1/4
プロローグ
Prologue
それは、突然のことだった。
「ん・・・・・・。」
眠い目をこすって、むくりとベッドから起き上がる。
「おはよう、父さん、母さん。兄さんも。」
そう言ったつもりだったのに、彼らは困ったように互いに目を見合わせた。
「どうしたの?」
その声もまた、伝わることなく、より一層困らせてしまう。
父さんが僕の肩を掴み、何か言った。
「え?」
小首を傾げれば、父さんは顔に失望を浮かべ、母さんは泣き崩れた。兄さんは蒼褪めて、おろおろとしている。みんなが、苦しむように口をパクパクさせているのが見える。
世界が逆さまになったみたいに、強烈な違和感を覚えた。
(どうしたの?何が起きたの・・・・・・?)
寂寞、悲哀、恐怖、・・・何も分からない、何も感じない。
その朝、私の中から、音が消えた。
「う・・・・・・あ・・・・・・あ、あ・・・ああああああああっ!!!」