memory-3 萌芽
ん?何故姉が私の原点なのかって?
それを説明するには私の性質とそれを初めて自覚した時の事を話さなくてはな。
私は子供の頃から蝶が好きでね。
良く外に蝶を見に行ったものさ。
しかし、そんな美しい蝶も死ぬ。
美しかった翅がボロボロになり、地面に落ち、蟻に集られる・・・。
私はソレか堪らなく嫌いだった。
美しかった物が醜くなるのが我慢出来なかったんだよ。
そんな時は何時も姉にすがって泣いたものさ。
姉は美しい人だった。
だが、美人薄命と言うのか体がかなり弱く、ほとんどをベッドの上ですごしていたよ。
多分、当時の私は知らなかったが姉の病は治らない類いの物だったのだろうね。
そうでなければ、あの父母が何の手も尽くさずに姉を家に置いておくわけがない。
何か手だてがあれば治そうと手を尽くしただろうね。
姉も自分の体のことは受け入れていたんだね。
だから、あんなに・・・。
いや、コレは関係無いか。
そんなこんなで私は姉を慕っていたんだ。
そんな姉が死んだ。
私は恐怖したよ。
悲しく思うよりも先に姉のあの美しさも死という汚れに侵されてしまうのかと。
・・・今、自分で思い出しても最低だな。
慕っていた姉が死んだ悲しみよりも先に美しさが無くなる恐怖が先に来ている、しかも、それが無意識なんだから。
しかし、そこで終わっておけば幼少期特有の自分勝手さで済んだのだろうね。
全てが狂ったのは姉の通夜だ。
私は姉の美しさが消え、醜くなった姉の遺体を見たくなくて泣きわめき駄々をこねたんだ。
いやだ!見たくない!とね。
父や母は困惑していたね、私はそれまであんまり我が儘を言わな良い子だったからね。
しかし、兄がそんな私を引きずり姉と最期の別れをさせたんだ。
・・・させてしまったんだよ。
棺の中の姉の周りには姉が好きだった白百合が敷き詰められ、死に化粧を施された顔は穏やかで微笑を浮かべているようだった。
私はそれを見て失禁した。
父母や兄は死体を怖がったと思っただろうね。
しかし、違う。
私は絶頂したんだ。
その姉の遺体の美しさに。
その時、私の中におぞましい性質が芽吹いた。
醜いなら美しく飾る。
そうすれば死はどんな物よりも美しくなる。
そんなおぞましい性質がね。
そう言えば私の担当だった検察官が言ってたなぁ。
「貴女が女性で良かった」と。
「貴女が男性だったらもっと被害がひどくなったでしょう」と。
・・・分かってないんだよなぁ。
今日はこのぐらいにしておこう。
次の面会日を楽しみにしておくよ。