表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/141

新たなライバル現る?

 と、いうわけでやってきました二回戦!

 一ゲーム目を終えてわかったことは、相手は緊張してるのか動きがかたいってこと。俺がこのまま普段通りできれば、相手は勝手に崩れてくれそう。

 それに会場の視線釘付け!とまではいかないけど、割と注目はされていると思う。

 第一に自分で言うのもあれだけど目立つタイプの容姿してる自覚はあるし、ネット前でのフェイントとか股抜きショットとか要所要所でいい感じに魅せている。幹人が強烈すぎるだけで、元々俺も十分目立つタイプなんだと思う。

 まあ、ダブルスじゃベスト八入ったって基本その上の大会には行けないし薄れて当然ちゃ当然なんだけど。

 小夜川と羽代で注目度増し増しな高校にいる幹人のお供Aがどんなものかと見にきた奴らの好奇の目が、明らかに変わったのを肌で感じる。

 もちろん目立つためにふざけたり遊んだりしているわけではなく、元々ちょっと捻った動きをするのは好きでよくやっていた。でも、コーチにアドバイスもらって先を意識して動くようになってから、明らかに自分の打ちたいショットがちゃんと決め球にできることが増えた気がする。

 それにこういう思い切った動き、前までは拮抗してる時とか押されてる時はできなかった。今だって相手がかたくなってるのわかってるからより大胆にいけるとこはもちろんあるけど、この試合の立ち上がりとか普通ならもっと慎重になっちゃいそうな局面でも自分のやりたい動きができるようになってる。


 手応えを感じているからこそ本当にダブルスするのが楽しみだし、インターハイ予選のシングルスでもちゃんと戦力になれるかもしれないって考えるとすごい嬉しい。去年から、南先輩も一緒に全国目指すなら今年がラストチャンスだってわかってたから、幹人だけに頼りっぱなしじゃ全国なんて夢のまた夢。この大会でとにかく一試合でも多く勝って試合の経験積まないとね。


 相手がどこに返していいか迷ってるのがよくわかる。その迷いで返球がワンテンポ遅れるだけで、俺にはその分余裕が生まれる。そのちょっとの差が、ラリーを制する者を決めるのである!

 ほら今も!ロブをあげようとしたんだろうけど、間に合わずにだいぶ浅いところに返ってきた。ダブルスほど速い展開が続くわけではないけど、それでも体制を整えたり考えたりする余裕があるに越したことはないからね!そこへクロスにスマッシュを返せば、相手はもう足が追いつかない。


 よっし。これでめでたく二回戦突破!

 ひなたと羽代も俺よりちょっと先に試合入ってたけどさっき終わって引き上げてくの見たし、幹人はちょうど試合始まったけどまあ、大丈夫だろうな。


 内容が濃すぎてあと半日あるなんて信じられない。部室をどうにか守り切った次は、小夜川事変。そしてまたもや校長登場。下手すりゃ体育館が使えなくなるかもしれない。一難去ってまた一難。いや、それ以上かもしれない。平凡な日常よりも、ちょっと刺激がある方がワクワクするのは事実。でも、こんなスパイシーなことになるなんて全く予想外。怒涛の春風杯、はたしてどんな結果が待っているのやら。


 おっと、先のことを考えている余裕はない。この後の三回戦、並びからして上がってくる人は予想できるんだけど、その人がちょーっと気になるんだよな。


 雷山(らいざん)高校 地田(ちだ)選手。


 偏差値も運動部の成績も同じくらい。晴風(うち)と比較されることの多い高校。ま、うちが田んぼと畑のど真ん中にあるのに比べて、あっちは駅近制服もブレザーだから受験生からは人気で倍率高いけど。

 でもお互い最近はバドミントン部がそこまで強いかっていったらそうでもない。そんなとこまで一緒なのちょっと笑っちゃう。外野からはやけにライバル扱いされるけど、俺ら自身が気にしてるかっていうとそこまででもない気がする。

