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プロローグ


 この世界には、勇者が居る。


 勇者は、身寄りなき存在にて旅を始めた。

 勇者は、聖剣を携え「魔」を打ち払った。

 勇者は、人々の心を救い感謝を受け取った。

 勇者は、その勇姿を背に頼もしい仲間を率いた。

 勇者は、その「魔」と心を通い合わせた。

 勇者は、諸悪の根源と対峙し、やがて――


「勇者」と為った。


 ・

 

 わたしは、それを知っていた。

 わたしが、異世界から来た人間であるから、

 まだ誕生もしていない勇者を知っていたのだ。


 そして、目の前でいま、静かに眠るのは


 ――「勇者」になるはずの男だった。


 

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