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2022W杯 日本代表の軌跡  作者: 最愚最弱者(さいそこびと)
4/4

クロアチア戦の所感 & 悲願という名の呪縛はもういい~4年前・4年後の既視感~

 まずはクロアチア戦で気になった点ですが、


 モドリッチ選手を下げて(延長前半)PK戦は大丈夫なのかです。確かに次のブラジル戦を考えれば妥当なのかも知れませんが、そもそもPK戦に勝てる算段があるのか……

 しかし、PK戦を見て納得しました。あ~、PKを止めるのが得意なGKなのね。


 ※W杯のPK戦といえば、06ドイツ大会のアルゼンチンードイツ戦なのですが

 (私の推しのアルゼンチンがPK戦で敗退した試合です。因みに、私の一推しは昨年亡くなられたマラドーナさんで、日本ならば小野伸二選手です。お二人ともサッカーの魅力を十二分に伝える素晴しい選手で、私的には”サッカーの申し子”の二人です)


 試合終了後、日本代表のコメントを聞いて判りました。

 彼らも悲願という名の十字架を背負わされていたのだと――


 ”悲願の”と聞けば、この大会が思い出されます。

 2014ブラジルW杯 悲願の自国開催優勝です。


 ブラジルの方々といえば、サンバのリズムやとても陽気で人生を楽しむ達人的なイメージを私は持っています。

 ※アルゼンチン代表推しの私も、ブラジル代表”セレソン”を尊敬リスペクトしています、何しろアルゼンチン代表の代名詞とも云われた、私が好きな「堅守速攻」は”サッカー王国”ブラジルの類まれなる攻撃力に対抗するためのものであるからです、


 そんな方々が、2014ブラジルW杯では違いました。ブラジル代表の試合では端々に悲壮感がただよいます。

 ブラジルでのW杯開催は1950年以来のもので、その大会でもブラジル代表はほぼ優勝を手中にしていました。

 当時はトーナメントではなく決勝リーグというものでしたが、最終戦である3戦目は引分け以上で優勝でその試合でもブラジルは先制しました。ところが最終的には逆転され優勝を逃します。そして、その試合会場においてとても悲しい事件が起きてしまいます、2人が亡くなられ、20人以上が失神された、マラカナンの悲劇です。


 ※すみません、マラカナンの悲劇という言葉は知っていたのですが、その詳細については今回しらべるまで知りませんでした、この場を借りて、謹んで哀悼の意を表します。そして、長い間ブラジルでW杯が開催されなかった事、2014ブラジルW杯でブラジル代表の試合においての悲壮感など、たった今理解しました。、

  ですが、予定通り話を進めさせていただきます。決して、ブラジルの皆様を傷つける等の意図はないことをご理解ください。 

 

 そんな背景もあり、2014ブラジル大会では優勝することが宿命づけられているような印象を受けました。 

 他の大会では、時にプレイするのが楽しくてしようがないと感じさせるブラジル代表の選手たちがとても重い十字架を背負っているかの様に見受けられました。


 PK戦までもつれ込んだ対チリ戦でも、いつ決壊してもおかしくない様な張りつめたものを感じます。

 何かを覚悟したかの様な悲壮感、私も戦争を経験したことはありませんが、おそらく戦争に突入する際はこういった雰囲気になるのでしょう。


 そして、私的に事実上の決勝戦と思っていた準決勝、対ドイツ戦を迎えます。

 試合開始前、ブラジルの国歌斉唱において感極まって涙ぐんでいる選手がいました。

 この光景を見た金田喜稔さんが「こいつら、試合前にこんな状態で大丈夫かいな」と思ったと後日に感想を述べていてので、尋常な心理状態ではなかったようです。 


 この試合、ブラジルは主力の2選手を欠いて(ネイマール:負傷、Tシウバ:累積警告)臨みましたが前半で大勢が決します。

 次に決勝があり、試合を早めに決めたい独代表が手をゆるめる事はありませんでした。

 大勢が決した後、ブラジルがボールを持つとブーイングをし、逆にドイツがボールを持つと歓声をあげるブラジルの方がいました。

 もちろん怒っている人もいましたが、ドイツの応援にまわられた方々は苦行から解放されたような、晴れやかな顔をしてる様に私には感じられました。


 ある意味、事故みたいな試合になってしまいましたが、こうなる予兆はありました。

 GLではさほどではありませんでしたが、負ければ即敗退となる決勝Tでは顕著に感じられました。


 確かに1950年に起きた事件はとても痛ましく悲しいものでしたが、それを払拭するために、悲願の自国開催優勝として、絶対優勝しなければならないと考えるのはある種の強迫観念です。


