞬間、サイクロプスが立ち上がり、棍棒が再び光る。


「グォオオオ!」


 渾身の一撃が振り下ろされ、障壁に激突――。


 バキィィィィン!


 凄まじい衝撃音と共に、今度はサイクロプスの棍棒の方が砕け散った。


「……っ!?」


 サイクロプスが目を見開き、砕けた棍棒を信じられないといった様子で見つめる。


「テルトくん、やったぞ! 次は君の番だ!」


「任せてくれ!」


 刀を構え、闘気と魔素を一気に叩き込む。


「魔法剣・戦技《斬極・紅雪嵐》!」


 紅蓮の光が刀身に走り、斬撃と共に炎の奔流がサイクロプスを飲み込む。

 巨体が燃え盛り、絶叫と共に黒焦げとなって崩れ落ちた。


「す、すごい……!」


 ダニエルが呆然と呟き、次の瞬間、周囲から歓声が湧き上がった。


「サイクロプスを倒したぞおおお!」


「勝った! 押せ押せ!」


 戦場の空気が一気に変わる。


 だが、ダニエルはすぐに冷静さを取り戻し、指示を飛ばした。


「気を抜くな! まだBランクの魔獣が残っている! 各自、連携して討伐しろ!」


(ステラ、ここはダニエルさんに任せて大丈夫そうだな)


(マスター、そのようです)


 丁度、その時、氷炎の舞姫がリッチとの戦いで倒したようで、歓声が上がっている。


 両側から、白竜の翼と氷炎の舞姫が魔獣たちの進行を押し上げ、中央のカーチスたちが一番魔獣たちが集中していたが、流石はカーチスたちだ、マンティコアを倒した。


 この状況を見て、クリフトが言う。


「よし、みんなよくやった。Aランクの魔獣さえ倒せば、あとは押し上げ、殲滅するぞ。」


「おおお」


 討伐隊の士気が上がる中、魔獣たちの後方で、不気味な魔素が一点に収束していくのを感じた。


「……この感覚、覚えがある」


 背筋を冷たいものが走る。

 それは、ダンジョン深層でイレギュラーボスが発生した時と同じ、あの重苦しい圧迫感だった。


 クリフトも同時に気づいたらしく、声を張る。


「みんな、気を付けろ! 強力な魔獣が来るぞ!」


 ざわめきは一瞬で静まり、討伐隊も魔獣たちも、魔素が集まる方角へと視線を集中させる。


 黒い靄が渦を巻きながら膨れ上がり、やがて巨大な塊となる。

 そして、それは――二つに分かれた。


「二体……二体同時に来るだと!?」


 冒険者の誰かが、息を呑む声を漏らす。

 黒い塊はさらに膨張し、形を整えると球体となり、次の瞬間、弾け飛んだ。


「ま、まずい……アースドラゴンとファイアドラゴン……!」


 その名が口にされた瞬間、討伐隊の空気が一変する。


 アースドラゴンは巨体に不釣り合いな小さな翼を震わせ、地を揺らすほどの咆哮をあげる。

 ファイアドラゴンは逆に大きすぎる翼を広げ、空気を切り裂くように羽ばたいた。


 アースドラゴンが大きく首を持ち上げる。

 次の瞬間、暴風のようなエアーブレスが吐き出され、周囲の魔獣をまとめて吹き飛ばした。


「くっ……!」


 クリフトは、すぐさまカーチスたちを呼び寄せる。


「カーチス、大変なことになった!

 Sランクのドラゴンが二体同時なんて、想定外だ!」


「クリフトさん、俺たちだけならアースドラゴン一体なら討伐できる。

 しかし、二体同時は……。足の遅いアースドラゴンはまだしも、飛行能力を持つファイアドラゴンが厄介すぎる!」


「そうなると、ここで時間を稼ぎ、王都からの援軍に託すしかないか。だが、その間にカナンベールの被害が……」


「悩んでる暇はない」


 カーチスが叫ぶ。


「ここで削れるだけ削る。少しでも弱らせて、カナンベールで仕留めるぞ」


 クリフトは大きくうなずき、深く息を吐くと、全員に向けて声を張り上げた。


「討伐隊、聞け! ここでドラゴンを足止めする。倒す必要はない、時間を稼ぎ、カナンベールまで行かせるな」


「おおおおお!」


 その時だった。

 ファイアドラゴンが咆哮と共に巨大なファイアボールを吐き出し、討伐隊の目前で炸裂する。


 爆風と炎で大地が赤熱し、土煙が視界を奪った。

 悲鳴と怒号が飛び交い、混乱が一気に広がる。


「落ち着け! 隊列を崩すな!」


 クリフトが必死に指示を飛ばす。


 煙が晴れた瞬間、ファイアドラゴンは空へ舞い上がり、悠然と空を旋回した。


「まずい、飛び立ったぞ。遠距離部隊、撃ち落とせ」


 矢と魔法が一斉に放たれる。

 だが、ファイアドラゴンが一度羽ばたくだけで、それらは容易く吹き散らされた。


「グォオオオオ!」


 耳を裂く咆哮と共に、ファイアドラゴンはカナンベールの方向へ飛び去っていく。


「くっ……こうなれば仕方ない。全力でアースドラゴンを削れ。ここで足止めするぞ」


「おおお!」


 クリフトは剣を抜き、カーチスたちを率いて突撃する。


(ステラ……このままじゃ街が危ない)


(マスター、カナンベールには非常時用の大型防御障壁があります――ですが、ファイアドラゴンの火力に耐えられるかは未知数です)


(なら……全力で仕留める!)


(はい、マスター。ステラにお任せを、全力でサポートします)




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