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プロローグ

Prologue


 それは、突然のことだった。

「ん・・・・・・。」

 眠い目をこすって、むくりとベッドから起き上がる。

「おはよう、父さん、母さん。兄さんも。」

 そう言ったつもりだったのに、彼らは困ったように互いに目を見合わせた。

「どうしたの?」

 その声もまた、伝わることなく、より一層困らせてしまう。

 父さんが僕の肩を掴み、何か言った。

「え?」

 小首を傾げれば、父さんは顔に失望を浮かべ、母さんは泣き崩れた。兄さんは蒼褪めて、おろおろとしている。みんなが、苦しむように口をパクパクさせているのが見える。

 世界が逆さまになったみたいに、強烈な違和感を覚えた。

(どうしたの?何が起きたの・・・・・・?)

 寂寞、悲哀、恐怖、・・・何も分からない、何も感じない。

 その朝、私の中から、音が消えた。

「う・・・・・・あ・・・・・・あ、あ・・・ああああああああっ!!!」

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