 応援する者は当然優勝を望みますが、代表スタッフの監督やコーチ、特に実際にプレイする選手たちはまた別です。

 モチベーションとして前向きにとらえる分には構いませんが、周りの期待に答えようと強く望みすぎることはそれが逆にプレッシャーとなって本来持っているはずの実力さえ発揮できなくなります。


 ”過ぎたるはなお及ばざるが如し”ではないですが、期待に答えようとして頑張りすぎてしまったのでしょう。

 度を過ぎた頑張りはいつかは破綻します。おそらく、それがドイツ戦の結果に繋がったのだと思います。


 悲願の自国開催優勝―― 

 2014ブラジルW杯は、その期待の大きさ故にそれを望まれたブラジル代表の選手たちにとって、悲願が呪縛になってしまいました。

 ですが、ブラジルの自国開催の経緯をみれば無理からぬ様に思います。


 ※ブラジルの皆様、しばらくは無理かも知れませんがいつの日かまたW杯を開催して下さい。

  その時はブラジルが優勝されることをお祈りしています(アルゼンチンとの対戦時は別ですよ) 


 ここで、日本代表の話に移りたいと思います。

 本当はそんなつもりはなかったのですが、あえて苦言を呈します。

 ※ブラジルの自国開催の件で感傷的になっている嫌いはありますが、その点はご容赦下さい、


 今大会の日本代表の活躍は素晴しいもので、結果としては前大会と同様のベスト16でしたが優勝候補の独代表に成り代わる形でGLを1位通過しました。


 ※この時点で既に、日本代表の未来は変わり、新しい景色をみせています。


 ところがです。

 悲願のベスト8とかベスト16の壁とかは、あくまでメディアの売り文句(絶対に負けられない等々)だと思っていましたが、クロアチア戦後の日本代表のコメントを聞くと違ったようです。 


 伊東純也選手の「『新しい景色』を見せられなくて申し訳ない」は試合終了後で疲労困憊&興奮冷めやらぬ状態の選手のコメントですので別にいいのですが、森保監督の

「独、スペインというW杯のチャンピオンに勝てた事。そこに自信を持って追いつくのではなく追い越すという考えでいけば、必ず未来は変わる」

 の発言には思わず「えっ」と思いました。

 日本代表の未来は、優勝候補の独代表に成り代わる形でGLを1位通過した時点ですでに変わっています。 

 これはベスト16の壁なんて忘れて良い(今大会のノルマは達成されたも同様)程の快挙です。

 つまり、悲願は達成されたものとして呪縛プレッシャーを解放する必要があり、通常その役目は監督がするものなのですが……


 どうも、他の選手のコメントでも、ベスト16に囚われている様ですので、呪縛が解放されないままクロアチア戦に臨んでしまったようです。

 本来なら残りの試合はボーナスステージの様なものでノリノリで戦え、それこそ優勝まで狙える千載一遇の好機のはずだったのですが……


 また、鬼の首を取ったかの如く、選手たちの謝罪の発言を催促するかの様なインタビューはおやめ下さい。とても悲しい気持ちになります。


 サッカーとは”喜び”そのものであり、「人は罪の子でない、喜びの子ぞ」です。

 勝敗はもちろん大切ですが、サッカーを楽しむこと、それこそが最も大切です。


 そして、いつの日か悪役プロレスラーがやるような

「メディアが悲願や壁なんて煽るから、勝てる試合も勝てなかったじゃねーか」

 なんて悪態をつきながら本音を吐露するコメント(マイクパフォーマンス&ファンサービス)が聞ける時代がくることを願います。


 また、今大会の日本代表の快挙が正しく評価されて、悲願のベスト8なんてものが取り払われる事を期待します。


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