第1話 ナーシャは、探し物が得意。でも秘密の「 眼『鏡』 」が無くなって、とっても困っています。
北極に住む白いキツネたちの間には、こんな伝説があります。
冬の夜に流れる星に祈ると願い事が叶う
例えば、ある美しいメスキツネ『タマモ』は、流れる星に9本の尾を願い、美女に変化して王様と結婚したといいます。
また、ある麗しい白銀のオスキツネ『クラマ』は、流れる星に魔界への転生を祈り、植物を武器に変え、バラを持って戦う赤髪の少年に転生したといいます。
キラキラと流れるお星さま。
今日もまた、キツネたちの願いをかなえてくれるのでしょうか?
★彡
さて、ホッキョクギツネのナーシャは、探し物が得意。
いつも、みんなに無くしてしまった何かを探してあげています。
でも、彼女には、大きな秘密がありました。
それは、おばあさんキツネから受け継いだ『 探し物 眼鏡 』です。
このメガネをかけて探し物をすると、不思議と無くしてしまった物が見つかります。
そうです。ナーシャが、無くし物を見つけることができるのは、このメガネの力に 助けられていたのです。
ある冬の寒い日、顔を洗っていたナーシャは、大変なことに気づいてしまいました。
そこに置いたはずの『 探し物 眼鏡 』が、どこにも見当たらないのです。
さきほど、顔を洗うために外して、洗面台の上に置いたはずです。
ナーシャは、とても困ってしまいました。無くしてしまったメガネを探そうにも、『 探し物 眼鏡 』が無いのですから。
カバンの中も、机の中も、這いつくばって、巣穴の中を一生懸命探したけれども、どこにもメガネは見つかりません。
どうしましょう。困ったわ。
そう思って、空を見上げた時、小さなお星さまが、ピューッと流れるのが見えました。
☆彡 あっ、流れ星っ。
とっさに、ナーシャは、祈ります。
どうか『 探し物 眼鏡 』が、見つかりますように!
両手を組み、目の高さにあげた時、ナーシャの人差し指に、コツンと固い物が当たりました。
あら? 何かしら?
そぉっと、手をおでこに当ててみます。
すると、ビックリ。
なんと、『 探し物 眼鏡 』が、おでこに かかっているではありませんか。
あぁ、良かった。私、おでこに メガネを ずらしたままだったのね。
おばあさんキツネから受け継いだ大切なメガネが見つりました。
ナーシャは、ホッと白い息を吐き、お星様にお礼を言います。
流れ星さん、どうもありがとう。
★彡
北極に住む白いキツネたちの間には、こんな伝説があります。
冬の夜に流れる星に祈ると願い事が叶う
夜空には、今日も星が流れます。あなたなら、何をお願いしますか?
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こちらは『冬の童話祭2022』用、超短編小説です。
くわえて、こちらは『第3回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』用、超短編小説です。
私が、小説家になろうに登録して約1年。
去年です。その時、ちょうど「冬の童話祭2021」が開催されていました。テーマは、『探し物』。ということで、どうせ作るなら前年のテーマの『探し物』と今年のテーマの『流れ星』、両方をあわせて書いてみました。