 なのにどうして地田さんを気にしているかといいますと、なんか最近の大会でよく名前を見る気がするからです。

 うちは個人戦なら幹人が大抵最後の方まで残る。俺とかひなたは先に負けちゃって幹人の試合見てることも多かったから、自然と勝ち進んでる人の名前は覚えちゃうんだよね。それでここ最近になって急に名前を見るようになったってことは、インターハイ予選に向けても警戒したい。

 雷山は今高校から始める人も多いって聞くから春風杯に出てきてるのは納得なんだけど、県内でもかなり上位に食い込んでくるであろう地田が出てきてるのがちょっと引っかかる。幹人が出てるのだって、他の人たちから見ればなぜ今ここに?!って感じだろうから人ん家のこと言えないけどね。


 ドン!


 そんなこと考えてぼんやり歩いていたせいか、角から出てきた人とぶつかってしまった。


 「すみませんっ!って地田……選手?!」

 「そのユニフォーム……晴風?」


 噂をすればなんとやら。相手はまさかの雷山高校地田。軽く当たったくらいだしビクともしてないから大丈夫だろうけど、何かあっては大変だから怪我の有無だけは確認しないと。


 「あの、怪我「お前らには絶対負けないからな」」


 と思ったのに、俺の言葉を遮るように飛んできたのはずいぶん喧嘩腰なライバル宣言だった。


 「新人入ってきて調子いいみたいだけど、そう簡単に全国目指せると思うなよ。インターハイに出るのは俺たちだ」


 こういうのってどう返したらいいのかわからないんだよな。さて、どうしたもんか。

 そう俺が困っている間にも、地田の宣言は続く。まあね、そりゃあ昔は晴「風」と「雷」山で名前も対照的だから周囲からもライバルみたいに見られてたって聞いたことはある。でも今じゃお互い県内で厳しい戦いを強いられているわけで、相手のことを気にしてる暇なんてなくなっている。俺も雷山を特別気にしたことないし。

 あの喧嘩腰はほんと聞いていた昔の話とそっくりだ。以前は晴風や雷山といえば全国でもバドミントンやってる人には知られている高校だった。全国優勝もしていた晴風の県内一番のライバルって呼ばれてたのが雷山だったらしいから、その頃は確かにめっちゃバチバチだったらしい。加えて他にも強い学校がひしめいていたから、とにかく県内のレベルが物凄く高かったらしい。それが今じゃ県勢の名前が全国優勝の文字と一緒に並ぶことなんて全然なくなっちゃったんだもん。もちろん、全体のレベルが上がってきてるってことなんだとは思うけど、なんかちょっと悔しいよね。


 「次当たる天野ってお前?」


 ついあれこれ考えて口がお留守になっていたのも悪かったとは思うけど、カッチーン!それは聞き捨てならない!初対面の人を呼び捨てとはさすがにどうなの?!


 「……そう、ですけど」


 いくらムカついてもここで何かトラブルを起こすわけにはいかない。喉元まで出かかった言葉をグッとこらえる。偉いぞ、天野!自分で自分を褒めないと、やってらんないよ。


 「ふーん……、ぜんっぜん見たことないし、やっぱ松下以外たいしたことないってホントなんだな」


 人の顔ジロジロ見といてなんだその言いぐさは!


 「ま、三回戦ヨロシクねー」


 結局俺が一言も口をはさむ間もなく背を向けて去っていく地田。あー!もう今日は一体なんなんだ?!校長といい、地田といい、どうしてこうもムッとするようなことばっかり言うわけ?


 「ほんっとに、一体全体どういうことだよ!?」


 誰もいない廊下に、俺の叫びがこだまする。あそこまでライバル視される程俺らの代で雷山との関わりなんて全くない。記憶にない。心当たりなんてない。なんにもないのだ。

 まあ、俺が知らないだけで幹人と何か因縁があるとかかもしれないけどさ。


 春風杯、流石に小夜川以上の事件は起こらないだろうと思っていたのに。

 まだまだ先は長そうだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